19EDO(19平均律)

筆者が翻訳したXenharmonic Wikiの19平均律のページも参照のこと

https://en.xen.wiki/w/19%E5%B9%B3%E5%9D%87%E5%BE%8B

2016年、NedoPianoと呼ばれる19平均律のピアノが、日本人の手によって制作された。

youtubeで、6章構成の19平均律の探求動画も存在しているぐらい有名なn平均律の1つ。

Exploring 19-TET, HEHEHE I AM A SUPAHSTAR SAGA, https://www.youtube.com/watch?v=-R9DX_-2JH0&list=PLha3CFvr8SzwlDpGL9MrJcoN8xOHyowsw

19平均律の特徴とは次のようにまとめられるだろう。純正短3度にとても近づく平均律であり、メジャートライアド(4:5:6)とマイナートライアド(10:12:15)がよい値で生成される。また、それ以外の音程も純正音程とのcent値のErrorが一桁以内で収まるものが多く、濁りの少ない響きが多い。5/4や3/2といった長3度、完全5度の響きにもそれなりに近いため、12平均律に似た響きを生み出すことが可能である。((14))//19step・884.21セントは5/3という非常に美しい純正音程とのエラーがわずか0.15セントという極めて美しい響きである。19平均律の歴史は19世紀のルネサンスから活発になった。そのころ19平均律とみなせるチェンバロがあった可能性がある。19平均律の短3度は限りなく純正短3度に近いが、完全4度と5度はそれなりにエラーが存在する。しかしながら、Temperにすることによって、純正短3度・長3度・完全4度・完全5度を取ることに、多くの音楽理論家が成功している。

17EDOで検討したように、Small EDOs(小さな平均律)の中で純正短3度に最も近づく平均律であり、メジャートライアド(4:5:6)とマイナートライアド(10:12:15)がよい値で生成される。また、それ以外の音程も純正音程とのセント値のエラーが一桁以内で収まるものが多く、うなりの少ない響きが多い。5/4や3/2といった長3度、完全5度の響きにもそれなりに近いため、12平均律に似た響きを生み出すことが可能である。しかし半音階的側面からすると異なったおもしろい特徴がみられる。Easley Blackwoodは、完全4度がきれいに半分に分かれるとし、12音との大きな差を述べている[Blackwood, 1994, p.4]。本研究者は特に、((14))//19・884.21セントに注目する。これは5/3という非常に単純な純正音程とのエラーがわずか0.15セントという極めて美しい響きである。

19平均律について述べた、Mayer Joel Mandelbaumの有名な論文がある。ここではいくつかの項目について抜き出し検討する。彼の論文はオンライン上でまとめられている。

Anaphoria:MULTIPLE DIVISION OF THE OCTAVE AND THE TONAL RESOURCES OF 19-TONE TEMPERAMENT BY MAYER JOEL MANDELBAUM,  1961

http://www.anaphoria.com/mandelbaum.html

PDFファイル

http://www.anaphoria.com/mandelbaumthesis.pdf

19平均律が何人かの書き手に控えめに主張されたのは、19世紀のイングランド人や・・・・・・

・・・・・・略

2つの重要な19平均律の関連事項は、19世紀前に直接主張されることはなかったけども、ルネサンスがルートであることである。ルネサンスの理論家に導かれ、理論上は、19平均律にはいくつかの制限された承認がすでに与えられていたようだ。実際には、ルネサンス期に19平均律はオクターブ19音を使用したいくつかの楽器が先行して主張されていた。われらはこれら楽器がどのようなチューニングだったか正確にはわからないけども、明らかに19平均律でもなくミーントーンテンペラメントでもなく、それは最も1/3-commaテンペラメントに近い。しかしながら、これらの楽器の現物は幅広く知られており、そして可能性があるチューニングとして、19平均律と認識できるものがいくつか主張された可能性がある。これら楽器は容易にリチューニングできるチェンバロであり、実験的なチューニングとリチューニングを行われていて、1/3-commaを含むさまざまな可能性の平均律があった。

要約すると、次のようになる。19平均律の歴史はルネサンスがルートにあり、19世以降から活発になった。ルネサンス期には理論が存在していたものの、それより先行して19音の楽器が存在しており、中には1/3-commaテンペラメントとともに19平均律の楽器も存在していたと考えられる。実験的調律がチェンバロで行われ、さまざまな音律をもっている可能性があった。

また、音響面、すなわちセント面からも検討しており、数人の19音チューニングについて主張した人物の音律とともに、次の表でまとめている[表21]。

[表21]Mayer Joel Mandelbaumによる19音チューニングの一覧

[Mandelbaum, 1961, p.314]

なおこの中に純粋な19平均律が含まれていない。19平均律の短3度は限りなく純正短3度に近いが、完全4度と5度はそれなりにエラーが存在する。だが紹介されている理論家が、19平均律をテンペラメントにすることによって、純正短3度・長3度・完全4度・完全5度を取ることに成功していることは興味深い。

この論文の最後では、自作曲とその楽曲分析が行われている。示されている楽曲の調律方法が興味深い。以下にその調律方法に関する内容を引用する。

 

ここで使用する記譜法は、伝統的5線を使い、19のピッチネームをCから並べる。その2つのピアノは上記のようにチューニングされる[Mandelbaum, 1961, p.405]:。

5線譜に記譜する場合、通常特殊な臨時記号を使用することが多い。ここでは一般的な臨時記号のみを使用することで、特殊な臨時記号の使用を避けている。なおかつ、ピアノを2台別のチューニングすることで19音の音を実現している。一風変わった調律方法と記譜法である。

19平均律に関してはEasley Blackwoodもまた詳細に述べている。彼のDiatonicシステムから生成される平均律の1つだからである。彼は全全半全全全半・2212221=12というシステムを、3323332というシステムに置き換えることで19平均律を作成している[Blackwood, 1991, p.168]。そしてまた、E#とFb、B#とCbは同じ音となるエンハーモニックの5度圏システムを検討している[Blackwood, 1991, p.170]。

19平均律に関しては、Siemen Terpstraというwebサイトでもまとめられている。

Siemen Terpstra, Melle Weijters, http://siementerpstra.com/category/19-et/ (2017年12月17日)

曲:

Mystère et tolérance (19-ET):https://www.youtube.com/watch?v=9ce3_uOwJeU

Pelagosa (19 edo microtonal), https://www.youtube.com/watch?v=l5RGLK8MYHY

Moon Of The Orient (19ET electric guitar), NanoHarmony, https://soundcloud.com/nanoharmony/moon-of-the-orient

Trio for Piano, Vibes, and Hand Pan in 19 EDO, joel taylor 「 Polyphony for 12 」 より, https://joeltaylor.bandcamp.com/track/trio-for-piano-vibes-and-hand-pan-in-19-edo

曲:Big Bang (19edo/10edo), https://www.reverbnation.com/ziausa/song/28389233-big-bang-19edo10edo

曲:Ambient 19 edo electric guitar, https://www.youtube.com/watch?v=aobdlCZUkCk

Blackwood, Easley., 1994, MICROTONAL COMPOSITIONS, Cedille Records.

Blackwood, Easley., 1991, Modes and Chord Progressions in Equal Tunings, Perspectives of New Music, v29 n2, pp.166-200.

Mandelbaum, Mayer., 1961, Multiple division of the octave and the total resources of 19-tone temperament, University Microfilms of Indiana University Disseration.