関西の電炉メーカーの景況は?

投稿日: Nov 05, 2016 7:51:0 PM

関西電炉5社 4社が減益 4~9月、建設需要減が影

関西の電炉大手の2016年4~9月期連結決算は建設用鋼材の需要低迷が響き、5社のうち4社が最終減益となった。販売価格が落ち込み売上高は5社とも減少した。4日に決算発表した中山製鋼所は安い中間原料を多く使っており純利益が前年同期比7%増の22億円だったが、他の4社は電気料金や原料の鉄スクラップ価格が下がった効果では補えなかった。

電炉メーカーが主に手がける棒鋼はマンションやビルの鉄筋などに使われる。関西の基準となる棒鋼の相場は、4月初め時点で1年前より24%安かった。共英製鋼は16年春に値上げを表明したが、価格の低迷が長引いことで実現できなかった。中山製鋼所の売上高は14%減の575億円だった。建築需要の低迷を背景に大株主の新日鉄住金からの製品受注が落ち込んだ。

合同製鉄は15年に新潟県、16年3月には福岡県の電炉メーカーを完全子会社化した。大阪製鉄も同3月に東京鋼鉄を買収して事業規模を拡大しようとしたが、販売価格の低迷でいずれも4~9月期は減収だった。

各社は収益確保に向け需要が堅調なアジア事業に注力している。共英製鋼はベトナムの生産量を7割増やした。大和工業ではアパート向けなど鉄筋の需要が増えた韓国事業が営業黒字化。中山製鋼所も16年から輸出量を増やしている。

今後は、国内では東京五輪需要とそれに伴う製品価格値上げの浸透により建設系鉄鋼業界全体の好循環が期待されるが、未だ関東でも動きは鈍くスクラップ価格はもうしばらく底倍状態が続きそう。