津和野へ!後編

第13作「男はつらいよ 寅次郎恋やつれ」1974年8月3日公開

2022年10月15日記載

 2022年6月、第13作の舞台となった小京都「津和野」へ行ってきました。ここは歌子ちゃんの結婚相手、正圀さんの実家のある場所。

この場所も長年行きたいと思っていた場所です。そのレポートを今回もまた高羽アングルでお届けします。どうぞお楽しみください。

山陰の小京都 「津和野」へ!

寅次郎、登場!

津和野でいよいよ寅次郎が登場する。

「すさや食堂」さんは実際にあったお店だが、現在はもう無い。

現在は空地となっている。

寅次郎はなぜここで食事をしていたのだろう・・・。実はこの反対方向には寅次郎が泊まりそうな旅籠街があるのだ。

この通りのどこかの旅籠で寅次郎は泊まったはず。

そんなことを想像しながらこの道を通ってみた。

 話を戻そう。場面は寅が食事処「すさや食堂」でうどんをすすっているシーンである。

うどんをすする寅。ナルトを箸でつまんで器の縁に放り投げる。寅次郎はナルトが嫌いなのである。

歌子:こんにちは・・・こんにちは!図書館の鈴木ですけど。

店主:はい、何かね。

歌子:いつもすいませんけど、このポスター表に貼らしてください。

店主:ああ、どうぞ、どうぞ、今度のはなにかね。

聞き覚えのあるその声に気が付く寅。

歌子:文化講演会なんですが、お店の中にも貼っていいかしら。

店主:どうぞ、どうぞ、どこへでも貼っちゃんさ。

声の主の後姿を見上げる寅

後ろを振り返る歌子。寅と目が合う。

しばし沈黙の後、寅が満面の笑みになる。

:ああ・・・

歌子も気が付きほほ笑む

:歌子ちゃんじゃねえか。

歌子:寅さんね。

:うん。

歌子:どうしたの?どうしてこんな所にいるの?。

:どうしてって、俺、旅の途中よ。

歌子:そう・・・私ビックリした!

泣き出す歌子

:はぁ~、そうか。あれからもう2年にもなるか。

歌子:そうね。

:うん・・・ずっと元気だった?

歌子:ええ・・・

:ああ・・・。あれ?多治見にいたんじゃなかったの?なんでまたこんな所に。

歌子:ここね、彼の実家があるの。

:ああ!そうかそうかそうか。歌子ちゃん、あの芸術  家の青年と結婚したんだっけな。どう?彼と仲良くやってるかい?うん?

歌子:・・・・・彼ね

:うん、彼、どうしたい?

歌子:死んだの。

歌子のテーマがやさしく流れる

歌子:去年の秋、病気でね。

そしてまた同じ俯瞰が映る。

藩校「養老館」の中庭

 藩校「養老館」は、平成27年から全面解体によって保存修理工事、及び改変箇所の復元工事を行い、平成31年3月に竣工。そのため、映画当時とは建物の様子がかなり変わってしまっている。

島根県鹿足郡津和野町 

 藩校養老館は、津和野藩主亀井氏8代矩賢が、天明6年(1786)、「下中島堀内」(現在の津和野小学校裏付近)に創設した津和野藩の藩校です。

 創設当初は儒学を主として漢学、医学、礼学、数学、兵学などの学科が設けられていました。その後、11代茲監は嘉永2年(1849)に新たに国学や蘭医学を設け、規模を拡大するともに人材育成に力を入れました。

 創設時の建物は、嘉永6年(1853)の大火で焼失してしまいましたが、安政2年(1855)に現在地に移転して再建され、明治5年(1872)に廃校となりました。

 ここは幾多俊才を輩出した藩校として名高く、西周(近代日本哲学の祖)、森鴎外(文豪・軍医総監)、福羽美静(国学者・明治天皇待講)、山辺丈夫(日本紡績業の父)、小藤文次郎(日本地質学の父)、高岡直吉(初代札幌市長)、堀藤十郎(中国の銅山王)、福羽逸人(日本近代園芸の祖)、加部厳夫(国学者、「君が代」選定に携わる)など、後に全国に名を馳せた人物が学びました。

 現在は、武術教場(槍術・剣術)と御書物蔵の建物を含む敷地が当時のまま残り、県史跡に指定されています。

 これらの建物は昭和46年に修復されていましたが、再び老朽化したため、平成27年から全面解体によって保存修理工事及び改変箇所の復元工事を行い、平成31年3月に竣工しました。

※出典:津和野町サイトより

映画撮影時とは川向うがかなり違っている。

草が凄すぎて、下からのアングルを断念・・・

寅次郎と歌子はこの場所にいたのだ。

余談・・・このシーンでは何とマイクが見えてしまっている!

歌子の夫、正圀の墓前でのシーン

ほんの一瞬なので見落とす方もいるかも。

歌子の夫、正圀の墓前にいる寅次郎と歌子。

正圀のお墓に行くには、この踏切を通ってむかう。

向こうに見えるのは「津和野駅」ホーム

やがてこの場所に辿り着く。この左手に正圀の眠る墓があるのだ。

歌子との別れ

この高台からは津和野の街が良く見える。中央に映っているのは津和野駅舎。

撮影当時とは橋の位置が変わっている。もっと左にあった。

その場所にはバス停は無い。あくまでも映画の演出。

寅の後ろに見えていた山々は今も同じ。

バスがどんどん近づいてくる。二人の別れの時間(とき)が迫る。

2022年6月撮影

2022年11月撮影

歌子の姿がどんどん遠くなる。歌子の事が心配な寅次郎なのであった。

歌子の自転車シーン ①

建物の正面 初陣さん。

歌子の入って行った場所。映画ではここは映っていない。

歌子の自転車シーン ② 

 こちらのお宅は2013年に吉川さんが直接インタビューをされている。撮影当時は手前にある引戸の門はなかったという。実はこの門の奥に映画と同じ建物は今もしっかりと残っているのだ。

 そしてここは歌子の自転車シーン①よりも、北に約50m程離れた別の場所なのだ。映画のトリック。


愛する夫、正圀が亡くなり、血縁のない正圀の家族と暮らしを続ける歌子。

なぜ、ここに居続けるのかという疑問があったが、実際にこの津和野に来てみて気が付いたことがあった。

津和野という街は、優しくとても素敵なところだ。

歌子もこの街にはきっと癒されたのだと思う。

だから正圀の亡きあとも、この街に留まったとのだと思った。


おまけ 予告編シーン

ー番外編ー 香味園 上領茶舗の「ざら茶」

 

今回はもうひとつ目的があった。


それはこちらのお店への訪問だ。


こちらは以前SNSでご紹介されていて、是非お邪魔したいと思っていたお店である。





 こちらは創業90年になる、カワラケツメイを焙煎したお茶【ざら茶】を販売している老舗店です。


「ざら茶」は栽培期間中農薬不使用でノンカフェイン。体の巡りを良くするという特徴もあります。


 津和野ではおなじみのこのお茶を、手軽に飲めるテトラ型のティーバックにしたり、

見た目も香りも華やかなローズペタル等のハーブとブレンドした商品でも販売。


季節に応じた和・洋のお茶や薬草、ハーブとのブレンドティーでお茶を楽しむことが出来ます。


※石見観光振興協議会 島根県西部公式観光サイトより引用



 

1930年に曾祖父が創業され、祖父が引継ぎ、その後はお父様が継がれるはずだったが、

突然のご病気で他界されたため、お孫さんの瑠美さんが継ぎ手を決意され、

フランス人の旦那様と共に津和野へ戻られお茶屋を継がれたそうだ。


この日はその瑠美さんにお会いでき、色々とお話をお伺いしてみた。

瑠美さんは明るく、そして聡明な印象のとても素敵な奥様であった。


丁度商品のご発送のタイミングだったようでお忙しい時間にお邪魔してしまった。



 

こちらのお店の祖父母の方(写真)は、「男はつらいよ」の撮影をご覧になられているそうた。

以下「つわのもよりみち」ネットインタビュー記事からの引用となる。


 

1974年には映画「男はつらいよ」の撮影が津和野で行われるのですが、

その時吉永小百合さんも津和野に来てたんです。

(撮影)クルーが「撮影に使わせて欲しい」って言うものだから、

自宅の2階を貸すと、泥だらけにして帰って行かれました。(笑)


 

どんな撮影だったか、お店の瑠美さんにお尋ねしたところ、

雨のシーンだったという。しかも例の山田組お得意の人工的に降らせる装置だった模様。


でもそんなシーンは13作の津和野ではどこにも見当たらない。


歌子ちゃんの悲しい気持ちを、しっとりとした雨で表現したかったのだろうか。

こんな時、福島県にある高羽さんの記念館で台本を拝見出来たら、

何かしらの答えが見つかるかもしれない。


 

瑠美さんも、その時の現場を目撃されたわけではなく、

それとなく祖父母より聞かれた話なので、

誰がその場にいて、どんな具合だったなど具体的なものは何もご存知ではない。

これは仕方のない事であるので、それ以上深堀をすることはやめた。


 

ただ、寅さんを見送った後、歌子ちゃんが自転車を押して入って行った場所は、

こちらのお店の斜め前のお宅という事はご存知でいらっしゃった。


 

初めて飲んだ「ざら茶」。

ほんのり甘くて清涼感のある飲み物。我が家でも好評で、

この夏は麦茶に変わる飲み物として家族全員で美味しく頂いた。


コッタご夫妻。ご主人にも少しご挨拶できた。※ネットより写真引用

 

瑠美さん、この時はとても参考になるお話、どうもありがとうございました。

本業のお茶とは全く関係のない話にも関わらず、ものすごく熱心にお話して頂けたこと、

大変感謝しております!


お忙しい所お邪魔したにも関わらず、ご親切にして頂けたこと、とても嬉しく思っております。


 皆様も是非、ザラ茶をご賞味ください!

非常に美味しいうえに、健康にも良い!その飲み心地の良さに、きっと貴方も驚かれると思いますよ。