世界注目の火力発電低炭素化技術?

投稿日: Nov 11, 2016 7:16:51 PM

にらまれる石炭火力 「低炭素技術」で汚名返上なるか 

大きな二酸化炭素(CO2)排出源としてにらまれる石炭火力。日本は「低炭素技術」に磨きをかける。大幅削減が可能な「CCS(CO2回収・貯留)」実証も本格化。海外移転も期待されている。瀬戸内海に浮かぶ小島で、石炭火力のCO2排出量を大きく減らせる設備が本格的に試運転を始めた。出力16万6000kWのIGCC(石炭ガス化複合発電)実証機だ。中国電力と電源開発(Jパワー)が共同出資する大崎クールジェン(広島県大崎上島町)が、経済産業省やNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の支援の下、実証を進めている。世界で長期にわたる温室効果ガスの大幅削減が求められる中、世界のCO2排出量の約3割を占める石炭火力の利用を懸念する見方もある。しかし、IEA(国際エネルギー機関)によれば世界の発電量の約4割が石炭火力で賄われており、2040年時点でもその傾向が続く見通しという。

■石炭火力を低炭素型に

安価な石炭が当面、途上国の成長と電力需要を支えることから目を背けることはできない。石炭火力の効率向上や低炭素技術の普及が不可欠だ。

その技術の1つがIGCCである。仕組みはこうだ。微細に粉砕した石炭(微粉炭)を高温のガス化炉で蒸し焼きにして熱分解すると一酸化炭素や水素などの「燃焼ガス」が生じる。精製したガスを燃焼させてガスタービンを回し、生じた熱で作った蒸気で蒸気タービンを回して発電する。従来の石炭火力は、微粉炭を燃焼させて作る蒸気で蒸気タービンだけを回す。発電設備メーカーは燃焼温度を上げ、蒸気圧を高めて投入するエネルギー当たりの発電量を引き上げてきた。超々臨界圧(USC)と呼ぶ国内で主流の高効率タイプなら発電効率は39~41%。しかし、タービンの耐熱性や耐圧性を高めるにも限界がある。 IGCCはガスタービンと蒸気タービンを併用する2段構えの構造のため、従来方式よりも発電効率が高い。大崎クールジェンでは1300℃級のガスタービンを使うため発電効率として40.5%を目指すが、1500℃級なら約46~48%を狙える。USCと比べてCO2排出量を約15%減らせる。