E-waste対策とは?|バーゼル条約

投稿日: Feb 08, 2016 7:0:49 PM

5月に開催された「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」締結国会議では、「E-waste及び使用済み電気電子機器の越境移動(特に廃棄物と非廃棄物の識別)に関するガイドライン」が採択された。 「リユース目的の輸出入の場合」には「使用済み機器が完全な機能を有することの検査結果の記録及び再使用が確実であることの輸出者等による宣誓書が伴うこと」や「各機器が輸送及び積卸しの際に損傷等から保護されるための十分な梱包と積載が行われていること」が定められた。

「故障した機器の修理を伴う再使用や故障解析のための輸出入の場合」には「再使用又は故障解析が行われることが確実であること、修理等から生ずる有害廃棄物が適正に管理されること等を担保するため、輸出者及び修理施設の間で有効な契約書が締結されていること」などが定められた。これを受け、日本国内では既に運用されている「使用済み電気・電子機器の輸出時における中古品判断基準」がさらに厳密化されることになろう。

国連大学の推計では、電気・電子機器廃棄物の国内発生量で日本は世界第3位だ。日本国内には、既に家電4品目(テレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコン)について家電リサイクル法で、パソコンについて資源有効利用促進法で生産者の責任によるリサイクル制度が構築されているので問題は生じていないという意見もある。ただ、中古品輸出業者やスクラップ輸出業者による輸出品の、受け入れ先での実態はほとんど把握されていない。

とりわけ、懸念が高まるのは、日本国内で普及が進む携帯電話・スマートフォン(スマホ)だ。通信事業者全体の専売店等での回収台数を、専売店等での機種変更数と任意解約数の合計数で除した携帯電話・スマホのリサイクル回収率は年々悪化し、14年度は僅か14.6%にすぎない。

業界団体では無線LANによる利用といった二次利用やリユースのための売却等が増えたためと説明しているが、リサイクルに乗らない機器も、いずれは廃棄される。それらが、偽装中古品となって海を渡らない対策を講じることも通信事業者の責任であろう。18年には、世界の電気・電子機器廃棄物の発生量は5000万トンに達すると予測されている。便利さの裏側に潜む影の側面にも、目配りは欠かせない。