Gamelan(ガムラン)

インドネシアの民族音楽の総称。

調律が12平均律とは大きく異なるため、音律や微分音の話となると、比較的多く聞く有名な民族音楽。

Youtubeにも動画はたくさんある。

Javanese Gamelan: Gamelan Kusuma Laras New York:https://www.youtube.com/watch?v=qaJ_5hcnEQA

Balinese Gamelan Music on Microtonal Guitar - Chris Charles:https://www.youtube.com/watch?v=6GoGlj5IyZc

各村ごとに代々竹の音叉が引き継がれており、その音叉に基づき金属の打楽器が作成される。それゆえ、各村ごとに調律は異なることになる。

ガムランは、うなりが重視される。どれだけよいうなりの響きを演奏することができるかで、演奏者の腕が評価される。

ガムランの調律は、大きく分けで2種類あるといわれている。1つはSlendro(スレンドロ)で、5平均律に近いといわれている。もう1つはPelogで、Kunstは7音に分割したうえでの2音の挿入によって形成される調律、すなわち、おおよその9平均律だと述べている。これらの調律は、この音、という点の考えではない。幅のある、このあたりからこのあたりの音という考え方である。

なお、ガムランに使用されるボナンという楽器は、5平均律に適したスペクトラム構造をもっている。これに関しては、Concordanceを参照していただきたい。

ガムランに関する本は、Kunstの「Music in Java」が有名。Javaはインドネシアのジャワ島のこと。

Kunst, Jaap., 2013, Music in Java: its history, its theory and its technique, Ⅰ, Springer.

「7音pelog」システムについて議論した結果、同距離という結論に至った。たとえば、基本の音階に含まれる2つの長音程の間に、1音を挿入することによって同距離になる。ⅢとⅣの間の挿入は、「Sumedang」、「panangis」、「wailing tone」などと呼ばれ、一方ⅦとⅠ’の間の挿入は、「pamiring」、「diviating tones」と呼ばれる。

[Kunst, 2013, pp.5-53]

また、小泉文夫もガムラン音楽について次のように述べている。ABCの説明は、実際の図を見ないと解釈が少々困難かと思われる。あくまでも参考として見ていただきたい。

小泉文夫, 2009, 『音楽の根源にあるもの』, 平凡社.

インドネシアのペログ音階は、1オクターブを9つに分割するのが基本にあり、それをAとする。一方、スレンドロ音階は5つに分割するのが基本にあり、これをBとする。このAとBを結んだ線上において、ドレミファソラシドの幅に合う線がCである。そこで問題のペログとかスレンドロというのはどういものかといえば、表に図示したような純粋な音程ではなく、代替このあたり(暗色の部分)であればどこでもよく、ここでなくてはいけないというふうにはなっていないのである。つまり、正しいものは一点ではない。線ではなくて幅がある。従来、日本人は西洋音楽をやる場合に、正しいのは1点だけで、それ以外は間違いだという教育を受けてきた。概して西洋にはそういう性格があるけれども、東南アジアのものはそうではなくて、はるかにリラックスしており、許容範囲が広い[小泉, 2009, pp.21-215]。それは、人が演奏するのを全部聞きながら、あの人があのようにやるのなら私はこういうふうにやりましょう。せっかく、あのおじさんがこうやっているんだから、私はこちらでやりましょうと、すべて相手を立てながらやってゆくためである[小泉, 2009, pp.214-217]。