鎌倉高校前駅
2008/10/28
「鎌倉高校前駅」
第47作『男はつらいよ 拝啓車寅次郎様』で登場する
江ノ島電鉄「鎌倉高校前」駅
目の前には七里ヶ浜広がり
鎌倉方面を見れば三浦半島が見え
藤沢方面を見れば江ノ島が見える。
もの凄い眺めである。
訪れたのは今回が初めてなのだが・・・
素晴らしい駅で感動した。
1997年には「関東の駅百選」に選ばれている。
基本は無人の駅らしい。
ちゃんとPASMOは使える。(当り前か・・・)
塩害防止のためビニールがかけられていた。
映画での駅のホーム
現在の駅のホーム
一番の感動は第47作が撮影された1994年、約14年前の頃がそのまま残されていた事。
そこに満男がいた、寅さんが座っていた、
これを直接味わえる駅は中々ないと思う。
映画での寅次郎と満男の会話が思い出される。
■第47作『男はつらいよ 拝啓車寅次郎様』より
江ノ電「鎌倉高校前」駅のホーム。
単線を鎌倉方面へと警笛を鳴らしながら走り去っていく電車を満男がホームに立って見送っている 。
その傍らには寅次郎もいる。
満男
宮典子さんてきれいな人だな。
琵琶湖のほとりであんな人に恋をしていたのか伯父さんは。
怪訝そうな顔して
寅
そんなことしてねえよ。
ただぼんやりと眺めてただけだよ。
満男
キレイだと思ってかい?
寅
そ、そりゃぁそうだよ。
うなずく寅次郎
満男
それが恋ってもんじゃないのか。
寅
うるせぇーなぁー。
寅次郎だけ後ろに下がる
それよりお前のほうはどうなんだよ。
駅のベンチに腰掛ける寅次郎
あの気の強そうなキレイなお嬢ちゃんとは。結婚まで上手くこぎつけそうか?
満男
それがね~、伯父さん。
柱にもたれながら薄っすら微笑みながら
見事にふられたよ。
ビシッとね。
心を見透かされないようになのか、海の方に目をやる満男
寅
失恋はな、名誉の負傷じゃないんだから
偉そうに見せびらかすんじゃないんだよ。
満男
でも正直言ってホントはホッとしてんだ。
くたびれるもんなぁ恋するって。
寅
満男!
ちょっとここにきて座れ。
怒る寅次郎にちょっと驚きながらも
寅次郎の横に座る満男
満男
何?
寅
くたびれたなんて事はな
何十ペンも失恋した男の言う言葉なんだよ。
お前まだ若いじゃないか。
え~?
燃えるような恋をしろ。
大声出して
のた打ち回るような
恥ずかしくて
死んじゃいたいような恋をするんだよ。
ホッとしたなんて情けないこというな
バカヤロウ!
寂しいよ俺は。
うなだれる満男
プォ~ン(電車の警笛)
電車がやって来る。
電車に気がつき立ち上がる寅次郎
満男も慌てて立ち上がる
寅
満男、頑張れよ。
黙ってうなずく満男
満男
伯父さん、俺・・・反省しているよ。
寅
よし。
電車がホームに着く
寅次郎、鞄を持ち上げる
寅
今度会うときはもっと成長していろよ。
黙ってうなずく満男
電車に乗り込む寅次郎
出入り口に立ち満男を見る
寅
皆によろしくな。
黙ってうなずく満男
満男
伯父さんも元気でな。
発車の合図が響く
寅
ああ。
電車のドアが閉まる
笑顔で窓越しに手を振る寅次郎
警笛と共に走り出す電車
見送る満男
いつまでもいつまでも見送る満男
電車が小さくなっていく・・・
おわり
普段この駅を利用されていて
不便と感じている方には大変失礼な話ではあるが
是非このままの姿を維持して頂きたいものである。
木のベンチに座って国道134号の向こうに広がる海を眺めていると
普段味わえない感覚が湧いてくる。
この環境の中で育つ方々を大変羨ましく思う。
山田組ロケハンが見つけるロケ地、
悪いはずが無い。