安政箇労痢流行記
この本は安政五(1858)年秋、江戸でコレラが大流行し、万を超える人がこの病気で命を落した時の事を書き残したものである。 作者は幕末の戯作者で明治以降は新聞記者となった仮名垣魯文で、板本として安政五年九月に出版された。
安政五年のコレラは江戸市中で八月一ヶ月に万を超える人が犠牲になり、人々が恐怖の余り時節を考えない祭礼を行う様子や火葬場の混雑ぶりなどが記されている。 一方シーボルトが残した西洋医学による予防法や応急処置等も細かく載せている。 後半には本疫病に関して江戸市中で起こった事件の話題を幾つかを載せているが、真偽はもとより直接コレラに関係ないと思われるものもある。
焼場に棺を運ぶ人々の列
下記会員ホームページに解説及び現代文訳あり
安政箇労痢流行記解説 (em-net.ne.jp)