天草軍記(巻一)

天草軍記 (巻一)

江戸時代の初期、大坂の陣が終わり徳川幕府体制が整ったがその20年後島原の乱が起こった。 島原及び天草の農民が領主の過酷な徴税への抗議が厳禁となった切支丹宗徒の反抗と結びついて大乱となった。 反乱軍は島原の原古城に立て篭り幕府軍た戦い、2年越に鎮圧されたとというのが通説である。 この事件が江戸時代中期頃から講談として語られる様になり、関ヶ原や大坂の陣で敗者となった武士の子孫達が中心となり乱を主導した軍記物の性格を帯びてきた。 フィクションも交えて多くの派生本が作られたが基になった講談の原題は天草騒動として享保年間に田丸具房が始めたといわれる。 この天草軍記も天草騒動の派生本のひとつと思われ、 写本は嘉永年間と推定する。 乱の主役は豪傑的の浪人達で全員討死するが、中国の水滸伝(豪傑達が集合して時の政府の圧制に反抗する物語)の影響があるように思える。