31作の新発見!

2018/9/23

「31作の新発見!」  男はつらいよ

第31作 男はつらいよ

旅と女と寅次郎

1983年8月6日公開

マドンナ:都はるみ


今回の新発見は映画序盤

柴又でまたまたひと悶着あった後でのこのシーン。

新潟県のとある場所。


ロケ地本にも掲載されていないので探された方も多いはず。


遠くに見えている特徴的な山は「弥彦山」である。

田んぼの脇にある背の高い木は「はさ木」と言う。


”はさ‐ぎ【稲=架木】

稲架 (はさ) のこと。また、稲架を掛けるための支柱や横木。

出典:デジタル大辞泉(小学館)


稲を架けた状態。

出典:新潟市秋葉区「満願寺のはさ木並木」

新潟ではよく見かける風景だが

今回はこのシーンピンポイント調査に挑戦してみた。



やはり目指すは「弥彦山」

実際には行けないため調査はいつも通りGoogle。


で写真をみてみると…

これがどこからみても同じようにしか見えない。。。

ちなみに3枚とも別方向からの「弥彦山」


そして肝心の「はさ木」は、色々と探してみたが、現存していないのである。

(私が新潟に住んでいた頃 (約50年前) にはまだあったのだが・・・)


もう一度映画での「弥彦山」を見てみる。

すると・・・

赤い囲みの部分の突起の見え方が角度によって

微妙に違うことに気が付いた。

そして


かなり探してようやく見つかったのがこの角度。

非常によく似ている!!


ただ決定的な物証が無い。



遠くに見える家々も小さすぎて、物証探しもここである確証がないため

気持ちが乗り切れず遅々として進まず…



そんな時何気なくストリートビューを

グルっと180°回してみた。


飛び込んできた写真がこちら。

おおお!?

この風景・・・  見覚えあるアングル・・・


もう一度映画を見直してみた。


最初のシーン…

に、似ている!


ここは全く違う場所と思っていたが

こちらの方が目印がある分確認がし易い!


という事で物証探しはこちらに変更。


先ずは左にある建物。

映画のシーンをアップ。

当然建物自体は当時と違う。


映画の建物の特徴をピックアップ。

①・・・赤い屋根の上にひとつ突起物。

(赤い囲み)


②・・・右側に防風林のような木々

(緑の囲み)


③・・・間に小さな建物

(水色の囲み)


そしてここで登場するのは1975年の航空写真。

それがこちら!

見事に一致!

ここで間違いない!


映画のシーンに合わせてトリミング。

左に見えている建物は

映画の頃よりも右にずれて立て直されている。

それでは比較。

映画を少し暗くして遠くの山の稜線が

見えるようにして比較。

同じである!!!


という事はやはりこのシーンも 👇👇👇

ココである可能性が高い!



調査に俄然力が湧いてきた!!

まず目印になりそうなものは右の小屋なのだが、

こちらも「はさ木」と同様に現存していない。


となると遠くに見える家々だけが頼りになる。



前回の風景でココである確証を得たので

今回は俄然やる気が出ている!



探すこと1日。

その気になれば見つかるものである。

その物証を発見!!


さ~それではご注目!

今回発見の物証をご紹介!!


※映画もハッキリとは見えないので

いくらか強引かもしれませんがご容赦ください。



ポイントにしたのは3点

①・・・奥に横長の屋根、そして右側に縦向きの屋根 (水色囲み)

(水色囲み)


②・・・同じような作りで

奥に横長の大きめの屋根、そして右側に縦向きの屋根 (黄色囲み)

(黄色囲み)

③・・・赤い屋根の家(赤色囲み)

(赤囲み)

この3つが同じであればもう間違いないはず!



そしてこれが検証結果!


まず現在の写真を映画に近いアングルでトリミング。

そして映画のシーンと比較。

確認のため白いラインを引いてみた。

高さは違うが位置としてはドンピシャ!




3つの目標をもっと拡大画像で比較。

①・・・奥に横長の屋根、そして右側に縦向きの屋根

(水色囲み)

②・・・同じような作りで

奥に横長の大きめの屋根、そして右側に縦向きの屋根

(黄色囲み)

1975年と現在の航空写真とで比較確認

両方の家は当時からある。


映画と現在の写真を比較。

同じ場所にある。




③・・・赤い屋根の家

(赤囲み)

こちらも同じ!!


以上3点が今回の高羽アングルの物証!



つまり…

この場所は


現在は…

ここなのである!!


やった~!

やりました~。

(T_T)(T_T)





最後はこのシーン。

実はこのシーンでの寅の立ち位置からも

今回の件が正解であることが証明されるのである!


道を尋ねる寅。




ここで目につくのは画面右に映るバス停。

現在も同じようなバス停は存在している。

ただこのバス停にこだわってしまうと

今回のロケ地にはなかなかたどり着けない。



このバス停についてはなぜ使用されたのかは不明。




という事で今回はバス停にはこだわらず、その他に目印になるものを探してみた。



そして今回見つけたポイントは…ココ! (赤囲み)

画面右隅に映る

赤い横長のかなり大きめな屋根。

これと同じ赤い大きな屋根が

同じ方角にあればもう間違いない。



1975年の航空写真で確認してみた。

あった!


予想通りかなり大きな屋根である。

これでカメラの向きは分かった。

次に寅の立っていた位置はどこなのか?

この場面でも実は寅の姿は見えている。

アップで。

寅のいる場所まで「はさ木」の数は・・・

全部で15本。

ここからは一旦仮説。



現存している「はさ木」を確認してみると、10mの幅に5本は入っている。

という事は2m間隔に近いと思われる。


しかし昔からあった「はさ木」が「メートル」という単位で区切られていたのだろうか…


そうか!「メートル」ではなく

「間(けん)」なのでは?


つまり「はさ木」の間隔は2mではなく、

昔からの日本の単位である1間

現在のメートルに直すと1.8m間隔なのでは



という仮説を元に手前の「はさ木」から

寅のいる「はさ木」までは

1.8m×15=27mと推測。


多少の誤差はあるかもしれないが、当時の航空写真に当てはめてみた。


赤線の長さはは25m。

「はさ木」があったであろう場所の

右端に合わせてみた。(その右には小屋やしき黒いものも見える)

寅の位置(黄色●)と田んぼの境界線。(赤点線)

カメラ位置を予測(水色●)


カメラ位置を予測して

この位置から現在のGoogleで写真を確認。

それがこちら!

もう一度映画のシーン。

もうひとつ緑枠の目印と赤い境界線。


航空写真で確認して

現在その場所にある建物に同じく印をつける。

その2枚を並べて確認。

見事に一致!


ここまでピッタリと合うのは、とても珍しい。


やはり予測通り寅のいた位置はココで

カメラ位置はココなのである!


そして最初の導入シーンのカメラ位置はココ!

無事、解決!



以上である。



で、結局詳しい場所はどこ?

という事になるが…


それはまた現場を確認してから、ご紹介したい!



でも・・・

ここまで詳しく書いたので、近隣の方は直ぐに行けちゃうと思う。

お時間あれば是非チャレンジして頂きたい。