播州龍野へ!
2022年9月20日掲載
第17作 男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け
オープニング 岩見港にて
兵庫県たつの市御津町岩見(みつちょう いわみ)
この作品はシリーズの中でも特に人気の高い作品であり、自分も同じく大好きな作品です。
このページは2022年5月1日、17作の舞台となりましたたつの市に、初めて行った時のロケ地中心の内容となります。
兵庫県たつの市。
「男はつらいよ」ファンの間では著名な先生、また、個人的にも長年大変お世話になっている寅友の吉川さんが、龍野10年目の個展を開催された。
毎年自分も個展開催のタイミングで龍野へ行きたいと願っていたが、色々と都合がつかず、これまで一度も行けずにいた。
しかし、今年は自分の仕事の環境が変わったことや、吉川さんの10年という節目、
そして何より寅友大先輩の、北の桶さん(HN)がはるばる北海道より来られるということもあり、これは何としても今年は龍野に行かなければと決意!
お会いするのは2017年の11月、柴又に寅さん仲間で集まった時以来となる。
そして念願叶い、遂にたつの市へ行くことができたのである!
龍野では多くの寅友との再会や、これまでお会いできていなかった寅友大先輩である小手寅さん(HN)に初めてお会いすることができたりと、とても楽しいひと時を過ごすことができました。また「寅さんサミットを龍野に誘致する会」の苗村(なむら)会長様、石原様にお会いできた事や、夢にまで見たガレリアに初めて行き、オーナー井上様や寅ファンの吉岡様など寅さんファンの方々にお会いできた事は、とても心に残る良い思い出となっております。この場を借りまして厚く御礼申し上げます。
さて、ここからは龍野で見た寅福目線での「寅次郎夕焼け小焼け」の現在のロケ地を、いつもと同じく敬愛する「高羽アングル」にて皆様にご紹介していきたいと思う。そして毎回申し上げているように、ロケ地にご興味のない方はこれ以降はどうぞご遠慮頂きたい。
長めの内容になりますが、ごゆっくりとご覧ください。
【ロケ地】
■17作オープニングシーン
巨大サメに襲われる夢を見る寅。
子供の「おっちゃん、引いとるで」の声に目が覚める。
急いで竿を上げるが釣れた魚は小さな魚が一匹。
「あ~、こんな小っちぇーの」
その小さな魚に噛みつかれる寅。
「気を付けろ!それ!」
寅さんのいた場所は今でもハッキリとわかる。 特徴的な部分を丸で囲ってみた。
石垣が当時と同じ。寅さんの下の石垣に比較として黄色い丸印を。
少し離れた右手に同じく特徴的な石垣を比較として赤色丸印としてみた。寅さんの建っていた場所が明確になったと思う。
岩見港
なぜここで撮影されたのかは調べ切れていないが、恐らく当時は趣のある漁村の雰囲気があったのだろう。
現在は当時のような古い家屋は無くなっていて、しばしロケ地という事や、時間の経過を忘れ、ただひたすらその素晴らしい景色を見続け堪能してみた。
もう少しその場にいたいという気持ちを抑え、次のロケ地、寅と青観の再会場所へと向かったのである。
岩見港から北へ車で約12㎞。時間にして約20分程度の所が播州龍野導入のロケ地なのである。
【ロケ地】
播州龍野への導入シーン
兵庫県たつの市揖西町前地
田んぼ広がる風景。手前に咲く花はおそらく黄菖蒲。
黄菖蒲の花言葉は・・・
消息 友情 音信 復讐 幸せを掴む
信じる者の幸福 私は燃えている
何だか17作の内容にピッタリな花言葉。う~ん・・・偶然だろうか。
画面に映る花は結構山田組が用意しているケース多いのだが、もしかすると映画に合わせてこの黄菖蒲を映したのでは?と思ってしまう。
またまた奥深し!
この場所であることは間違いなく、映画で奥の方に映っている家屋が今も健在。そのことが物証となっている。
【ロケ地】
遠くに青観の乗る黒い車(ピンク囲み)が左から右へ走っていくところが映っている。
ここもかなり変わっている。
映画ではもっと引いた場所で撮影しているが、現在は建物が立っている事と私有地になっているため、かなり手前での撮影となっている。
よくみるとかなり遠い場所の家(緑囲み)が当時と同じなので、この場所で間違いないという物証となっている。
ここは黄菖蒲の映るシーンから徒歩で直ぐの場所である。
【ロケ地 1回目のシーン部分】
青観の乗る車内でのシーン 。
龍野観光課長・佐藤(桜井センリさん)
「播州もすっかり変わりましてなぁ~。昔ながらの農家などすっかり見かけなくなりました。」
青観の車窓を現在の風景と合わせてみた。
【ロケ地 2回目のシーン部分】
「せやけど龍野の街だけは、昔とほとんど変わっておりませんです。・・・はい。」
このシーンも車窓と現在の風景を合わせてみた。
2往復して撮影している。
青い点線・・・1回目のシーン部分
赤い点線・・・2回目のシーン部分
同じ道路を使って2つのシーンを撮影。
それ程窓の外の風景が気に入られたのか、はたまた時間の都合だったのか…これもまた撮影のトリック。パッと見は同じ場所だとは気づかない。車窓を調べてみて初めて分かった事。
ここも黄菖蒲の場所から約5分程度の徒歩圏内。映画ではこの道路の短い距離を2回使って撮影している。
【ロケ地】
同じ道路で少し先に進んだ場所
観光係員・脇田(寺尾聰さん)の車窓。
そしてこの後、寅の登場となるのだが、ちょっとその前に・・・
【宣材写真撮影地】
道なりに進んでいくと、やがて寅と再会した清江橋に到着するのだが、途中で右に曲がると宣材で使われた寅とぼたんとの写真の撮影場所になる。
たつの市揖西町佐江 後ろには乙(おと)城跡のある山が見える。
45年以上前、間違いなくこの場所に寅とぼたんはいたのだ。時を超え、同じ場所に立てたことを感慨深く思う。
【ロケ地】
車窓シーンが続き・・・
青観を乗せた車は寅のいる橋へと進んでいく。映画の頃の方が、両サイドに木が茂っていてトンネルの様になっているので、何か別の場所に抜け出ていくようでイメージが良い。
余談だが清江橋の少し手前に「佐江弘法大師堂」というお堂がある。
【ロケ地】
いよいよ「清江橋(きよえばし)」が見えてくる。
しかし、どうして寅はこの場所を歩いていたのだろう?
妄想・・・岩見港から龍野へ向かう際、通りすがりの車に乗せてもらい、この辺りで降ろされ、のんびり歩いていたのだろうか?
この場所に行ってみるとわかるが、道の真ん中を歩くのは中々の勇気が必要。(笑)
ビッビー(車のクラクション)
「何やあの男・・・もう一回鳴らして」
ビーッ!(車のクラクション)
さあ、寅さん登場!
青観との偶然の再会である!物語とは言え、出会うべくして出会った2人!
ビッビッビッ!ビッビー!(車のクラクション)
車に近寄り覗き込む寅
「何だよ、コノヤロー、人のケツからブーブー、ブーブー・・・」
青観に気が付く寅
「あっ!おじさーん、何やってんだこんなところで」
「君こそ何やってんだ」
ここから寅と青観の龍野が始まる。
清江橋から見た中垣内川(なかがいちがわ)
「清江橋」で偶然の再会をはたした寅と青観は、龍野市長の待つ、たつの市役所へと向かうのであった。
しかし・・・
①青観はいったいどこから車に乗ってきたのだろう?
②そして寅はなぜこの時期ここにいたのだろう?・・・と考えてみた。
※(あくまでも個人的な妄想なのでご容赦頂きたい。)
①青観いったいどこから車に乗ってきたのだろう?
新幹線で東京から相生駅まで来て、そこから車で龍野へ向かったと思われる。
②寅はなぜこの時期に龍野にいたのか?
映画の冒頭、満男は入学式だったので、季節は4月と思われる。オープニングで夢から覚めた寅がいた場所が「岩見港」。その岩見港から南西約4.2㎞、歩いて約50分程度の所に賀茂神社がある。この賀茂神社では4月に「室津小五月祭り(棹の歌)(むろつこさつきまつり・さおのうた)」があるのだが、寅はこのお祭りでバイをしていたのではないだろうか。(都合の良い妄想)
賀茂神社は非常に長い歴史を持っており、そんな長い歴史を持つ神社で行なわれるのが室津小五月祭りです。室津小五月祭りでは県の重要無形民俗文化財にも指定されている「棹の歌」が奉納されます。「棹の歌」は大変雅で正に伝統を感じさせるようなものとなっています。
※他サイトより引用
【ロケ地】
俯瞰による撮影。
寅と青観を乗せた黒い車が通過する場面だが、実はこの場所、ラストの「東京どっち?」が撮影された場所なのである。
【ロケ地】
青観と寅を乗せた車はたつの市中心部へと進む。
兵庫県たつの市龍野町日山
車は龍野町日山の「霞風庵 ( かふうあん ) 」の前を通り過ぎる。
小規模多機能型居宅介護事業所「霞風庵 ( かふうあん ) 」
古民家を改修した古き良き趣の中で、安全安心の介護サービスを提供
【ロケ地】
そして到着したのは「たつの市役所」
実際の建物は「たつの市立中央公民館」
飾ってあった三木露風の歌詞
童謡「赤とんぼ」について
この歌は個人的に昔から好きだ。子供の頃は意味も分からず唄っていたが、大人になって歌詞を読み直した時、「負われてみたのは」の部分を「追われてみたのは」と読み違えていた事に気づき、改めて唄ってみると「ああ、そういえば自分も幼い頃、母に背負われ夕焼け空いっぱいに飛ぶ赤とんぼを見ていたなぁ」と思い出した。それ以降、この歌を聞くたびに幼い頃に感じた幸せな気持ちに戻れるのである。この歌を唄うときは、それぞれの幼い頃や故郷を思い出して唄って欲しいと思う。
赤とんぼ 三木露風
(1) 夕やけ小やけの あかとんぼ 負はれてみたのは 何時の日か。
(2) 山の畠の 桑の實を 小籠につんだは まぼろしか。
(3) 十五でねえやは 嫁に行き お里のたよりも たえはてた。
(4) 夕やけ小やけの 赤とんぼ とまつてゐるよ 竿のさき。
夏も過ぎた秋の日。
夕方の西の空は真っ赤な夕焼けです。
可愛い赤とんぼが、入りみだれてスイスイと飛んでいます。
あれは、私がまだ三ッか四ッぐらいの子供の時だったでしょう。姐やにおぶさって、この赤とんぼの群れ飛んでいるのを見たのは。
山にある私の家の畑に行つて、小さな籠にいつぱいつめてくれたのも、この姐やでした。私は面白がって、赤い実をちぎっては籠に詰めこみました。
「坊っちゃま、赤いのはダメですよ。黒いのをおとりなさい。」
なるほど、赤いのは渋くて食べられません。それからは、毎日のように姐やにせがんでは、手を紫色にしながら、黒い桑の実を取って喜んだことを覚えています。
この姐やは十五でお嫁さんにいきました。お別れの時、私は「いやだいやだ」と泣きました。姐やも私を抱きしめて、オイオイ泣きました。お嫁さんにいってからも、度々手紙をくれましたが、その後バッタリ便りがありません。
私を可愛がってくれたあの姐やは、今どうしていることやら。
夕焼け小焼けの夕暮、竿の先にチョコンと一匹とまっている赤とんぼを見る時、私は私の幼い時のことを思い出す。
※「姐や(ねえや」・・・子守娘 のこと
作曲家山田耕筰の『赤とんぼ』歌い方からの歌詞の説明
【ロケ地】
場面は変わり、夜の「梅玉(うめたま)」旅館へ
梅玉旅館の出入口は現在は別の場所のため、今回この門から中を見ることはできなかった。
多くの寅ファンも訪れている梅玉旅館。
こちらの旅館には、ぼたんの着ていた着物や日傘、また、当時の貴重なお写真の数々が飾ってあるという。
こちらに宿泊し色々お話をお聞きしたかったのだが、予約が遅かったため残念ながら満室になっており宿泊はできなかった。
宿泊をお考えの方は早めのご予約をおススメしたい。
片しぼ竹の宿 梅玉 兵庫県たつの市龍野町本町1−1
翌朝の龍野の風景
【ロケ地】
揖保川の川面
前日の大雨の影響で川は増水し濁っていた・・・
【ロケ地】
揖保川に架かる「旭橋」
本当は川の中州で撮りたいところだが、増水のためこれが精一杯。
しかし、ほんとこの日の空はとても幻想的である。旭橋と鶏籠山を望む。
【ロケ地】
朝の龍野風景
昨晩の寅たちの宴の賑やかさなど関係なく、いつもの街の営みが始まる。
こちらは観光ガイドの寅さんMAPにも紹介されているようで、同じタイミングでカップルの方も訪れていた。個人的にはお店が無くなっていたのは非常に残念だった。
【ロケ地】
左奥に「梅玉旅館」見える。
「あいおいばし」を越えたところから撮影。
撮影当時とほぼ変わらぬ風景。
【ロケ地】
龍野橋東側。「 鶏籠山(けいろうさん)」を望む。
この場所はカメラマンの高羽さんも気に入っていたのではないだろうか。
鶏籠山、画になるなぁ~。
【ロケ地】
車で寅を案内 ①
「この通りが忠臣蔵で有名な山崎街道です。」
「この辺はほとんど昔と一緒ですなぁ~」
この場所は市中心部より北に進んだ「たつの市龍野町門の外」。
ちなみにこれより先に車は進んだように見えているが、この後のシーンはいきなり別の場所へ飛んでいる。
兵庫県たつの市龍野町門の外1付近
【ロケ地】
車で寅を案内 ②
あ、これ!この建物はぁー昔、青観先生もお描きになっておりますさかい、お気に召しているんじゃないでしょうか。はぁ。
いきなり場所が飛んでいる!
この車窓シーンを撮影した場所は、たつの市龍野町本町。発見の目印となったのが、月極駐車場。寅の後ろでしっかりと映っている。
【ロケ地】
その後やってきたのが龍野橋東側。右手に少し映っている建物は、吉川さんの個展開催の「ガレリア アーツ&ティー」 さん。
目の前に広がる「揖保川」と「鶏籠山」。
「こっから見る「鶏籠山」が一番美しいーと言われております。」
龍野市観光課長・佐藤(桜井センリさん)より。
きれいだな~
観光課長「先生!」
寅「ん?」
「あたしどもとしてはこの鶏籠山を是非、青観先生に描いて頂きたいと希望しておりますが。」
「では次、三木露風先生の生家に行きます。」
「ガレリア」前にて。
ガレリア店内 2階からの撮影
ガレリア玄関。吉川展の看板あり。
寅仲間との歓談
吉川さんの作品鑑賞
龍野での映画鑑賞(もちろん17作)
【ロケ地】
車で寅を案内 ③
突き当りが裁判所で左が小学校です。
青観先生もここを卒業・・・
あ~あ、(あくび)失礼。
【ロケ地】
聚遠亭(しゅうえんてい)に到着。
三脚を車に忘れ、高さを出せず低い位置での撮影となってしまった。
高台からの眺望は当時とあまり変わっていない。
よく見ると、遠くに見えている建物は映画とほぼ同じ。
下から見上げたところ
後編に続く