2018/3/8press 小型風力発電の買取価格55円→20円 できたばかりの業界団体が陳情

投稿日: Mar 07, 2018 10:53:41 PM

国際風力協会(IWTA)は3月5日、固定価格買取制度(FIT)において、小形風力発電の買取区分を廃止する方向性が示されていることを受け、現在の買取価格の期間延長や段階的な買取価格引き下げなどを経済産業省資源エネルギー庁に陳情した。小形風力の買取価格は現在の55円から20円に

経済産業省の調達価格等算定委員会は、20kW未満の小形の陸上風力発電について、将来的なコスト削減が見込めないとして、2018年度より20kW以上の風力発電と同じ買取区分として取り扱う案を取りまとめた。これより2018年度の小形風力発電の買取価格は2017年度の1kWh当たり55円から20kW以上の風力と同じ20円となり、大幅な低下となる。この小形風力の買取価格区分の撤廃を含むFIT法改正省令案などについては、3月8日まで意見募集(パブコメ)が行われている。

国内外の企業には死活問題

IWTAは陳情で、明確な予告もなく、調達価格等算定委員会でわずか3分たらずの議論で唐突に買取区分をなくす方向性を示したことは、日本政府を信じて事業を進めてきた国内外の企業にとっては死活問題、と訴えた。また、同委員会事務局が否定した、小形風力発電のFITから自立については、他国にはない、海外企業に対する参入障壁と規制を作り、その上で、競争が進まないから価格が低減しないというのは間違っていると指摘。そこで具体的な対策として、現状の規制である20kW未満とする小形風力発電の買取区分を低圧太陽光発電と同じ50kW未満までに増やす、小形風車定義である受風面積200平方メートルの制限をなくす、大型風車にはない不要な参入障壁である日本海事協会の認証制度をなくすことを求めている。そしてこれらが実現すれば、55円という高い買取価格は必要ないとしている。

これらのことを踏まえて、陳情では、

最低でも現在の買取価格の期間を延長させること

段階的な買取価格引き下げスケジュールを明示するもしくは新買取区分(50kw未満)を作ること

普及を妨げる小形風車特有の規制を撤廃すること

を求めた。

IWTAは設立されたばかりの団体

国際風力協会(IWTA)は、2018年1月19日の調達価格算定等委員会の小形風力買取区分廃止決議を受けて結成された団体。現在、調達価格算定等委員会の小形風力カテゴリ廃止決議に明確な反対の意思表示する活動を展開している。今後は、単なる反対の活動に終わらず、同委員会の指摘するFITからの将来的な独立も視野にいれて活動を続けていくととともに、今回の反省を踏まえ、しっかりと行政と連携しながら風力業界の未来を作りあげていきたいとウェブサイトで表明している。また、FIT法改正省令案などに対するパブコメ期間は3月8日までとなっているが、IWTAは、100件以上の意見が寄せられると政治家の確認が必要となるとして、パブコメに意見を届けるよう呼びかけている。