22EDO(22平均律)

筆者が翻訳したXenharmonic wikiの22平均律のページも参照のこと

https://en.xen.wiki/w/22%E5%B9%B3%E5%9D%87%E5%BE%8B

珍しい22平均律の声楽曲はこちら。

Gareth Hearne, Mass in 22edo - Agnus Dei, https://soundcloud.com/gareth-hearne/mass-in-22edo-agnus-dei

Thomas​Scheurich, Oh Twenandoah (22TET), https://soundcloud.com/thomasscheurich/oh-twenandoah-22tet

22平均律の特徴とは次のようにまとめられる。シントニック・コンマテンパーアウトしない、5リミットとして非常に優れ、なおかつ7と11リミットでも近似する調律である。インド音楽でも22律が使用されているが、それはおそらく22平均律ではなく、これら音程がテンパーされたテンペラメントである。また、Small EDOsの中で7リミットの長3度、ボーレン・ピアスの3度(9/7)に最も近づくのは22平均律の((8))//22stepである。

厳密な平均律とは違うが、インド音楽は22律だと言われている。藤枝は、インド音楽について次のように述べている。インド音楽は、オクターブを22に分割した「シュルティ」と呼ばれる単位から、「スラヴァ」と呼ばれる「Sa, Ri, Ga, Ma, Pa, Dha, Ni」という7つの音高が決定される。そしてシュルティの配列によって、サ・グラーマとマ・グラーマと呼ばれる2つの基本的な音階が形成されるが、この2つの基本音階は、たったひとつのシュルティによって区別される[藤枝, 1999, pp.15-157]。また彼は、その音律のセント値を示している。

Paul Erlichは、22平均律について詳細に述べている。それが平均律ではないかという仮説については、次のように述べられており、現代では否定されるとしている。

インド音楽における22音チューニングの歴史は、1オクターブあたり22-sruti (shruti)となる観点から述べられる。ピッチによる実際のセットで示されたとしてもしなくても、またはいくつかの音階のステップが他のものより大きいことを述べることを示しても示さなくても、議論を呼び起こす。いくつかの関連する初期の説明書は、22平均律のチューニングアプローチを提案している。現代の説明書においては、基本となる3つの音程からインドの7音の音階が生成されると述べられている。4-srutiの9:8、3-srutiの10:9、2-srutiの16:15である。3:2は13-srutsi(ママ)、4:3は9-srutiで、5:4は7-srutiで表される。したがって、これら音階の構造のハーモニーは、22-Equalで良く表される。しかしメロディー構造は幾分か異なっている[Erilisch, 1998, p.30]。

加えて、2つの基本的な音階についても音程表を作成している[Erilisch, 1998, p.30]。

藤枝は、サ・グラーマとマ・グラーマと呼ばれる2つの基本音階は、たった一つのシュルティによって区別されると述べているが、そのことはこの表から読み取れる。しかし、それよりも重要なことは、まるでモードの考え方のように、基本の音高がシフトしていることではないだろうか。

先のインド音楽が22平均律ではない、ということに関する内容は、Mieczyslaw Kolinskiも著書『Studies in Ethnomusicology』の「The Origin of the Indian 22-Tone System」でも述べている。

しかしながら、1つの平均律であるという仮説は見捨てられた。インド人のバラタ族の文章と同時期に、音楽的現実性がもう1つの好ましい概念と非常に一致したようだからである。後者の9と13-shrutiの音程はsamvadiであり調和する。それゆえ、それら2つの音程は、とても正確に4度の3:4と5度の2:3を表現していると認めることができる。

これらのことより、藤枝の22律のセント値が正しいのかは定かではないが、インド音楽の22律は決して平均律ではなく、22 Tone-temperamentの考え方に近いことがわかる。

5リミットとのエラーの大きさは、インド音楽で22音がテンパーされたのも納得がいくものである。6/5とは11.63セント、5/4とは4.50セント、4/3とは7.14セント、3/2とは7.14セントである。非常に5リミットの響きに近い。加えて、17EDOの内容から、7リミットの長3度、ボーレン・ピアスの3度(9/7)に最も近づくのは22平均律の((8))//22であり、加えてサブマイナートライアド(6:7:9)とスーパーメジャートライアド(14:18:21)に良い値で近づく。

Xenharmonic Allianceは、次のように述べている。5リミットに非常に近く、なおかつ7・11にも十分近い。それゆえ、ライブパフォーマーのための音数が少ない楽器の検討にふさわしい。22平均律の顕著な特徴は、81/80のシントニックをテンパーアウトしないことである。12平均律は区別しないが、22平均律においてはピタゴラスと5リミットの音程の数を区別することを意味する。22平均律はまた、5リミットJI(Just Intonation)として、たくさんのより鋭い、34平均律や41平均律、53平均律のようなものと比較される[『22EDO』, Xenharmonic wiki, http://en.xen.wiki/w/22edo(最終確認日:2015年9月22日).]。

12平均律同様5リミットに近いうえで、シントニック・コンマを12平均律とは違いテンパーアウトしないことは興味深い。また、34・41・53平均律も5リミットJIの比較として検討されるとしている。なお、41と53音の純正音程の検討は、2.2節で述べているので参照していただきたい

Erlich, Paul., 1998, Tuning, Tonality, and Twenty-Two-Tone Temperament, Xenharmonikon(An Informal Journal of Microtonal Music), vol.17, pp.12-40.

曲, 響きの確認, Tell Me Before the Entropy Hits (22edo), Stephen Weigel, https://www.youtube.com/watch?v=zraDV_3uprU&t=11s&fbclid=IwAR31Sv1-8o6SAwiXkIZUBI_keLdZIjNZmC__NqacOb0S7OddSStjMiirMT4

曲, Gleam (cover, 22edo) - Sevish, Stephen Weigel, https://www.youtube.com/watch?v=bKNuSRujLPY&lc=UgwY4XEj2RRmUHPGEXV4AaABAg&fbclid=IwAR1FpHpcZLI_ZKJmeZWYonUUspy7G2vSYCuDI9D8Y2pC-MmpmMwr39zjmC0

ピアノ4台使用の曲

曲, Microtonal Guitar - "Piece for Two 22 EDO Electric Guitars" https://www.youtube.com/watch?v=35ZTvwQG-oA&feature=youtu.be

曲, Brendan Byrnes - 22-EDO etude transcription, https://www.youtube.com/watch?v=ZadbLdMzWnQ