こんにちは、アフリカンウィークス2025実行委員会代表のデンべレファトゥマタ花菜です。
東京外国語大学アフリカンウィークスは「アフリカの魅力を伝える」を根底の共通理念とし、2017年度からほぼ毎年、アフリカに関心を持つ学生有志たちによって実施されてきました。今年度は2023年度以来2年ぶり、通算7回目の開催となります。
今回のアフリカンウィークスのメンバーは、皆運営に関わるのが初めてでした。私自身も編入生であり2024年に初めて東京外国語大学に来たので、これまでのアフリカンウィークスについては、インスタの投稿や活動報告の記事を見ることしかしていませんでした。
しかしながら、そんな中でもアフリカについて数週間にも渡って学生が中心となり、アフリカの魅力を発信するだけでなく、日本におけるアフリカ人差別といった潜在的問題にまで意識を向ける取り組みに大変感動しました。私自身も、多様でカラフルなアフリカを皆さんに伝えたいと思い、やってみようと思い立ちました。
はじめは、過去のアフリカンウィークスについて人に聞きまくりました。友達や経験者の知り合いに質問しました。その時に東京外国語大学のアフリカンウィークスは有志の団体で「誰かがやろうと言って始まる」のだと知りました。
そして2024年11月頃からメンバーの募集を開始しました。国際社会学部アフリカ地域専攻以外に所属する学生からもたくさんの運営メンバーが手を挙げてくれました。何も分からない状態から先輩方や先生、そして現代アフリカ地域研究センターのスタッフの方々に沢山の協力を頂き、自分たちなりのアフリカンウィークス2025を展開することができました。まずこのことに謝意を述べたいと思います。
今回のアフリカンウィークスのコンセプトは、「アフリカ、アフリカラー!」にしました(図1)。
図1:アフリカンウィークス2025のポスター
「アフリカ」と一言で言っても54もの国があり、自分たちが想像する以上に多様な社会だということを伝えたかったのです。私自身アフリカにルーツがあるために、「身近である自分は理解してるんだ!」と勝手に思いこんでいました。しかし、実際にはアフリカについてまだまだ知らないことがたくさんあると最近でも感じています。
知っているつもりでアフリカを考えるのと「もっと知ろう」と思うのでは、吸収できることも大きく違うと思います。多様なアフリカを「知ろう」と思ってくれる人がいたら繋がっていけると思います。
私自身、「アフリカにルーツがある人」に対する固定的イメージがあることを経験したことがあります。私が自分はアフリカにルーツがありますと言うと、「差別的な経験を今まで受けてきたよね!つらかったと思う」と勝手に同情されることがあります。私には、これまで差別を受けたという記憶はあまりないですが、「アフリカにルーツがある=差別されたのかな?」というイメージがあるのかなと思いました。
同時に、アフリカでも日本のこと、アジアのことを知らない人もいますし、日本に住んでいるアフリカ出身者でも「日本人とは関わらない、分かり合えない」と言っている人もいます。
こういった経験を踏まえて、日本人もアフリカ出身者もお互いに「知ろう」という気持ちでいることが「つながりあう社会」では大切だと思います。今回のアフリカンウィークスでは、日本人学生もアフリカ留学生にも沢山の方々に参加してもらえました。
見て、聞いて、触って、味わって、香りを感じて、自分の体験や興味にひきつけて考えてみて、時には踊りだして多様な「カラー」を体験して欲しいという思いで五感を取り入れてこのようなテーマを設定しました。私たちのアフリカンウィークスが、皆さんの「もう知ってるし、知らんでもいいやん」ではなく「もっと知ろう」っていう気持ちに繋がると嬉しいです。
最後にアフリカンウィークスの企画・開催にあたってアドバイスをくださった先輩方、先生方、ASCセンターの皆様、学生課の皆様など関わったり応援してくれたすべての皆様に感謝申し上げます。
運営メンバーの皆さんにも大感謝です。
デンベレファトゥマタ花菜
普段からアフリカに興味がある人もない人も楽しくアフリカを感じてほしい。言葉だけでは伝えきれないその魅力をみなさんに知ってもらうために、五感を存分に使って身近にアフリカを楽しんでもらえるように工夫しました。
・主催:アフリカンウィークス2025実行委員会
・共催:東京外国語大学現代アフリカ地域研究センター、東京外国語大学国際社会学部アフリカ地域専攻
・協力:学生団体Femme Café
・実行委員長:デンべレファトウマタ花菜(国際社会学部アフリカ地域専攻4年生)
・副実行委員長:上野真生(国際社会学部アフリカ地域専攻3年生)
・アドバイザー:東京外国語大学国際社会学部アフリカ地域専攻・現代アフリカ地域研究センター教職員
・運営メンバー:
4年アフリカ地域専攻 デンベレファトゥマタ花菜
3年 アフリカ地域専攻 上野真生
3年モンゴル語専攻 野口真由
3年フランス語専攻 平木麗々
2年国際日本学部 松原千璃
2年国際日本学部 髙橋慧夏
2年アフリカ地域専攻 坂口叶夢
2年アフリカ地域専攻 佐々木寛太
1年アフリカ地域専攻 池田優
他1名
・開催期間 2025年 6月1日から14日まで
・実施形態:対面イベント及びSNSでの文化紹介
・企画内容:①留学生製作の映画上映と討論
②クッキングイベント
③布小物販売
④セネガルの楽器に関するトークショー
⑤ファッションショー
⑥文化紹介
開催日時:2025年6月5日 5限の時間帯(17時40分から19時10分)
開催場所:115教室
ルワンダからの留学生のIrene制作の映画「Queen of Inanga」(図2; 20分)の上映と、ルワンダ大使館の方を招いての意見交流を行いました。
図2: "Queen of Inanga": ルワンダ留学生イレネさんの作品
最初に、イレネさんから映画の基本的な説明がありました(図3)。ルワンダでは1980年代には女性の活動が制限されていて、楽器も男性が演奏するものとされていましたが、Queen of Inangaで登場するSofiaさんは、その壁を破りルワンダでは重要なInangaという楽器の演奏者となったという点を学びました。
図3: イレネさんによる作品の紹介
イレネさんの映画上映の後は、ルワンダ大使館の方にルワンダの音楽や文化についてお話しいただきました。ルワンダでは、音楽やダンスがルワンダ人同士のUnity(一体性)を示すものであるという説明が印象的でした。留学生や日本人の学生も沢山の質問(映画のダンスやルワンダの音楽について)をしてくれました(図4)。
参加者は外部の方も合わせて50名以上の方に参加いただきました。
最後は学生団体Femme caféさんの協力もあり、ルワンダコーヒーの説明と希望者にコーヒーの配布を行いました。ルワンダを通して、音楽や文化、そしてコーヒーなどについて考える良い機会となりました。
(文責:デンべレファトウマタ花菜 )
図4: 映画情報後の意見交流の様子
開催時期:2025年6月7日
開催場所:東京都府中市・白糸台文化センター料理講習室
参加費:500円
アフリカを「料理」を通して感じてもらうことを目的に、ザンビアからの留学生2人を含む12人でアフリカ料理を作り、皆で食事を楽しみました(図5)。
作ったのは、ザンビアの主食であるンシマ(nshima; 練りがゆ)と、それに添える collard greens、セネガル料理のマフェ、そしてタンザニアのカチュンバリです。ンシマは、ザンビアの主食で、とうもろこしの粉を練って作ります。野菜やシチューと共に食べられます。マフェは、昨年の外語祭で使用したレシピを参考にし、ンシマの粉も昨年の外語祭の余りを使わせていただきました。アフリカ専攻2年生のみんな、本当にありがとう!
アフリカの音楽を流しながら、留学生との交流も楽しみ、あっという間の2時間でした。料理もすぐになくなり、国籍・学年・語科を超えた、楽しく温かい時間を過ごすことができました。
(文責:上野真生)
図5: 出来上がった料理たち
・開催時期:2025年6月5日、11日、12日
・開催場所:東京外国語大学115教室
アフリカの布に触れ、実際に使っていただくことを目的に、アフリカ布で作った手作りの小物を販売しました。コースター、くるみボタン、マグネット、筆箱、ポーチなど、さまざまなアイテムを用意し、想像をはるかに超える多くの方々にご購入いただきました(図6)。
使用したアフリカ布は、アフリカ専攻の先輩方がご厚意で提供してくださったものです。心より感謝申し上げます。
ご購入いただいた皆様、この小物たちが皆様の日常に少しでも彩りを添えることができましたら、大変うれしく思います。
(文責:上野真生)
図6: 売り場の様子
・開催時期:2025年6月11日
・開催場所:東京外国語大学研究講義棟115教室
アフリカの音楽を「聞いて」感じることを目的に、セネガルのコラ演奏者である杵淵ちひろさんをゲストにお招きし、トークショーを開催しました(図7)。
図7:講演会のチラシ
杵淵さんはコラ演奏者であるだけでなく、語り部である一人の「グリオ」として、コラの構造的な作りや、伝統的な民謡に関する大変興味深い講演をしてくださりました(図8)。
物語の中に含まれる寓意や故事成語的な教訓を知ってから、琴のような繊細で優美な杵淵さんのコラの演奏をお聴きすると、思わずその世界へ引き込まれていってしまいます。
杵淵さん自身が世襲ではなく、修行を積まれたグリオとして、コラや物語と精神的な繋がりを感じながら語られるお話にはどこか神秘を感じました。
当日は40名を超える来場者が足を運んでくださり、アフリカの伝統音楽の一つであるコラの神秘を多くの方と共有することができ、より味わい深い体験となりました。
(文責:池田優)
図8: 楽器(コラ)制作の工程を説明してくださる杵淵さん
・開催時期:2025年6月12日
・開催場所:東京外国語大学115教室
アフリカのファッションを「見て」楽しんでもらうことを目的に、ファッションモデルを募集し、5人のアフリカからの留学生と5人の外大生がモデルとしてランウェイを歩いてくれました。留学生の皆さんには、自国の伝統衣装についての簡単なプレゼンテーションも行っていただきました。
ファッションショーの後には、フリートークの時間を設け、留学生との交流に加えて、カンガやキテンゲなどアフリカ布の巻き方を紹介するレクチャーも行いました。
色鮮やかな衣装に身を包んだモデルの皆さんは本当に美しく、その笑顔に会場全体が明るく、楽しい雰囲気に包まれました(図9)。なお、衣装のいくつかはアフリカ専攻の先輩方や先生方がご厚意で貸してくださったものです。
ご参加いただいた皆様、そして衣装を貸してくださった皆様、本当にありがとうございました!
(文責:上野真生)
図9: 出演者の集合写真
アフリカンウィーク公式インスタグラム(@afri.canweek2025)上で、アフリカンウィークに関連し、アフリカ文化紹介の投稿をしました。
トークショー係の紹介でアフリカ映画「キリクと魔女」を(図10)、小物係の紹介でタンザニアのゲームを(図11)、料理係の紹介で南アフリカの食べ物「ボボティ」を(図12)紹介しました。
こうした投稿が、アフリカンウィークスやアフリカ自体への興味につながれば幸いです。ご覧いただいた方、ありがとうございました!
(文責:佐々木寛太)
図10: インスタグラムでの投稿の例(アニメ「キリクと魔女」の紹介)
図11: インスタグラムでの投稿の例(ゲームの紹介)
図12: インスタグラムでの投稿の例(料理の紹介)
最終更新:2025年8月15日