Meantone(ミーントーン・中全音律)
西洋音楽における初のTemperament。JIの考え方が生まれた後、純正3度の響きを導入するために考えられた調律。
アマデウス・モーツァルトが好んで使用していたらしく、ミーントーンで音階が成り立つ調性を選んで作曲した。(小方厚, 2018, 『音律と音階の科学―ドレミ・・・はどのようにして生まれたかー新装版』, 講談社., p99)
実際のミーントーンでモーツァルトの楽曲を打ち込んだのが下記。
The Xenharmonic Alliance Community, Mozart’s Piano Concerto #20, first movement, tuned into meantone, organ version, http://soonlabel.com/xenharmonic/archives/3570
Pythagorean Tuningの長3度と、純正長3度・5/4との差、すなわち81:80・Syntonic CommaをTemper Outする調律と言える。
Meantone・中全音律という名は、全音の大きさが純正音程で生じる大全音と小全音の間の大きさとなるためである。
1オクターブが12音のMeantoneについて話をする場合、Ebを使うがD#は使わず、F#を使うがGbは使わず、G#は使うがAbは使わない、といった厳密なルールもある。1オクターブが12音ではないMeantoneも存在する。たとえば19EDOである。
12-note meantoneは、6つの完全なパーフェクトメジャーキーの演奏を可能とする。EbとG#が、Bb、F、C、G、D、Aメジャーキーを導くのである。
なお、次のようにさまざまなMeantone類(The family of Meantone temperament)がある。
・Regular Meantone・Syntonic Meantone(Regularは、11個の等しい5度と1つの異なる5度から生成されるという意味合いである。そのため、以下のx Comma Meantonの前にRegularを付けても構わない。Regular Temperamentを参考のこと)
・(Regular) 1/4 Comma Meantone・Quarter Comma Meantone
・(Regular) 1/3 Comma Meantone
・(Regular) 1/5 Comma Meantone
・(Regular) 2/7 Comma Meantone(長短3度がともに純正音程より1/7Syntonic Comma狭くなる)
・19EDO
・31EDO
・43EDO
・50EDO
・205EDO
などなど。これらの種類の説明は下記。
MeantoneはTemperamentなので、全ての5度は81:80・Syntonic Comma(21.5cent)のCommaを低く(平坦化・flat)し、Temperするようになっている。4つの5度でできる長3度(Pythagorean JI の81:64)が5:4に近づき、短3度が6:5に近づくためである。
上記の様々なMeantoneの違いは、+2 fifths (完全5度・3/2を2つつ見重ねて生成される音程)である9:8 (203.91cent)と10:9 (182.40cent)、+3 fifths の27:16と5:3、+4 fifthsの81:64と5:4、+5 fifthsの256:243と15:8、その他の一般的な5-odd limit、2:1, 3:2, 4:3, 5:4, 5:3, 6:5, 8:5など、比較的短めの5度連鎖により形作られる形にある。
コンマのわずかな比は、通常完全5度の81:80を低く(平坦化・flat)することを意味するのである。Quarter・(1/4) Comma Meantoneは、5度が3/2から81:80・シントニックコンマ(21.5cent)の1/4低くされている。なお、これは5centよりもわずかに大きいとも解釈ができる。これは、+4 fifthsが純正5:4を与え(完全5度を4回繰り返すと生成されるのが長3度である。完全5度が純正完全5度と純正長3度・5:4との差、すなわち81:80・Syntonic Commaを1/4だけ狭められているのだから、4回5度を積み重ねることで純正長3度・5:4が生成されるのは当然である)、-4 fifthsが純正8:5を与えることを意味する。1/4-commaは、通常特定の場合を除き、純正5:4を分割し、正確に2つの「中間の音・mean tone」、大全音9/8と小全音10/9の間の音となる。純正長3度・5:4は386.3centであり、中間の音・mean toneは193.2centである。
31EDOは、1/4-commaにほとんど近似する。205EDOになるとさらに良い。
1/3-commaは、+3 fifthsにより純正長6度・5:3をを導き、-3 fifthsにより純正短3度・6:5を導く。極端に言えば、1/3-commaでtemperしているのである。19EDOはこれに良く近似する。
1/5-commaは、+5 fifthsにより純正15:8を、-5 fifthsで16:15を導く。そして、あまり極端ではなく、1/5-commaでtemperしていると言える。43EDOは、これに近似する。
2/7-commaは、純正長3度・5:4と純正短3度・6:5のErrorを、1/7-comma狭め、バランスを取るものである。これは、他のRegular Menatonesに比べたら不安定である。フラット(♭)された5:4はmeantoneより低く(平坦化・flat)された6:5は、meantonesの中間にあり、シャープされた5:4と低く(flat)された6:5はmeantonesより高い。50EDOが容易で良い方法である。
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このページのスクリプトは、Cam Taylor氏の発言を参考にさせていただいています。
The script of this page from Mr.Cam Taylor.