播州龍野へ!

2022年9月20日掲載

第17作 男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け

この作品はシリーズの中でも特に人気の高い作品であり、自分も同じく大好きな作品です。

このページは2022年5月1日、17作の舞台となりましたたつの市に、初めて行った時のロケ地中心の内容となります。

【ロケ地】

青観の思い出 ①

兵庫県たつの市龍野町上霞城

龍野小学校のグラウンドを眺める青観。

正しい高羽アングルはもっと校舎寄りだが、立木に阻まれ撮影できないため、西側出入口より撮影。

奥に見える古い家屋が映画の頃と同じ。

撮影されたのがココである事の証拠。

【ロケ地】

青観の思い出 ②

兵庫県たつの市龍野町上霞城

龍野小学校の北側、霞城館(かじょうかん)近く

霞城館には、龍野が生んだ文化人、三木操(露風)、内海信之(泡沫)、矢野勘治(興安嶺)、三木清に関する文献や資料が、一堂に揃えられている。



右奥に龍野城の隅櫓が見える。


別名「霞城」鶏籠山(けいろうさん)の山麓に建つお城、『龍野城 霞城(かじょう)の隅櫓(すみやぐら)』

【ロケ地】

青観の思い出 ③

兵庫県たつの市龍野町中霞城

たつの市旧脇坂屋敷近く

最後の龍野藩主・脇坂安斐(ワキサカ ヤスアヤ)以来、明治時代から昭和まで脇坂子爵家が居住した中屋敷と、面影が残る和風庭園。

【ロケ地】

志乃(岡田嘉子さん)の家に向かう青観

残念ながら志乃さんの家はもう無い。

榊原るみさん、第7作の花子以来の再登場。今回は志乃さんのお手伝いさん。なぜかノンクレジット。

【ロケ地】

龍野の夕暮れ①

龍野新大橋にて

高い建物はほぼ変わっているが、奥に見える山の稜線は同じ。

【ロケ地】

龍野の夕暮れ②

旭橋東側より

【ロケ地】この場所は撮影できず。龍野の夕暮れ③

この撮影場所は龍野ロケ地で唯一不明箇所

「龍野の夕暮れ③」シーンはこちらの建物の屋上から撮影されたようだ。

【ロケ地】

龍野の夕暮れ④

【ロケ地】

龍野の夕暮れ⑤

奥に見えているのは如来寺。

これからお座敷に向かう芸者さんたちが暗闇に包まれる中、華やかに映る。

【ロケ地】

梅玉旅館前

ここも本当は川に降りた場所からの高羽アングルを再現したかった。

【ロケ地】

青観、寅の見送り

ぼたんがやって来る。

前日の大雨で水量が多く、一部両サイドまで水が広がっているため危険と判断。高羽アングルでは撮影できず・・・

【ロケ地】

青観、寅の出発。梅玉旅館前。

見送りに来た芸者ぼたん(太地喜和子さん)。

「何だよぼたん、おまえ(見送りに)来てくれたのか?」

「とんできたんよ」


「おい、ぼたん。いずれ一緒に所帯もとうな!」

「( ̄m ̄〃)ぷぷっ!ほんま?」

「おう!」

「嘘でも嬉しいわぁ!」

「あてにせんと待っとるからね~」

「あばよー!」

【ロケ地】手を振るぼたん。ぼたんがホント魅力的である!

【ロケ地】

志乃に気が付く青観。少々驚いている。

それほど志乃の行動が意外だったのだろう。

いつまでも志乃から目が離せない青観。

青観の気持ちが・・・青観の志乃への想いが伝わってくる。

いつまでも、いつまでも・・・

青観を乗せ走り去る車に向かって、最後の最後で手を振る志乃さん。青観が驚くくらいだったので、本来志乃さんはそこまでするような女性ではなかったのかもしれない。これまで抑えていた青観への強い想いが彼女をそうさせたのではないだろうか。


二人が会う事は恐らくこれが最後だったに違いない。

再会を、そして互いのこれからの未来を信じ別れた寅とぼたん。

それとは真逆に、これまでの気持ちをそっと心にしまう青観と志乃の別れ。


この対比が更なる切なさを生むはずだったのだが、最後の最後に突然どこからともなく現れたご近所の女性と自転車。志乃さんが手を振っていたことを誤魔化すように挨拶をする仕草は、とてもチャーミングな姿になっていて、観ているこちらが暗い気持ちのまま終わらないようになっていると感じた。その演出に、改めて山田監督の細やかな気配りのすごさを感じずにはいられなかったのである。


【宣材写真撮影地】

これは本編に無いシーン。

宣材用スチール写真である。

十文字川(とじがわ)横路地、如来寺そば

【ロケ地】

揖保川で遊ぶ子供たち

今回揖保川は、大雨のため増水しており中州へ降りることができない・・・

橋の上から高羽アングルにチャレンジ。

本当は同じ高さから撮影したかった・・・

念入りに事前調査も完了していただけに非常に残念!

高さは違うが、可能な限り鶏籠山と街の風景の位置関係は映画と合わせている。

この激流では、降りて撮影することは無理・・・

【ロケ地】

再び龍野橋。

アイスキャンディーを買う寅。

【ロケ地】

氷屋さん。

今はあまり見かけないが、昭和50年代頃まではよく見かけた夏の風景。

兵庫県たつの市龍野町本町付近

【ロケ地】ぼたんの家に続く細い道。ぼたんの笑顔を思い出す。この道を通る時、ぼたんはいつもどんな事を考えていたのだろう。

左にあった家屋が無くなっているので今はとても明るく開けている。

この細い道を眺めていると、とても感慨深い気持ちになる。

【ロケ地】

寅が訪ねてきたタイミングで、丁度よく玄関から出てくるぼたん。(映画なので当り前)

ぼたんの家はもう無い・・・

【ロケ地】

下駄を洗うぼたん。

ぼたんに気づかれないように、そっと後ろから近づく寅。

「いやぁ~、寅さんやないの~なんで?」

「決まってるじゃねえかよ、お前さんと所帯を持とうと思ってやってきたんだよ・・・へへへ」

ま、映画はセットですけれど・・・(;^_^A

「ちょっ、ちょっ入って!いいから、早う!」

「何だよ、えー?」

ぼたんの家の玄関奥から見たショットと合わせて想像を働かせ見てください。

【ロケ地】

ぼたんの家が奥に見える。

もう今は更地となり、ぼたんの家は無い・・・昨年ならまだ間に合っていた。

【ロケ地】

「ぼたん!」

「なんや、どないしたん?」

寅の後を追い、走るぼたん。

【ロケ地】

寅を追いかけるぼたん。

角を曲がり切れずに通り過ぎる。

映画では映っていないが、路地を走ってくるとこの場所に辿り着く。この路地を寅とぼたんは走ってきたのだ。

【ロケ地】

おい、東京どっちだ?東京!

え?東京?こっちやろうか。。。

【ロケ地】

東京に向かって拝む寅。

実はこの方向で正しい。

寅は東京にいる青観に向かって、感謝の気持ちを正しく届けていたのだった!!

「先生、ありがとう!」

「本当にありがとう!」

山の頂上に「赤とんぼ荘」が少しだけ見えている。

【ロケ地】

「ちょっと、ちょっと、東京はこっちやったね?」

醤油工場従業員役の露木幸次さんが別の方向を指すものだから最後はもうひっちゃかめっちゃか。(笑)

【ロケ地】

「東京どっち?」のシーンは段々と引きの画になり「終」の文字に繋がるのだが、寅とぼたんのいたこの道路は、寅と青観の乗った黒い車が通った道なのである。

国の重要伝統的建造物群保存地区、龍野の町並みが広がるエンディングでの俯瞰。山田監督も、高羽カメラマンもこの景観に感動したに違いない。その気持ちがラストシーンにとても現れていると思う。

最後の俯瞰は主要ロケ場所がしっかりと映っているのだ。

そしてエンディングへ・・・

この「赤とんぼ荘」から映画のエンディング「終」と同じ俯瞰を撮影できるのだが、残念ながらこの時は最上階に上がれなかった。

なのでこの俯瞰の寅福的高羽アングルは再現できず・・・それだけが残念。

作品毎のオープニング、エンディングはスタッフの本気が思いっ切り詰まっているベストショットが多い。その中でも今作のラストはシリーズ1、2を争うBEST of BESTショット!この景観が何とも愛おしい・・・ただ、ただ残念である。

映画とは関係ないが、これが夕焼けだったら・・・という思いを胸に龍野の空を撮影。

予告編で映るヒガシマル醤油工場の2本煙突

本当はもう一つ南側の道路からの撮影なのだが、風景が変わってしまったためここから撮影。

本竜野駅では「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」の横断幕が訪れる方を迎えてくれる。

姫路駅そばのビジネスホテルに泊まったため、夜に本竜野駅を出発。人気のない改札や駅のホーム。この日の夜はとても寒かった。

初めての龍野。2日間にわたりトータル約7時間位のロケ地巡りでした。

皆さまも是非!たつのへ行ってみてください。寅さんのロケ地以外でも、思わず写真を撮ってみたくなる素晴らしい街並みがいっぱいです。

おしまい