5EDO(5平均律)

5平均律の特徴とは、完全5度が18.05centシャープされた響きと、短2度と長2度の間に当たる240セントというXenharmonicをもつ平均律であり、あらゆる音程がそれなりに協和するということである。また5平均律はXenharmonicをもつ最小の響きであり、インドネシアのガムランにおける調律の一種であるスレンドロの響きに近い[『5EDO』, Xenharmonic wiki, https://en.xen.wiki/w/5edo(最終確認日:2018年10月6日).]。

Lou Harrisonを代表として、7/6と9/7は、通常7/6を「subminor third」、9/7を「supermajor third」と呼ぶことがある[Lieberman, 2006, p.72]。だがこれは統一されたものではなく、短より小さく減より大きい音程をsub、長より大きく増より小さな音程を呼ぶものをsuperとすることが原則の、D.-R. Interval Typesため、必ずしもこの周波数比のみがそうであるとは言い切れない。それゆえ今回は、Huygens Fokkerの純正音程表をもとに表を作成している。これは表のデータの統一性を図るためである。純正音程の名前は数多く存在し、理論家ごとに名称が異なることが珍しくない。例としてHermann L. F. Von Helmholtzも、純正音程のリストを作成している[Helmholts, 2007, p.481]。それゆえ、音程の名称の統一を図るため、subminor third、supermajor thirdをここでは使用しない。「大全音」は純正調に表れる大きな全音であり、「小全音」(10/9)と対を成す音程である。「Septimal」、「undecimal」、「tridecimal」をそれぞれ本研究者は「7リミットの」、「11リミットの」、「13リミットの」と翻訳した。

先の表から、周波数比が単純に書き表されるもので差が10セント以内の純正音程は、8/7と7/4の2つのみであることがわかる。一見純正音程に近い響きが少なく、不協和に聞こえるように思えるが、Xenharmonic Allianceが述べているように、そこまで不協和な響きはない。これはおそらく、240セントの響きが8/7にそれなりに近く、それ以外の響きは開離しているためである。nが偶数の平均律はすべて3全音、すなわち600cが発生するが、5平均律では発生しない。

Easley Blackwoodは、5平均律に関して次のように述べている。

12平均律を3分割すると、3平均律となり、事実上3平均律は増3和音となる。4分割すると4平均律となり、事実上4平均律は減7和音となる。そして6分割すると6平均律となり、事実上6平均律は全音音階になる。通常5分割はしない。これらから考えると、5平均律は減7和音と全音音階の中間のような響きがすることになる。4平均律(減7和音)と6平均律(全音音階)はクロマティックユニットであるものの、その間にある5平均律は、ダイアトニック的特徴をもつと、少なくともBlackwoodの耳では感じられるのである。彼が発見した最も主観的な特徴とは、短3度と見分けがつかない、拡大された長2度、すなわち((1))//5をもった歪んだペンタトニックをもつということである。