2018/3/24press 京都市内に「木造5階建ての商業ビル」完成 地元のスギ・ヒノキ材使用

投稿日: Mar 24, 2018 1:8:21 AM

注文住宅などを手掛ける工務店、リヴ(京都府向日市)は、地元の木材を活用し、環境・利用者の身体への効果に配慮した、同社設計による木造大型商業ビル「SPA Nursery Japan」が、3月20日にオープンしたと発表した。京都市内で、5階建大型木造商業ビル

同ビルは5階建てで、敷地面積は168.50平方メートル、建築面積は121.89平方メートル。1階は鉄筋コンクリート、2階から5階は木造建築で、建築規模、商業用途、高さ(階数)共に、国産・地域産木材を活用したものとしては、京都市内では初めての試みだという。構造は、集合住宅、介護施設などで広く採用されている2×4(ツーバイフォー)工法を採用。過去の震災での高い耐震性と、評価の高い耐火性を同時に確保した。建築物の木造化は、現在、政策により、低層・中層建築物において先導的に行われているが、まだ公共建築・介護施設などに限定されている感があり、中・大規模木造建築においては、国産木材の使用率は極めて少ないといわれている。そこでこのビルでは、内外装にも京都府内産のスギ材、ヒノキ材を活用。これにより市内外の人々に地域特産物による建築などの普及啓発を図る。

国で普及が進められている国産・地域産木材を活用

同社は、ビル木造化の最大の理由として、地域・地球全体からみたサスティナビリティ(維持管理性)の高さをあげている。たとえば、大気中のCO2を固定化した木材を、長期間使用する建材として使用し、代わりにCO2吸収力の高い若木を植えることは、高い温暖化対策効果を発揮すると述べている。また、京都の森林の90%以上は林業のための人工林で、海外産におされて伐採が進まず、荒廃が進んでいる。その中で、成長が一段落した大型樹木を建材とし、高い若木を植えることは、地球環境においてもいい循環を生むだけでなく、地盤保持力の弱った森林の保全にも役立つと説明している。

コスト・文化財の両面からも環境負荷の少ない建築

建築地は、埋蔵文化財保存地域となっているため、地上より1メートル以上の掘削は埋蔵文化財の調査の必要な深さにあたるが、今回の建物は、木造躯体による軽量化により、掘削深度は浅くなりそれが不要になった。これにより、環境負荷の低減・埋蔵文化財の保全の点にも効果があったという。さらに、木造躯体はコスト削減にも効果的だったと説明している。なお、同ビルの建築主は、エステサロンや健康食品などの事業を展開する、ヒューマンリソースコミュニケーションズ(京都府京都市)。