17EDO(17平均律)

筆者が翻訳したXenharmonic wikiの17平均律のページも参照のこと

https://en.xen.wiki/w/17%E5%B9%B3%E5%9D%87%E5%BE%8B

純正5度に近い響きがあることから人気。下記の曲の響きなら、割と忌避感なく響きを受け入れられるのではないだろうか。

Gareth Hearne, line of purples, https://soundcloud.com/gareth-hearne/line-of-purples?fbclid=IwAR3i1lAo4NWAUA0Qaa5G1LlQ87mNLSDsNp8Zd9b4AYEKHphx9g5vgKg8K3o

なお、上記調律は下記で確認いただける。

キーボードレイアウト

Gareth Hearne, Facebook, https://www.facebook.com/groups/xenharmonic2/permalink/2265747983445491/

17平均律の特徴とは次のようにまとめられる。Small EDOs(小さい平均律のこと。大きい平均律としては41平均律が非常に純正5度に近くなる)の中では12平均律に次ぐ純正5度を取る。また、ほとんどすべての音程が一桁のセント値のずれで収まっているため、全体的に協和する響きが多い。多くの理論家により検討されている平均律で、211セントという12平均律の長2度に近い響き(3ステップを必要とするが)、ほぼ純正な5度をもつことから、さまざまな検討がなされている。特にピタゴラス・チューニングのリンマが2つとコンマが1つで、211セントに近似するというのは興味深い。

Blackwoodは17平均律について次のように述べている。

17平均律はDiatonic Scaleをもつ。ダイアトニックスケールは長2度の間隔が3つのクロマティック音程であり、短2度の間隔は1つのクロマティック音程である。我らはおそらく19平均律と同じ手法で音を配置することによって、17平均律のクロマティック音程と関連するCmajorの形に音が置かれるだろう。

17音:2つのダイアトニックスケール、5つの同じ大きさの長2度、2つの同じ大きさの短2度をもつので、このチューニングは12音チューニングと多くの共通点をもっている。17のノート・チューニング、それぞれの長2度は、12音チューニングの2つ(長2度と短2度)より、むしろ3音分の半音階的音程にわたる。12平均も17平均も、短2度は1つの半音階的音程に渡る。17の3和音は、大きい長3度のため非常に不一致である。従って、チューニングの協和する主要和音は、マイナーセブンスを付加した短3和音となる。そのスケールは小さな短2度と関係があるため非常に良く、またマイナーセブンスコードはたぶんドリアン、フリギアン、エオリアン旋法のトニックとして役立つだろう。

George Secorは、「The 17-tone Puzzle―And the Neo-medieval Key That Unlocks It」において、5度の近似値に関する興味深い図とともに、17平均律の音程について、述べている。

分析の結果として、17平均律における全音は((3))//17(3º17)stepである。ディディモスコンマ(Didymus・なおシントニック・コンマと同様)とは異なるが12・19・31平均律の全音は9/8から10/9の間であり、アルキタス(Archytas)コンマとは異なるが、17平均律の全音は9/8から8/7の間である。ピタゴラス・チューニングやミーントーン・テンペラメントの5度から離れ、19平均律と31平均律の5度を加え描くためにFigure1が修正されたとする。そしてX軸の領域(ジェネレート・インターバルサイズを示す)が広い5度を含むようにシフトし、そして他の2つの音程もこれら広い5度が生成されるようシフトされるならば、結果としてFigure4が生成される。

新しいFigureから明らかなのは、狭い5度のテンペラメントの中で、メジャートライアド(4:5:6)とマイナートライアド(10:12:15)を作り上げる音の平行線が存在することである。幅広い5度のテンペラメントの中でサブマイナートライアド(6:7:9)とスーパーメジャートライアド(14:18:21)を作り上げる音とともに。各テンペラメント類は31平均律または22平均律といったミーントーンシステムに最適なハーモニーに近似する均等分割をもつ。それらはテンペラメント類により定義されているテンペラメントを分割する2つの純正音程の間にテンパーされた全音である。またそれぞれほとんど正確な3つの5度により生成される音程を主に代表する平均律をもつ。たとえば19平均律においては長6度や短3度が、27平均律においてはスーパーメジャーシックスやサブマイナーサードである。12平均律または17平均律において、ファミリーを含み、最小のエラーの5度をもち、音数が最も少なく、メロディーの特徴をもつ点では、17平均律が最も優れている[Secor, 2006, pp.6-63]。

Figure1は「The 17-tone Puzzle―And the Neo-medieval Key That Unlocks It」のp.56に示されている。

Figure4が非常に興味深い。Small ET(小さい数の平均律)において、純正短3度に最も近づくのは19平均律であり、長3度に近づくのは31平均律、完全5度に近づくのは12平均律に次いで17平均律、7リミットの長3度、ボーレン・ピアスの3度(9/7)に最も近づくのは22平均律で、7リミットの短3度・7/6に最も近づくのは27平均律である。そしてメジャートライアド(4:5:6)とマイナートライアド(10:12:15)、サブマイナートライアド(6:7:9)とスーパーメジャートライアド(14:18:21)を作り上げる平行線が存在するのである。この図を読み解くと、メジャートライアド(4:5:6)とマイナートライアド(10:12:15)が19平均律と31平均律で、サブマイナートライアド(6:7:9)とスーパーメジャートライアド(14:18:21)が22平均律と27平均律で、非常に良い値で生成されることも瞬時にわかる。

また、Margo Schulterは17平均律について詳しく述べている。ここでは17音MOS(MOSに関しては4章を参照のこと)音階について取り上げる。平均律が12平均律について純正完全5度に近いことを応用し、次のように述べている。

この手紙の主な焦点は、中世の伝統的な17音ピタゴラスシステム(または90セントのリンマから23セントのコンマの近似をもつMOSチューニング、MOS Scaleについては4.12節を参照)についてであり、79-MOSよりも大きな希望がない、または小さい、現代のシステムをもった東洋に近い、そしてヨーロッパのチューニングと比較している。79-MOSは704.607セントをもつ24音レギュラーテンペラメント、またはいくつかの音程値における小さなヴァリエーションとともに、同じシステムで1024平均律シンセサイザーで実行される。その手紙で観測されたように、この24音システムはMOSではなく、しかし2つの12-MOSシステムの統合とみなすことができ、そしてまた17-MOSは中世の17-MOSチューニングと比較することを誘う。

・・・・・・略

このダイアグラムが示すのは、17-MOSのオクターブはおそらくディアトニック的に5つの209セントの音と2つの77セントのリンマに分割されており、ここではA-B-C#-D-E-F#-G#-Aと置く。各5つの音は3つのステップ、77セントのリンマと55セントのディエシスと77セントのリンマに再分割される。ここではl-d-lとする。

77-55-77セントの分割は、71-71-71セント(正確には70.588セント)という17平均律と共通点がある。ピタゴラスチューニングとの対称性は、もしあまり正確ではない丸みを帯びた90-24-90セント(正確には256:243・limmaが90.225セントで、531441:524288・commaが23.460セントとなる)であるとみなすなら、9:8トーンがlimma-comma-limmaの中にあり、好都合と判断できる。古典的なピタゴラス分割は、周波数比をおおよそ4-1-4に分割し、1音に9つのHoldrianコンマをもつ53平均律を正確にもつことになり、e-basedテンペラメントにおいて、その周波数比は非常に109平均律、または7-5-7と関連する。[『Bestii.com』, Schulter, Margo., http://www.bestii.com/~mschulter/17-MOS-tunings_Letter-to-Ozan.txt].

77-55-77(計209セント)セントというセットを基準とすることで、結果的に17平均律に近いセント値(約211セント)が生成される。音階はMOSシステムであり、加えてピタゴラス・チューニングに出現するリンマ(ピタゴラス音階の半音・256/243)とピタゴラス・コンマと関連があることから、ピタゴラス・チューニングと関連があるともしている。

また、Margo Schulterの17平均律に関する記述はYahoo Groupsにもみられる[『Making Microtonal Music―MIDI: Harmony in 17-ET/WT/ME/JOT』, Yahoo Gropus, https://groups.yahoo.com/neo/groups/MakeMicroMusic/conversations/topics/6632(最終確認日:2015年9月22日).]。

Xenharmonic Allianceの17 tone theoryにおいては、次のような記述がみられる。

17平均律は12平均律や純正調の5度ととても近い5度をもつ。その結果として、5線譜上の通常の5度圏を使う。しかしそれは、5度の異なったサイズの積み重ねによって、新しいエンハーモニックと同様のねじれをもつ。閉じた5度圏のエンハーモニックネームを理解することで、次のように書き出すことができる。

Cb Gb Db Ab Eb Bb F C G D A E B F# C# G# D# A# E#

そしてそのとき望ましいサイズの円に包まれる。もし17を望むならば、Cb=A#となる。フラット・シャープの値がとても大きい。その近い2つの音は円の中にあり、なじみある和声の機能をもつ[『Seventeen Theory』, Xenharmonic wiki, https://en.xen.wiki/w/SeventeenTheory(最終確認日:2018年10月6日).].。

Xenharmonic Allianceでは、17平均律が、12平均律に次いで純正5度の響きを発生させる平均律であることから、5度圏にできるとしており、その際Cb=A#となるとしている[『17EDO』, Xenharmonic wiki, http://en.xen.wiki/w/17edo(最終確認日:2018年10月6日).]。

12平均律の完全5度が純正5度から1.96セントずれているのに対し、17平均律は3.93セントずれていることより、12平均律よりは2セントずれた響きになる。また全体的に、一桁のセント値のずれで収まっている音程が非常に多く、悪い響きがする音程が少ないことも特徴的である。

Secor, George., 2006, The 17-tone Puzzle: And the Neo-medieval Key That Unlocks It, Xenharmonikon(An Informal Journal of Microtonal Music), vol.18, pp.55-80.

17 TET MUSIC PROJECT(筆者はたしかWilliam Lynch):http://17project.yolasite.com/

Feeding Fingers - Fontanelle - Official Video - 17 EDO( 6th Feeding Fingers studio album, 'Do Owe Harm'. Directed & animated by Steven Lapcevic):https://www.youtube.com/watch?v=_Itdb2JxWWI&feature=youtu.be

楽曲

MKS Princess, Dont Stop Me Now 17edo, https://soundcloud.com/user-199977836/dont-stop-me-now-17edo/s-axB9h?fbclid=IwAR2M_KMkuNp9x2zucOMp4wnVU7kkpP0GZ2Yy1jWbUIrH5eV6oj7g29B5Zbs(かなり安定した響きと評価されている)