2018/3/15press セキスイハイム、太陽光発電システム搭載住宅の64%がZEH相当以上に

投稿日: Mar 15, 2018 2:42:4 AM

積水化学工業(大阪府大阪市)は、太陽光発電システム搭載住宅の64%において、冷暖房・換気・給湯・照明などによる年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスとなる、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー)相当以上を達成したとの調査結果を発表した。また、このうち、42%では、家電・調理機器を含めた「家電込み」の総消費電力量でエネルギーゼロを達成した。なお、この調査は、太陽光発電システム(PV)搭載住宅のエネルギーゼロ達成度と蓄電池の運転実績を調べるために実施したものだ。PV搭載住宅のエネルギーゼロ達成度については、セキスイハイムに設置されたホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)のデータを活用し分析した。対象となったのは、2016年に入居済みセキスイハイムのうち、2,951件の2017年1~12月の消費電力量・発電電力量・電力量収支。また、蓄電池の運転実績については、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の買い取り期間の終了後を見据え、定置型リチウムイオン蓄電池「e-Pocket(イー・ポケット)」の搭載住宅829件において、蓄電池の放電量の実績把握と、将来の電力の自給自足を想定した運転の効果を試算検証した。この結果、蓄電池の容量バリエーションとユーザーの運転設定で、放電量が大きく変動することが確認できた。

その他の調査結果概要は以下の通り。

「家電込み」エネルギーゼロ住宅の年間光熱費は17.3万円の黒字

調査対象2,951件のうち「家電込み」エネルギーゼロ住宅は1,246件。家族数の平均値は3.4人、中央値はPV搭載容量8.91kW、発電電力量10,658kWh/年、消費電力量7,157kWh/年となり、電力量収支はマイナス3,501kWh/年だった。2017年は前年に比べ消費電力量、発電量がともに増加しており、電力収支は前年と大きく変わらない状況となった。光熱費に換算すると、年間光熱費収支では、17.3万円(中央値)の黒字となった。

光熱費ゼロ以下の住宅は65%、前年より減少

買電単価の上昇と売電単価の下落を受け、光熱費ゼロ以下の住宅は前年(70%)より5ポイント減少し、65%となった。エネルギーゼロ達成住宅の64%とほぼ同じ比率となっている。

PVから充電・夜から朝に放電で自給率がアップ

経済モード運転(深夜電力を充電し朝晩に放電)の場合、蓄電池の容量によって、非常時の備え(安心)と毎日の充放電による経済効果が大きく変動することがわかった。大容量になるほど、毎日の放電量による経済効果の絶対値が大きくなるとともに安心のメリットも大きくなっていた。蓄電池をグリーンモード(PVから充電し、夜から朝に放電)で運転することで、蓄電池がない場合の自給率22%を35%~約60%にまで引き上げる効果が確認された。なお、「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー)」は、高効率な省エネ設備と再エネの導入により、年間の一次エネルギー消費量(冷暖房・換気・給湯・照明など)が正味ゼロまたはマイナスの住宅をいう。

ユーザーごとに最適活用提案をレベルアップ

今回の調査結果について、エネルギーゼロ住宅については、達成度が安定基調に入ったことが確認できたとしている。今後、売電単価の下落、買電単価の高騰を要因に光熱費収支が年々厳しくなることが想定されるため、エネルギー収支の改善に注力していく。また、将来的には、FITの買い取り期間終了後に電力購入単価がPV発電電力の売電単価を上回ることが想定される。PV電源の有効活用策として、蓄電池の搭載などをさらに推進し、ユーザー特性に合わせた最適活用提案ができるようレベルアップを図っていく考えだ。