ロケ地探訪 茨城

2023年2月掲載

第34作「男はつらいよ 寅次郎真実一路」1984年12月28日公開

富永健吉( 米倉斉加年)は スタンダード証券日本橋本社の課長。

茨城県つくば市に一戸建てを購入。

寅次郎とは上野の焼鳥「まるき」で知り合う。

富永課長の家がある茨城県つくば市「森の里」

朝6時に家を出る富永課長。

茎崎橋を渡って行く。   ちなみに常磐線「牛久駅」とは逆方向。

「7時半から会議があるから、6時に家を出た。」と、富永課長の妻、ふじ子(大原麗子)さんは言っていた。

確かに牛久駅まで約20分位、そして職場の東京駅までは約1時間なのでギリギリ会社までは間に合う計算。

朝焼けの中、茎崎橋より森の里団地方向を望む。  富永課長の家も見えている。







朝9時半近くまで富永課長の家で寝ていた寅次郎。

富永家にふじ子さんと二人っきりとわかり慌てて飛び出したため、大切なお守りを忘れてしまう始末。




帰り途中でふじ子さんに呼び止められ、振り返る寅次郎。

ふじ子「あのー、ちょっと!忘れ物!」

「はい」

お守りを手渡すふじ子

「ああ、どうも・・・どうもすみません、わざわざ」

「いいえ   あの遠い所ですけど、またお暇な時にお出かけください」

「ありがとうございます   それじゃ」

「寅さん」

「へい?」

マドンナの曲「ふじ子のテーマ」がやさしく流れだす。

「あ・・・すいません、夕べ主人が「寅さん、寅さん」って呼んでたもんだから・・・つい」

「また、どうぞ寅と呼んでやってください」

「そう?じゃあ・・・寅さん」

「はい」

「奥様にどうぞよろしく」

「そういう面倒なものは持ち合わしちゃあおりません」

「あら、ごめんなさい」

「いえ・・・へへへ  それじゃあ、ごめんなすって」


数歩進んで振り返り、ふじ子に一礼する寅次郎。

「さよなら」

寅次郎の後姿を見送るふじ子


寅次郎の恋が始まる瞬間は、いつでも観ているこちらもドキドキしてしまうのである。

38年前、間違いなくこの場所に寅次郎とふじ子はいたのだ!

運命の場所はココなのであった。





反対方向ではあったが、関東鉄道バスがタイミングよく通過。

映画公開から約38年経過しているが、見えている家々はほぼ同じである。

こちらはかなり見た目の雰囲気が変わっている。






ふじ子の家の前で帰りを待つ寅次郎。

寅次郎に気が付くふじ子

寅さん!


ふじ子に気が付く寅次郎

わざわざ来てくださったの?

先日はどうも失礼いたしました

いいえ

あの・・・うちの方へ奥さんから連絡があったって聞いたもんだから

俺、会社の方へ電話したんだ

課長さん、病気で休みだって聞いたからな

俺、病気見舞いに来たんだけども・・・どうした?

課長さんの病気そんなに重いのか?


主人いないの

え?


ずっといないの

いないって?

ふじ子のテーマが流れる

先週の金曜日 いつものように家を出たっきり帰ってこないの

どこ行ったか分からないのよ

何もわからないのよ寅さん!


奥さん!しっかりして・・・ね!

あの とりあえず家の中で話聞きましょう さあ


悪い噂が立ってしまってはふじ子に迷惑がかかると思い、家に入る寅次郎なのであった。


長い道の中で、ピンポイントにこの場所をロケとして選んだのは、きっと右後方にある木がポイントだったと思われる。

そのポイントになった木が、現在は無くなっているのが非常に残念・・・。







映画の終盤。  富永課長はうつろな表情で柴又のとらやへひょっこりと現れるのである。

一刻も早くふじ子に会わせるべく、タクシーに乗って家まで送り届ける寅次郎なのであった。

遠くを見つめ、何を思うか寅次郎! ふじ子へのけじめの気持ちなのか!!

今作も寅次郎の男気に惚れる。

叶わぬ恋であっても、愛する女性の幸せのために、寅次郎は全力を尽くすのである!






そしてエンディング

釣りをする富永課長と息子

ここはかつて吉川さんが大変苦労されて発見されたロケ地。  親子が釣りをしていた船着場は今はもうこの場所になかった。

1984年の航空写真 赤丸が親子が釣りをしていた場所

航空写真にはしっかりと写っている。

恐らくこの辺りから撮影していたと思われる。

この釣り場までは、富永家から4㎞ちょっとあるので、自転車で20分位はかかる。

結構な距離なので、ふじ子さんだけは自転車で来たのだろう。

楽し気な富永家の笑い声が聞こえてくるようだ。

水面に写る白い雲と青い空が、とても気持ちの良い午後のひとときだった。

またしてもエンディングのロケ地にしっぽりと気持ちのハマる寅福なのであった。


おしまい。