2025年8月5日発売の週刊FLASHに中野裕子津市議への取材記事が掲載されました。この取材には私も関与していたのでいくつかの事項を記載しておきます。
以下、記事掲載に至る経緯です。
・私が党関係者から「離党詳細」の文書を入手し、以前から仕事をしていた週刊FLASH編集部と連携して取材を開始
・中野さんは、一方的な憶測記事になることを避けるため、事実関係を正確に伝える必要があると判断し、取材に応じた。党を攻撃するために自分から週刊FLASHに接触したわけではない
・週刊FLASHも私も、この件が「現職議員同士の事案」であり、かつ「公党のコンプライアンス・ガバナンスの問題」であることから、緊急性と公共性の高い事案だと判断し、取材・記事化に至った
誌面化に際して分量の制約があり、掲載できなかった複数の事実があります。以下、重要と思われるものについて提示します。
(1)「離党理由」文書の扱いについて
日本共産党は週刊FLASHの取材に対して、「中野市議から『検証は私からの聞き取りをするのか』と問われ、中野市議から提出された『離党理由』を専門家に見てもらい検証すると答えています。吉田県議にも見てもらうのは当然です」と回答しています。この表現だと日本共産党は事前に中野氏に「離党理由」文書を用いてハラスメント検証を行う旨、書類提出以前あるいは提出時に事前通知しているように思えます。
しかし実際の経緯は中野市議の手元記録によると以下のようになっています。全て2025年です。
4月21日 離党届提出:詳細な理由の書面での提出を求められるがハラスメント検証のためという説明も要請もなし
4月26日 離党理由提出:ハラスメント検証に関する説明なし
5月10日 話し合い:中野氏ハラスメント検証の可否を尋ねると、すでに行なっている旨と事前了承なしに書類閲覧の事実を委員長が説明。聞き取りの有無は確認されず
5月30日 ハラスメント不認定通告:中野氏書類のみの調査に不備を訴える
上記内容より、離党理由提出以前あるいは提出時に書類の扱いについて事前通知しているという記録は見当たりません。また、「聞き取り」を行わない旨、事前確認が行われている記録は確認できません。離党理由には中野氏と吉田氏について党関係者の証言もあり、離党理由を吉田氏に渡す行為はその証言者の身の危険に繋がります。
また、「聞き取り」について重要な事実があります。記事にもあるとおり、両者の関係について対応をどのようにするか、党側で協議が行われています。この協議に先立ち、中野氏に対して「聞き取り」が行われましたが、実際には聞き取りを担当した党幹部は傾聴の姿勢に欠けており、自らの個人的な話を多く語るばかりで、適切な事実関係の聴取はほとんど行われていなかったようです。離党時に「離党理由」の詳細提出を求められたことはこの点とも繋がり、このときの「聞き取り」が不十分であったことを証明しています。
なお、雑誌掲載の全ての回答は基本的に原文のままであり、「吉田県議にも見てもらうのは当然です」についても原文の通りです。
(3)中央委員会の関与
中野氏と党との間で準備していた「離党声明」の初稿のワードファイルには、作成者として「岡嵜郁子」の名前が記載されていました。岡嵜郁子氏は、日本共産党中央委員会選挙・自治体委員会自治体局長であると同時に、中央委員、幹部会メンバー、さらに常任幹部会の一員でもある人物です。つまり、党中央の地方議会担当であるとともに、中枢の意思決定に関与する最高幹部のひとりです。
さらに、その「離党声明」初稿には、中野氏の同僚議員である「滝勝弘(まさひろ)」氏の名前が「滝かつひろ」と誤った読みで記されており、中野氏は「普段から関わっているなら、こうした読み間違いはありえない」と述べています。
これらの事実は、党中央委員会が中野氏の離党プロセスに直接関与していたことを示唆しています。
中野氏より経緯記録をいただいたのですが、かなり込み入っています。
中野氏と県委員会/地区委員会、中央委員会の三者間で中野氏の離党理由をどこまで詳細に記載するか、ハラスメントという文言を入れるかで見解が分かれていたという印象です。さらに声明発表に至る段取りの共有も不十分で、中野氏と県委員会/地区委員会の認識が異なり、両者の信頼関係の最終的な決別はこれに起因します。
ただし、率直に言って今回の事案の全体像からするとSNS等を騒がせた離党声明問題については、声明自体は有権者への説明責任という観点から重要ですが、この問題そのものは中野氏と党側との長期にわたる信頼関係の崩壊プロセスの帰結点に過ぎず、事案全体を記載する上では重要度は落ちるのではないかというのが私の評価です。
「ナプキン騒動」が中野氏の離党のきっかけとなったことは事実ですが、これについてSNS上では、「当てつけと受け取るのは中野氏の思い込みだ。そんな些細なことを気にするのは議員として不適格だ」といった投稿が見られ、それらを党関係者が拡散する様子も確認されました。
しかし、中野氏の離党理由を記した文書や、聞き取りから明らかになるのは、この騒動が突発的に起きたものではなく、長期にわたる歪んだ関係性の末に起きた出来事だということです。
吉田氏は中野氏に対し、たびたび言動で優位に立ち(マウントを取り)、結果として中野氏の自己肯定感を損なっていました。それでも中野氏は、吉田氏の言動を「自分にとって意味あるものだ」と捉えようとし、苦悩の中で関係を維持しようとしていたのです(離党理由では「どんどん自分らしく動きにくくなってくる」「あとで怒られるかな、これもあとで怒られそうって過剰に考えてしまう」「合わせなきゃいけないとか、あの子の気にいるようにしないとって思っちゃってる」と当時、党関係者に述べていたことが記載されています)。
この関係は、いわゆる「マイクロアグレッション(微細な攻撃性)」の連続といえるもので、関係初期から中野氏には身体症状も現れており、当初から心理的に不安定な状態に置かれていたことがうかがえます。
外部からはこのような構造が見えづらく、党機関とのやりとりの中でも「仲が良い時期があったのだから、ハラスメントとは言えないのでは」といった見方がなされていました。しかし実際には、中野氏は吉田氏とともにいることで心理的な安全が脅かされていたのです。
また、取材の中で印象的だったのは、中野氏が吉田氏との関係については詳細に語る一方、それ以外の出来事については記憶が曖昧になる傾向があったことです。本人は「記憶力がよくない」と語っていましたが、身体的症状の出現や所属コミュニティからの離脱、関係の終わり方の激しさを考慮すれば、こうした記憶の曖昧さは、強いストレス下における防衛反応としての「記憶の飛び」ではないかと推察しました。
関係が断たれた後も、吉田氏は中野氏に接近しようとする行動を繰り返しました。たとえば、突然和解を申し入れるような連絡をした際、中野氏は動悸や吐き気に襲われたといいます(2024年10月)。また、離党後には、在籍中、中野氏の体調を考慮し同席が避けられていたにもかかわらず、さらにオンラインで傍聴できるにもかかわらず市議会に直接姿を見せるなど(2025年6月18日。中野氏の離党は5月31日)、中野氏の前に意図的に現れるような行動もありました。
これらは中野氏にとって心理的・身体的な影響を及ぼさずにはいられないものでした。
おそらく吉田氏としては、党から制止されていたとしても、関係を修復し「スッキリしたい」という感情が先走った衝動的な行動だったのでしょう。実際、吉田氏は党関係者とのやりとりの中で「自分が嫌われているのがつらい」と漏らしており、中野氏の離党文書にはそのやりとりの記録も残されています。
全体を通じて見ると、両者の関係は、いわゆるDV(ドメスティック・バイオレンス)に近い構造を持っていたように思われます。第三者からは「ただの言い争い」「些細な衝突」と見られがちですが、被害を受けている側は「うまくいっている時もあるのだから、自分が我慢すればいい」と思い込み、加害している側は「相手は未熟で、自分が導かねばならない」と信じ込んでいる――そうした非対称な関係が、やがて破局的な終末を迎えるのです。実際、中野氏は当時、周囲に「まるでDVのようだ」と相談していたといいます。
したがって、「ナプキン騒動」は偶発的な誤解ではなく、長年にわたる関係の歪みの果てに表出したものでした。中野氏は、吉田氏による真意の見えない投稿に混乱し、「こうしたことがまた起きるならば」と離党を決断したのです。「これは自分への当てつけなのか」と疑念を抱かざるをえなかった経緯や、その過程での苦悩を無視して、中野氏だけを一方的に批判するのは不適当と言わざるをえません。
このように、ハラスメントとは「関係性の中で生じる暴力」であるため、申立て(文書)に基づいた丁寧な聞き取り調査が不可欠です。ところが今回は、ハラスメントの検証を前提とせずに文書の提出のみを求め、中野氏に対してはその書面だけで判断を下すという対応が取られました。これは、通常のハラスメント対応としては極めて考えにくいものであると感じられます。
また、ここでは「誤解」としましたが、一部SNS投稿については二次被害につながるものもあり、この点は後ほどまとめたいと思います。
ひとまず以上です。これら内容については中野氏に確認し、FLASH編集部の担当者と共有しております。
公開日:2025年8月11日
原稿作成にChatGPTを用いました