9作エンディング

マドンナはご存じ吉永小百合さん演じる

歌子ちゃん



約2分間の寅と登のエンディングシーン。


その撮影が行われたロケ地へ

今回は片道約5時間かけて日帰りで行ってみた。

ペプシのトラックが出てくるエンディングと言えば

思い出す方も多いのでは。




場所は岐阜県瑞浪市土岐町

下沢区公民館そば




当時の趣ある橋は無くなっていて

現在は少し離れた場所に

新しい橋ができている。



なぜ橋は変わったのか?


その理由を求めて

航空写真を使って過去を調べてみた。


この頃はまだ映画と同じ橋がある。


この写真では崩れて残った橋と

仮設の橋の2つが写っている。

現在の橋が完成している。




~柴又慕情の公開が1972年8月5日。


1972年の10月頃の航空写真では

既に橋は流され、仮設の橋ができているので

ロケ撮影された直ぐ後に壊れたのでは?



調べてみると…



昭和47年(1972年) 7月12日

秋雨前線

上流各地で被害甚大、死者6 名

水害区域面積/229.3ha(愛知県)、344.8ha(岐阜県)

被災家屋/832 棟(愛知県)、1,515 棟(岐阜県)


…とある。

昭和47年(1972)土岐川の洪水



どうやらこの土岐川の氾濫で

橋が壊れ流されてしまったと思われる。



そして当時の現場の方々は

映画のロケがあったということよりも

突然の災害で復旧活動が全てとなり、

映画公開での地元のシーン登場を楽しむどころでは

なかったのかもしれない。




それでは映画の流れに沿って現在のロケ地をご紹介。



最初のシーン。

寅が橋を渡っている。

これだけだと本当に同じか疑問が残るが…


映画のシーンと重ねてみるとほぼドンピシャな事がわかる。

画面中央の大きな屋根のお家が当時と同じ。



上の写真の撮影ポイントは…

最初こんな感じで全く見えないポイントだったが

決死(?)の覚悟で視界を切り開いて撮影。

(危ない場所なので良い子はマネしないように)




橋を渡る寅

側面からのショット

多分ココ。


橋の終わりに差し掛かる寅。

ここも現在の風景だと分かり難いので…

同じく映画と重ねてみた。

全体の風景。電柱くらいしか共通点が見つからない。



この場所は地元の方より有力な証言を頂いた。


お話を聞いたのは映画にも映っている

こちらにお住いのさん。

写っている白壁の建物は下沢区公民館





昔は今の建物の半分くらいしかなかったとの事。



そこでもう一度映画を観てみると…

確かに寅さんの左側に低い位置に

なにやら屋根らしきものが少し見える。

これが当時の公民館。




当時の航空写真と比較。


黄色い点線は位置の確認用。

ピンクの線は当時の橋。


赤丸の「下沢区公民館」と同じ位置に

1972年頃には青丸内に2つの屋根が見える。



それが映画のシーンでも見えている

この青丸内の2つの屋根。

つまりこの位置でほぼ間違いないのである。


登の用足し現場。

草むらから出てくる。

ここはかなり大ざっぱ。

激変していて不明。

かなりの急坂の土手を登が這い上がる。

滑り落ちそうになり、寅に手に掴まる。

ココも写真の切り抜きでは分かり難い。

ということで映画のシーンと重ね合わせ。

結構ピッタリとハマった。

現在は道幅が広くなり

広くなった端にガードレールができている。



土手下より映画と同じ角度で見上げると…

建物からかなり離れてしまう。

今の土手からでは高羽アングルの再現は困難。


ということで

かなり地面すれすれにして撮影。

現在の土手の上の道路。

少し画像を加工してみた。

昔はこんな感じで土手のヘリが

道幅ギリギリだったという。


橋もこんな感じだったのだろうか。





寅に引き上げられる登。

寅の右側に映る建物が目印。


今でもその建物は同じ場所にある。


その建物とはこちら

そしてピンク枠内に少し映る屋根。

こちらの建物も健在。


それがこちら。

こちらも半端でない風格!!

「完全飼料 石田水車」の看板

映画と同じ角度だと

ガードレールしか写らない。

対岸より撮影。

赤丸内が「石田水車」のあった場所。

黄色丸内のアップ。

ここは水路になっている。

「石田水車」さんがこの水路を使って

ご商売をされていたという。



そしてエンディング。


遠くに中央本線を走る列車が見える。

今回撮影している間も列車は数本通過していた。


画面右にある家が現在も同じ。

川の流れが大きく変わっているのがよく分かる。


「終」の文字をインサートしてみた。

走り去るペプシのトラックが目に浮かぶ。

曇天の空から差し込む陽の光。

ちょっと感動的だったので入れてみた。

大意なし。(失敬)



現場では当時の橋の位置がどこだったのかを

見つけるのに時間が掛かった。


結果としては現地の方のお話がとても参考になり

ほぼピンポイントで特定することができた。



このロケ地は歌子ちゃんが結婚後暮らしていた

多治見に近い場所。


という事は

寅はかなりニアミスしていたという事か?


そんな偶然も寅なら有り得るかもと

思えてならない。




おしまい。