第2回IBSセミナー
科学研究費助成事業(若手研究)
「感覚と情動の人類学:現代日本と中国における気功実践を事例に」中間報告会
「治される身体、感じられる気」
現代中国の気功をめぐる感覚と情動の現場(フィールド)
2025/8/4 立命館大阪梅田キャンパス
第2回IBSセミナー
科学研究費助成事業(若手研究)
「感覚と情動の人類学:現代日本と中国における気功実践を事例に」中間報告会
「治される身体、感じられる気」
現代中国の気功をめぐる感覚と情動の現場(フィールド)
2025/8/4 立命館大阪梅田キャンパス
IBSセミナー(Seminar of Integrated Body Studies and Self-Care)は、「統合的身体研究とセルフケア」をテーマに、実践的な科学研究と解釈的な文化研究、さらに最新の人工知能研究やオンライン通信技術を含む情報科学技術を活用・融合させた学術的な議論と実践の場を提供する市民に開かれた公開イベントです。このセミナーは、2010年代以降、主に関西地域を中心に展開された実存哲学や意識研究の成果に影響を受けた身体研究、および主に関東地方で発展した体育教育分野における養生研究の流れを基盤としています。
実証科学と解釈学的アプローチを最新の情報科学技術のもと統合することで明治時代以降に発展し、市井の人々によって継承されてきた日本の身体技法や養生術の伝統を発掘、学術的に再評価し、新たな視点から議論する場を提供しています。本セミナーは、これらの多様な学問的視座を通じて、身体文化の研究を深化させることを目指しております。
「治される身体、感じられる気」講師:黄信者 13〜16時30分
本報告では、現代の中国で行われている気功の実践について、人びとの身体感覚や心の動きに注目しながら、その現場のようすを明らかにしていきます。気功でよく使われる〈気〉や〈治すこと〉という考え方が、実際の暮らしや実践のなかでどのように感じ取られ、意味づけられているのかを、ふたつの現場での調査にもとづいて紹介します。ひとつは、中国政府が推進する「官制気功」と呼ばれる制度的な気功で、報告者は上海気功研究所に長く通いながら、〈気〉がどのように感じられ、体験されているのかを観察してきました。もうひとつは、がん治療の目的で民間で広く行われている「郭林気功」で、気功合宿への参加やがん患者の方々へのインタビュー、自らの実践体験を通して、〈治ること〉がどのように実感され、意味づけられているのかを考察します。とくに今回は、気功を行う人びとの身体の感覚や気持ちの動きに焦点を当て、現代中国での気功のあり方と、そこに関わる人たちの身体感覚や人とのつながり方について、丁寧に見ていきたいと思います。
プレ企画「入門講座 からだとスピリチュアリティ」講師:蒲生諒太 11〜12時
コロナ禍以降、心と身体のつながりやスピリチュアリティに関心を持つ人が増えています。ヨーガや瞑想、気功などのボディワークに惹かれる方も多く、「身体を通じた癒し」や「自己理解」に新たな価値を見出す時代が訪れています。しかし、こうした実践には豊かな可能性とともに、誤解やリスクも存在します。本講座では、身体文化・スピリチュアリティの観点から、ボディワークの思想的背景と実践の多様性、そして、スピリチュアリティとの関係をわかりやすく解説します。太極拳やソマティクス、意識変容体験、そして「霊的危機」やカルト化の問題に至るまで、、スピリチュアリティの歴史と、身体・精神の統合的なまなざしを丁寧に紹介します。
黄信者<講演>
立命館大学衣笠総合研究機構 専門研究員。博士(国際関係学)。専門は文化人類学・中医学・心理学。上海中医薬大学での気功との出会いを契機に来日し、博士課程では中国・上海の気功研究所と日本の気功を対象にフィールド調査を実施。現在は、気功を中心に中医学的な治療実践をテーマとし、感覚や情動に着目した医療人類学の視点から、東アジアにおける「治癒」の意味と経験を探究している。
蒲生諒太<企画・司会>
立命館大学OIC総合研究機構客員研究員。身体教育学や探究学習を専門に研究。日本の太極拳普及史を解明し、10年以上にわたり太極拳・気功の実践を続けている。楊名時太極拳準師範
大反響につき、会場変更!
おかげさまで参加申込が予想を大きく上回ったため、より広いお部屋に変更しました!
第1教室→演習室2 + 多目的室
*スケジュール都合のため、終了時刻を16時25分とさせていただきます
本ウェブサイト掲載の内容は蒲生諒太の個人研究成果です。所属機関等の公式見解ではございません。