2018/3/8press 家畜の糞尿を活用するバイオマス発電プラント、モデル事業スタート

投稿日: Mar 08, 2018 11:15:1 AM

環境省は2月17日(土)、家畜糞尿などに由来するバイオマス発電プラント「富士山朝霧バイオマスプラント」の完成式を、静岡県富士宮市において開催する。式典の開催時刻は、10:00~12:30まで。このプラントは、同省が国土交通省と連携し、2016年9月から実施する「平成28年度 環境調和型バイオマス資源活用モデル事業」の一環として建設されたもの。同事業は、地域内に存在する家畜糞尿や、食品残渣などのメタン発酵にて生じた消化液を、下水処理施設で適正に処理することにより地域環境を保全しつつ、発酵時のメタンを活用したバイオマス発電で得られた電力・熱を下水処理施設などに供給し、二酸化炭素削減を図るもの。これにより、低炭素社会と循環型社会を同時達成する処理モデルの構築を目指す。なお、同事業を受託し実施するのは、富士開拓農業協同組合(静岡県富士宮市)を代表とする、富士宮市、富士設計(静岡県富士宮市)、JNCエンジニアリング(千葉県千葉市)の4者。事業期間は2018年度までなお、同事業では二酸化炭素削減と消化液の処理を両立させたモデルの実証が行われる。実証のテーマは下記の3点。

家畜糞尿等のメタン発酵において生じる消化液の処理の課題解決

下水処理場における処理能力の有効活用

バイオガス発電によって得られるエネルギーの有効活用

具体的には、地域内の家畜排泄物を原料としたバイオマスプラントで生じた消化液を、下水処理場に運搬・処理し、バイオマスプラントによって発電された電力をバイオマスプラント内で利用するほか、電力会社の送配電の活用により下水処理場に供給し、消化液の処理に必要なエネルギーとして利用し、温室効果ガス削減を図る。

2015年度には「バイオマスシステム可能性調査」を実施

この事業の代表事業者である富士開拓農業協同組合は、朝霧高原の酪農を継続的に発展させる環境づくりに取り組んでいる。同組合は、従来から家畜の糞尿対策として、従来の堆肥化して管外に持ち出すことを中心にいくつかの試行を行ってきた。また、その取り組みのひとつとして、同組合は、乳牛の糞尿を、再生可能エネルギーとして活用したバイオマスプラントで「バイオマスシステム可能性調査」を実施した。これは2015年度の静岡県の補助事業。その調査データを基にして、環境省の2016年度モデル事業に取り組んだ。環境省の採択を受けた同組合は、2017年度に施設を整備し、実証データの検証を行ってきた。地域資源を活用した再生可能エネルギー導入拡大への期待が高まる中、バイオマス発電が展開されている。しかし、メタン発酵において生じる消化液を、液肥として牧草地などに散布することによる地下水への影響が懸念されており、顕在化している例もある。環境省は、こうした課題を解決するため、同事業による実証を行うこととした。