はじめに
先に示した通り、ウェブアンケートの試験を兼ねて、2025年参院選挙「京都府選挙区」に関するアンケート調査とデータ分析を進めている。
2025年参院選挙「京都府選挙区」の分析①:「野党共闘」の研究(32)
今回の調査では、有権者が重視する政策について、性別・年代別の傾向を含めて詳細に分析を行った。その結果、いくつかの明確な傾向が見出された。
関連する質問を改めて提示したい。
Q2 以下の項目について、あなた自身はどの程度当てはまるか、当てはまらないか、教えてください
(当てはまる/やや当てはまる/どちらとも言えない/あまり当てはまらない/当てはまらない)
・投票では景気・物価対策を重視する[景気・物価対策]
・投票では社会保障政策を重視する[社会保障]
・投票では少子化対策を重視する[少子化対策]
・投票では外交や安全保障を重視する[外交・安全保障]
・投票では政治とカネの問題を重視する[政治とカネ]
・投票ではいわゆる「外国人問題」・オーバーツーリズム対策を重視する[外国人問題]
・投票では選択的夫婦別への賛否を重視する[選択的夫婦別姓]
・投票では北陸新幹線延伸問題を重視する[北陸新幹線]
・投票先を考える上でSNS情報を重視する[SNS参考]
・私は普段、選挙には必ずいく[選挙必ず]
結果
まず、どの年代においても、また男女の別を問わず、圧倒的な関心を集めたのは「景気・物価対策」と「社会保障」であり、すべての年代・性別において高いニーズが確認された。これに対して、「選択的夫婦別姓」および「北陸新幹線延伸」に対する関心は全体として低く、これらの政策が有権者への強い訴求力を持つとは言い難いことがわかった。
性別による傾向を見ると、男性では「景気・物価対策」「社会保障」に続いて「外交・安全保障」への関心が高く、政策としての訴求力がある。一方、女性では同様に「景気・物価対策」「社会保障」が重視されているが、次いで「政治とカネ」への関心が高い傾向が見られた。
年代別に見ると、
・20代では「景気・物価対策」「社会保障」で大半の政策ニーズがカバーされているが、「外国人問題」「政治とカネ」「外交・安全保障」「少子化対策」にも一定の関心が確認された。
・30代は「景気・物価対策」が最も強く支持されている。次いで「社会保障」および「政治とカネ」が重視される。
・40代においては「景気・物価対策」「社会保障」が基本であるが、加えて「外交・安全保障」「政治とカネ」「外国人問題」への広がりも期待できる。
・50代では「景気・物価対策」「社会保障」が中核であり、「外交・安全保障」や「政治とカネ」にも訴求の余地がある。
・60代は「景気・物価対策」「社会保障」に加えて「政治とカネ」「外交・安全保障」への関心が高く、さらに「外国人問題」「少子化対策」も話題として取り上げる余地がある。
・70代以上(サンプル上、男性が多い)では、「景気・物価対策」「社会保障」はもちろん、「政治とカネ」「外交・安全保障」「少子化対策」への関心が高く、「外国人問題」にも一定の関心があることが示されている。「選択的夫婦別姓」や「北陸新幹線延伸」には関心を示さないが、全体として政治への関心は高い層であるといえる。
また、SNSを選挙時の情報源として参考にするかという問いに対しては、20代では約25%が肯定的であったものの、他の年代ではおおむね2割を下回っており、特に40代以上では否定的な回答が増加する傾向が確認された。男女ともにSNS参考層は2割に届かない水準であり、SNSによる訴求は20代には一定の効果が期待できるものの、それ以外の世代への影響力は限定的であり、リソース配分においては再考の余地がある。
次に、各予定候補者への投票希望との相関分析を行った。SNSを選挙時に参考にすると答えた層と、「谷口(参政)」「酒井(国民)」「木村(NHK)」「西田(自民)」「西郷(れいわ)」への投票希望の間には弱いながらも正の相関が見られ、これらの候補者がSNSを活用している点が一定の効果を持っている可能性がある。
政策的な親和性の面では、「山本(立憲)」に関しては「少子化対策」「選択的夫婦別姓」「北陸新幹線延伸」との関連性が高く、「倉林(共産)」では「政治とカネ」ならびに「選択的夫婦別姓」「北陸新幹線延伸」との親和性が見られた。
SNSを選挙の参考にする人ほど、全体的に各種政策への関心は高い傾向があるが、「政治とカネ」に関しては特段の相関が見られなかった。一方、「外国人問題」については、SNSを参考にする層ほど関心が高い傾向にあることが相関係数から読み取れる。
また、選挙に必ず行くという人ほど、すべての政策項目において関心が高い傾向にあるが、「北陸新幹線」「選択的夫婦別姓」「政治とカネ」については他項目に比べて関心がやや弱い。
最後に、年齢との相関を見ると、年齢が上がるにつれて「社会保障」「外交・安全保障」「政治とカネ」への関心が高まる傾向が見られた。
*なお、選挙に必ず行くということとSNSを選挙の参考にするということで相関は見られなかった(r=.15)。SNSが選挙に必ず行くという層へ訴求するわけではないのである。
以下、上記内容をもとにChatGPTに提案させた戦略方針について、筆者が選択・修正したものである。
■ 全般的な戦略方針
① 政策メッセージは「景気・物価対策」と「社会保障」を軸に
すべての年代・性別において最も高い関心が寄せられているのがこの2項目。
漠然とした経済政策ではなく、「物価高対策」「年金・医療・介護制度の具体的改善案」「社会保険料の負担のあり方」など、明確に打ち出すことが重要。争点を分散させず、軸をはっきりさせることで信頼感を高める。
② 性別ごとの重点政策を微調整
男性層には「外交・安全保障」を、女性層には「政治とカネ」への関心が高いため、それぞれの訴求ポイントを加える。例えば、男性向けには「防衛費の透明性」や「周辺国との関係の安定性」、女性向けには「政治資金問題への厳格対応」や「クリーンな政治の実現」などを示す。
③ 年代別にメッセージの広げ方を調整
20~30代は「景気・物価」「社会保障」が主軸だが、「少子化」「外国人問題」「政治とカネ」も副次的に押さえる。40~60代には、「外交・安全保障」「政治とカネ」もセットで訴求。70代以上には、社会保障や政治全般への関心が高く、幅広く政策的関心を持っている層と見なして総合型の政策提示が有効。
④ SNS戦略は20代中心、他世代には限定的に
SNSを選挙の参考にすると回答したのは20代が最多(約25%)。それ以外は効果が限定的。SNSでの情報発信(候補者の人柄、街頭演説、ショート動画など)は20代向けを想定したコンテンツ設計に特化させる。逆に言えば、中高年層にはチラシ・新聞・地域イベント等のリアルメディアを重視した方が適当だろう。
⑤ 「選択的夫婦別姓」「北陸新幹線延伸」は争点として弱い
どの層でも関心が極めて低く、これを前面に出しても訴求力は乏しい。仮に争点にせざるをえない場合は、「他政策とのパッケージ」で扱い、単独で推すことは避ける。
公開日:2025年7月3日
原稿作成にChatGPTを用いました