和歌 古今集、新古今集より
和歌 古今集、新古今集より
古今集 春、夏から
ふるとしに春たちける日よめる
在原元方
としのうちに春はきにけり一年を
こぞちゃいわんことしやいハん
春たちける日によめる
紀貫之
そでひちてむすひし水の氷れるを
春たつけふのかせやとくらん
題しらす よみ人しらす
春かすみたてるやいつこみよしのゝ
よしのゝ山に雪ハふりつゝ
読人しらす
さつきまつ花たちはなの香をかハ
むかしの人の袖のかぞする
新古今集 秋、冬から
題しらす 寂蓮法師さひしさ
さひしさハその色としもなかりけり
まきたつ山の秋の夕くれ
西行法師
心なき身にも哀はしられkり
しぎたつ沢の秋のゆふくれ
西行法師すゝめて百首歌よませ侍けるに
藤原定家朝臣
見わたせは花も紅葉もなかりけり
浦のとまやの秋の夕くれ
(袖もひとつにうちしくれつつ)別歌註2
たいしらす 西行法師
あきしのやと山のさとやしくるらむ
いこまのたけくものかゝれる (定・隆・雅)
道因法師
はれくもり時雨はさためなきものを
ふりはてぬるはわかみなりけり (雅)
註1 (定・隆・雅) 藤原定家、藤原家隆、藤原(飛鳥井)雅経 新古今選者
註2 (袖もひとつに打しぐうれつゝ) 二条印讃岐の歌 「をりこそあれ ながめにかゝる浮雲」の下の句