別所温泉

2015/11/17

「別所温泉」  男はつらいよ

別所温泉…長野県上田市にある温泉。


北条氏が別院として使っていたことから「別所」という名前がついたといわれている。




標高570mの高地にある信州最古の温泉で、

日本武尊が7か所に温泉を開き

「七苦離の温泉」と名付けたという伝説から

「七久里の湯」とも呼ばれる。


出典:Wikipedia




超有名な温泉地でありながら、温泉や名所などには目もくれず



道路や建物、更には階段など、誰も撮らないであろう建造物や

そこには何もない空間をただひたすらに黙々と撮影し続ける。



行き交う人々は訝しげに通り過ぎ

「何を撮ってんだろう?」と嘲笑する。



そんな事は意に介さず、ただひたすらに撮り続けていると

中には「寅さん(関係)かい?」と声を掛けてくださる方もいる。

そんな時は何とも嬉しく思う。



片手に写真ファイルを持ち、頭の中にはそのシーンが連続再生され

その一コマ一コマの高羽アングルに集中する。



そんな状況で写した写真たち。

敬愛なる高羽さんのアングルに特化したものばかりなので

ご興味のない方にはつまらないかも。



その一瞬を独自のアングルで切り抜いていく高羽さんのやさしい風景を

出来る限り現在の風景にあわせて再現。



よろしければどうぞご覧ください。




高羽 哲夫 たかは てつお 

1926年8月31日 - 1996年10月31日

福島県河沼郡湯川村出身。

福島県立会津中学校(旧制)卒業。


1948年、松竹に入社。

映画カメラマンとして主に山田洋次監督とコンビを組み、

特に映画「男はつらいよ」シリーズの撮影に携わったことで知られる。



出典:Wikipedia






別所温泉が登場するのは第18作寅次郎純情詩集






寅次郎 篇


寅を乗せた電車が別所温泉駅に到着する。

【映画】

【現在】

映画のシーンでやや右後ろに見えている車両は

朝夕の混雑時に増結されていた車両。


現在は丸窓電車が展示保管されている。


側にある看板より



モハ5250

(丸窓電車)


当社で最初の新造車両として、昭和2年日本車両会社で

3両製造されました。ドアーの戸袋の窓が縦長楕円形で

あり、その形から「丸窓電車」の愛称で親しまれ別所線

の主力電車として塩田平を走り続けましたが、昭和61

年10月に5000形導入と共に引退しました。現在は

その姿をここに保存し往時を偲んでいただいています。


               上田電鉄株式会社


【映画】

【現在】

ここは同じ角度では撮れず…

道路側からは 大型の看板が邪魔して同じアングルでの撮影は難しかった。






今回巡る3つのポイント




撮影場所は3つのポイントにわかれている。


1.別所温泉駅前

2.俯瞰撮影

3.北向観音付近




1つ目のポイント


1.別所温泉駅前



駅に降り立つ寅

【映画】

【現在】

看板が同じところが何とも嬉しい。

カネモト味噌 カネモト醤油

右側にあるのはさくらの木。春にはきれいな花が咲く。

【映画】

【現在】

アングル間違えた・・・(-_-;)

映画時は階段の段数は10段、そして現在は14段

見え方に少し惑わされた。


【映画】

【現在】

別所温泉駅前の道路向こう










2つ目のポイント

2.俯瞰撮影

櫓の建っている高台。

辺りが一望できる場所。

俯瞰撮影のために、ここまで撮影用カメラを持って上がったのだ。

【映画】

【現在】

こちらの方が画的には見やすい

ここは高台でそこにある火の見やぐらからは

とにかく眺めが良い。画面右には塩田平が広がる。

映画の雰囲気に一番近いかも。









3つ目のポイント

3.北向観音付近

北向観音(きたむきかんのん)出入口付近




【映画】

【現在】

ここは今回逆光で難しかった。

そして、どうしても観光の方が多いので

少々遠慮気味で撮影に集中しきれず・・・

【映画】

【現在】

【映画】

【現在】

ここはどうも高さが足りない。

屋上から撮影できれば良いのだが。



上田市別所温泉センター

この3階の踊場から手を伸ばして撮影。

(3階の真ん中の窓)


ここは別所温泉駅より約600m位の所にある。



北向観音入口

古社、古刹が点在し、かつて北条氏が治めていたという

歴史的背景からか、別所温泉は近年では

「信州の鎌倉」と呼ばれているという。



【映画】

【現在】

【映画】

【現在】

参道

千手観音を安置する豪壮な唐破風の観音堂が見える。





【映画】

【現在】

カメラ位置の確認

【映画】

【現在】





【映画】

【現在】


カメラ位置の確認

カメラ位置の物証

この写真は北向観音参道にある「食事処福寿家」さんにて

店内に飾ってある写真。

このシーンのテイクで撮影されたお写真と思われる。

緑枠内にしっかり撮影カメラが写っている。


後ろにある建物の柱は

現在のこの柱。 (ピンク囲み)

ということで

ここのカメラ位置は ここ。





【映画】

【現在】

逆光のため




カメラ位置は多分ココ辺り

北向観音(きたむきかんのん)


北向観音堂は、平安時代初期の天長2年(825年)、

比叡山延暦寺座主の慈覚大師円仁により開創された霊場です。


安和2年(969年)、平維茂は一山を修理し、

三楽寺、四院、六十坊を増築したと伝えられています。


寿永元年(1182年)には源平争乱の中、木曾義仲の手により

八角三重塔と石造多宝塔を残して全て焼失してしまいますが、

源頼朝の命のもと伽藍復興がおこなわれ、建長4年(1252年)、

塩田陸奥守北条国時により再興されました。


本堂が北に向いているのは、わが国でもほとんど例がりません。


北向観音様は北向に建立され

千手観音様を御本尊として現世利益を願い、

また善光寺様は南向きに建立され阿弥陀様を御本尊として

未来往生を願います。


現在と未来の片方だけですと片詣りと言われおり、

たまたま向き合ってる両方をお詣りしたほうが良いと

言われるようになりました。


今の時代の幸せを願い極楽世界でも幸せであるようお詣りください。


天台宗別格本山

北向観音・常楽寺HPより

http://www.kitamuki-kannon.com/



南向きの善光寺(長野市)に対面する位置関係にある「北向観音」。

両方お参りすることで厄除けが成就できると言われている。


【映画】

【現在】





【映画】

【現在】





旅館「いづみ屋」

北向観音の参道に立つ土産物店「三楽」さんが、

映画では旅館「いづみ屋」として登場する。


この旅館の名前は山田洋次監督が脚本を書いた

「和泉屋旅館」より借りた名前。

ちなみに映画内の電話番号も「和泉屋旅館」さんのTEL番号。

【映画】

【現在】

ここは一見違うように見えるが赤丸の部分が

当時の面影を残している。

【映画】

【現在】



【映画】

【現在】

ここも一見違うように見えるが、ピンク囲み部分は当時のまま

【映画】

【現在】






【映画】

【現在】

これは赤丸の部分の柱を目印に窓の場所を合わせると…

アップになると一面壁。もう自己満足の世界。

【映画】

【現在】

ここからは本来2階からの撮影なので、雰囲気だけでご容赦願いたい。




【映画】

【現在】





【映画】

【現在】


こうしてみると

この階段の所にある当時の青色の街灯は

ちょっと違和感ある。



【映画】

【現在】


かなりのアングル数を一気に撮影したため

少々息切れ気味に…



今回はかなり集中力が途切れる場面もあり

不満の残る写真も数枚ある。

これはリベンジか?(笑)



如何でしょう?

素人の再現撮影があると

より高羽さんのアングルが輝いて

見えると思います。


比べること自体

恐れ多いですが。。。










さくら 篇

続いて…

さくら篇

寅次郎篇と比べて比較的少ないので、サラッとご覧願いたい。


さくらを乗せた電車は、別所温泉駅に到着する。

【映画】

【現在】

高羽アングルではないが雰囲気はお伝えできてると思う。


左に見える車両は展示保管されているモハ5250



別所温泉駅に降り立つさくら


【映画】

【現在】

【全体】

実はこのシーン、

なぜかさくらが思いっきり左側から現れる。



赤矢印がさくらの上がったルート。

思いっきり斜めに階段を上がっている。


理由として考えられるのは…

階段の1段当たりの高さが高かったため?

(現在は14段で当時は10段)


テイクが多くて倍賞さんが大変だったか…

はたまた衣装か靴のどちらかが高い段差を上がれなかったのか…


それとも画的に次の振り返るシーンを強調したかった?

何かしらの理由があったと推測される。


そして見上げたさくらの視線の先には…

「ハイヤー別所車庫」の看板


その車庫にどんどん入っていくさくら。

【映画】

【現在】

しばらくして車庫から出てきて目の前のおじさんに

警察までの道を尋ねる。


【映画】

【現在】

なぜ?さくらは車庫に入ったのか?


理由はおそらく

この車庫の左右に貼ってあった張り紙がヒントと思われる。

 お願い

ハイヤーご用命の方は左隅

の直通電話をご利用ください。

  お客様へ


これを瞬時に読んださくらは奥にある直通電話をしたが

ハイヤーは出払っていたため誰も電話に出なかった。


仕方なく、さくらは外にいたおじさんに道を尋ねたのであった。


・・・といった流れだろうか。


そして道を尋ねたおじさんにちゃっかり車に乗せてもらえて、

約600m程離れた別所警察署へと無事到着するさくらなのであった。


【映画】

【現在】

撮影当時は「別所村役場」でロケをしていた。

現在は別所温泉センター

(温泉歴史資料展示室がある)


【映画】

【現在】

全く違う建物なのだが

入口の柱が似ているので

少し雰囲気を合わせての撮影。

現在の別所温泉警察官駐在所

もしかすると当時の「別所村役場」に

外観は少し似ているかもしれない。


屋根の形が似ている。

別所温泉警察官駐在所の屋根





帰りの別所温泉駅前






【映画】

【現在】

ここは完全に失敗。何気に車の交通量が多く

車に気を取られてしまい高羽アングルを逃してしまった。。。

【映画】

【現在】

【映画】

【現在】





おしまい。