Intonation(イントネーション)

Intonationとは、純正音程となるように抑揚をつけたとき、結果的にどのように演奏するかが定まったTuningsの1つであり、明確にセント値で1オクターブの各音を指定することはできないものと、筆者は定義する。

15世紀前の音律、すなわちピタゴラス音律純正律をはじめとしたものである。『New Grove Dictionary』の「Temperaments」に、「Since the mid-15th century, tempered tuning has characterized keyboard music and in Western culture the art music of fretted instruments such as the lute」という一文がある[Grove, 1980c, p.660]。これより15世紀前の音律は、Intonationとして表現していると考えられる。これら音律はそもそも、意図して計算し作られた音律ではないだろう。この音律が使われていたときは、純正5度を作るよう抑揚をつけたものがピタゴラス音律であり、純正3度、純正5度を作るように抑揚をつけたものが純正律としていただけではないだろうか。

トルコの民族音楽の楽器、カーヌーンは、マンダルを用いて微分音程を出すことが可能である。しかし、このマンダルの歴史は浅く、微分音を調整する無数のマンダルは、近代になってから付加されたものである[松本他, 2010, p.152]。これからわかることは、音楽が発生したときに音律が規定されていたわけではなく、音律に合わせるということをその後から考え出した、ということである。