2022年度アフリカ語劇代表 江川莉奈(アフリカ地域専攻、2021年度入学)
私たち2021年度入学のアフリカ地域専攻10期生は、今年度の外語祭において、ザンジバルの民話を元にした語劇「The Nunda, Eater of People」を披露しました。これは、傲慢な王様と出来の悪い息子たちが、スワヒリ文化の空想上の怪物「人喰いヌンダ」が国を荒らすという危機をどう乗り越えるのか、といったお話です。
アフ科では2年生による語劇が毎年恒例になっておらず、引き継ぎ資料などは何もなかったため、語劇制作は完全に0(ゼロ)からのスタートでした。ここでは、語劇が上演に至るまでの私たちの活動を報告させていただきます。
演目探しは5月から始まりました。演目を決める上で難しかったのは、国も言語も形態も時代も多様すぎる「アフリカ」の物語から何を選んで良いか、という点です。一度は、メンバーから提案された2本の映画を候補とし、著作権交渉に取り掛かりましたが、残念ながらどちらの制作会社からもメールは返ってきませんでした。
そこで、ターゲットを著作権交渉の必要ない民話に切り替え、英語で書かれたアフリカの民話の中から代表、副代表、監督で候補を絞り、演目を「The Nunda, Eater of People」に決定しました。この作業が想像以上に難航し、結局最初のリハーサルの直前である8月までかかってしまいました。
演目を決めると、すぐに脚本作りに取り掛かりました。まず元にした英語のテキストや日本語の資料から監督が日本語の脚本を書き、そこから一部のメンバーで手分けをしてセリフを全て英語に訳しました。これで脚本の大筋は完成です。
9月には配役を決め、実際に演技の練習を始めました。役者には2年生のメンバーに加え、留学生2人にも参加していただくことができました。留学生の一人がスワヒリ語話者であったため、セリフの一部や掛け声にスワヒリ語を加えることができ、「アフ科らしさ」を出すことができたのではないかと思います。
そこから本番までは、練習して脚本を直し、音響や照明といった演出を合わせ、また練習して、といった作業の繰り返しです。字幕とスポットライトは声をかけてくださったアフ科の先輩お二人にもお手伝いしていただき、限られた回数の練習ではありましたが、役者たちの演技と噛み合わせる練習をしました。
本番は初日、土曜日の午後ということもあり、想像の何倍もの人で客席が埋まりました。アフ科の卒業生の方々も本当に多くお越しいただき、この暖かい縦のつながりは小さい語科ならではだと実感しました(写真)。
写真:上映後のキャスト集合写真
以上が語劇上演までの道のりとなります。
代表として個人的な感想を述べますと、語劇を行うことを決定した3月から本番まで、本当に辛かったです。決まらない演目、終わらないタスク、練習に来ないメンバーetc. 語劇のことを考えるたびに憂鬱な気持ちになり、何度も中止にする方法を考えてしまいました。留学生や先輩方、先生方のお力も借りてなんとか本番まで持っていくことができましたが、それがなければ本当に上演できたかもわかりません。
もし今後語劇をやりたいと思う後輩たちがいたら、その時は少しでも苦しみを軽減し、語劇を楽しむ手助けができればと思い、引き継ぎ資料の作成を考えています。この代の語劇が、よりよいアフ科語劇が生まれる一つのきっかけになれば幸いです。
とはいえ、3年生になってからは語科の同期たちと活動する機会はなくなってしまいますので、今回企画から上演までたどり着くことができ、本当に良かったです。
最後に、手を貸してくださった留学生のお二人、先輩方、先生方、見にきてくださったお客様、皆さんに心から感謝申し上げます。私たちの語劇を少しでも楽しんでいただけていれば嬉しいです。
最終更新:2023年1月2日