和歌

左側

杣檜

夕くれハすま山あらし吹たちて、
    ミねのひハらのをとひびくなり

林鳥

山かけや 木すえかすかにくれハてぬ
       いやしのとりもねぐらさためて

三千在心

おさめみる心のうちによもの物
      かなひしたかふかたもうしも

きよき川せに

すめる心神もうけてやみたらしの
      きよきかわせに月をうつして

ありワたるとも

世にハしいてありワたるとも心こそ
       人にそむける身ともなりなめ

右側

中務

ワすられて しハしまとろむほとむかな

       いつかはきみをゆめらてみむ

左側

在るを事語としうこうきこえたる やうには

あらで わたりたまひなむや たいめむにきこえ

こともあれりと きこえ給へか

御さうそく心ことに ひきつくろひて ことんなと

も ことごとしきさまでありて わたり給 君

たていとおまたひきつれて入給ふ ものもの

しうたのもし気なり たけたち そゝろに

ものしたまふに ふとさもあひて いとしうて

、右側

吹そむる やまの木の葉ハ つれなくて

       こころうつろふ 秋のはつ風

西行法師

をしなへて ものを思ハぬ 人にさえ

       こころをつくる 秋のはつかせ

千五百番歌合歌 源具親

しきたへの まくらのうへに すぎるなり