再生エネルギーファンドとは?

投稿日: Feb 19, 2016 8:4:9 PM

「前例がないから貸せない」。地方で地元企業などが手掛ける再生エネによる発電事業が資金調達の壁に阻まれている。事前調査や地元との調整など、発電開始まで時間がかかる上に、事業者には資本力が弱い中小企業が多いためだ。

地域の金融機関に再生エネ事業の事業性を評価できる人材や仕組みが不足していることも一因だ。事例が多い太陽光発電はまだしも、バイオマス(生物資源)や小水力、地熱などはなじみが薄く、十分な担保と引き換えでなければ融資が受けられない。

そこで大分銀行子会社の大分ベンチャーキャピタル(VC)は地元旅館などによる「温泉熱発電」を支援する「おおいた自然エネルギーファンド」を2013年に立ち上げた。

大分県は地熱エネルギーの賦存量が全国でずばぬけて多い。12年に再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)が始まり、技術開発が進む温泉熱発電も注目されたが、事業の前例に乏しく銀行では融資の判断ができなかった。

同ファンドの特筆すべき点は、事業性を慎重に評価した上で、ほとんどの投資リスクを引き受けて事業者の負担を最小限に抑え、事業参入の敷居を引き下げている点だ。ファンドの規模は25億円で、現在、十数件の事業に投資している。

対象は、旅館や温泉組合など県内の泉源保有者が実施する事業だ。新しく井戸を掘れば、他の泉源に影響を与える恐れがあるため、既存の泉源保有者に限定する。地熱専門の調査会社などによる200万~500万円の調査費用はファンドが負担する。

導入する設備の仕様や設計なども、採算性が高まるように、大分VCが設備業者などと調整を図る。

発電事業を実施するに当たっては、特別目的会社(SPC)を設立してプロジェクトファイナンスの形で設備費を全額融資する。

返済は事業から生まれた収益からすればよく、万が一、発電事業が不調で倒産しても、出資者である泉源保有者には融資の返済義務が及ばない。いわゆる「倒産隔離」がなされている。

太陽光など再生可能エネルギーを活用した地方創生が叫ばれている。それを資金面から支えているのが地域主導型の再生エネ事業に特化したファンドで、大分銀行子会社などが運営している。資本力が弱い中小の事業者などを支えている。