第8作ロケ地

第8作 男はつらいよ

寅次郎恋歌

1971年12月29日公開


マドンナは池内淳子さん


第8作のオープニングのロケ地については

以前このブログ内でご紹介済み。


今回はそのロケ地に実際に行ってみた。


新発見と共に非常に内容の濃いロケ地探訪となったので

詳しくご紹介したい。



先ずは映画の

オープニングでのシーンから・・・

現在の姿

引きで見た風景

向こうに石黒造船(株)さんが見える。


舞台はここから始まる。


        


ここは神奈川県三浦市


映画の設定ではとある港町。



「メイキング版より」

現在の姿

@映画のシーンより


現在の姿

場所は赤丸の所

雨は人工的に降らせている。

「メイキングより」

今後も度々出てくることになる

坂東一座と初めて関わる大切なシーン。

「メイキングより」

大空小百合との出会いも

とても印象に残るシーンである。


切なくとも未来を感じさせる力強さを兼ね備えた

大空小百合のテーマはとても好きな曲の一つである。



このオープニングのシーンをまとめてみる。



?@とある港町での一座の公演

?Aその後雨の中、大空小百合に宿まで送ってもらうシーン。

B狭い路地に入り

宿前に到着

?@の倉庫の存在は既に明らかになっていたので直行。


?A~?Cは未解決のロケ地であった。


その?A~?Cのロケ地を明らかにすることを目的として

今回は寅仲間である

巨匠、彰(あきら)さんと

ロケ地派御大、ちびとらさんと

ご一緒させて頂いたロケ地探訪である。


両巨頭にご一緒させて頂けたことは

本当に身に余る光栄である。

全く隙のない内容で充実した一日となった。




現場に行く前にはいつもストリートビューにて事前調査をする。


調査段階で当たりをつけていたのが?Bの場面。

映画のブロック塀に非常によく似たブロック塀を発見済みだったので

取りあえず?Bの場所へ行ってみる。

映画でのこのシーン、赤丸で囲った

ブロック塀に注目。


ストリートビューで確認してみた

同じようなブロック塀


そして実際に確認

間違いない!

この場所である!!


ということは?Aの場所はその途中にあるはず。

赤丸の?@から青丸の?Bに行くまでの場所。


ということは赤枠の場所が怪しい。

?Aのシーンによく似た場所は確かにある。

が、しかしどうも決定打に欠ける。

取りあえず候補地として一旦保留。



そして調査は?Cの場所へと続くのである。


?Cの宿は電話作戦にて事前に

彰(あきら)さんがアポイント済み。

(さすがである。)



?Cの場所へ移動しようと思った時である。

?Bの青丸の場所にてあるお方より偶然にも

重大な証言を頂けたのである!!



第8作のオープニングシーン。


一座の芝居小屋から雨の中

寅さんを宿まで送っていく大空小百合とのシーン。


?@丸の倉庫から

?B丸のシーンまでの道のりが

紫で示した線



枠が下のシーンのロケ地の候補地としていたが

どうにも決定打に欠けていた。

現在の写真。雰囲気は似ているが・・・

?Bの地点から次の?C地点に移動しようとしていたところ

偶然にも斉藤菓子店のご主人と駐車場でお会いした。

お会いしたというよりも彰(あきら)さんがお気付きになられて

咄嗟に機転を利かせてお声を掛けられたのである。



丁度一台車が駐車場に入ってきて

降りてこられた男性の方が偶然にも斉藤菓子店さんのご主人だったのである。


ここで寅さんの撮影があったこと

この近辺を今日は色々探索していることなどを細かくお話。


するとご主人は多分そうだろうと思ったとのこと。

実はこの場所はちょくちょくテレビのロケで使われているという。


驚きである。


ファン方がこの辺りでは結構出没しているらしい。

思わぬロケ地スポットだったのだ。


ただご主人はここが寅さんに使われたことはご存じなかったようだ。


そこで彰(あきら)さんが用意されていた写真をご主人に見て頂く。

とても興味深くご覧頂く。


そこで彰(あきら)さん、例の?Aの場面をご主人に見て頂く。

この場所だけがよく分からない、というこちらの言葉を

一瞬で吹き飛ばすようなご主人のお言葉。


「あ~、ここね。ここはあそこだな、今はないけど。」


「え?お分かりになるんですか?」


「わかるよ、このマグロ箱があった場所だから。」


マグロ箱??


そうなのである。

これまで全く分からなかったが背景に映っている木箱は

マグロを入れるマグロ箱だったのである!

パーって雲が晴れていくような気分がした。

奇跡の瞬間であった。

丁度、歌舞島(かくじま)あたりのあそこらへんに・・・と

マグロ箱のあった位置を教えて頂けた。



となるとやはり?Aのシーンは

先ほどの枠の場所ではなかった。



明確な根拠はなかったが、やはり

「何か違う」という勘は正しかった。




ご主人より教えて頂いた場所へ向かう前に

予めアポイントを取っていた?Cの場所へと向かった。

?Cの場所

詳細は彰(あきら)さんのHPをご覧ください。

「覚書ノート 寅次郎な日々」参照

http://www.yoshikawatakaaki.com/lang-jap/torajironahibi29.htm#536



ここは現在普通の住宅である。

こちらにお暮しのご夫婦に当時のお話をお訊ねしてみた。


突然のお電話、そして見ず知らずの来訪者にも関わらず

ご夫婦はとてもご親切に温かく貴重なお話を聞かせて頂けた。

とても感謝しております。


当時は旅館のようなことをされていたとの事。

つまり本当に宿泊できたのである。

旅館と言うよりは避暑地の滞在場所として営まれていたようである。


映画では「松崎旅館」


これは松竹のスタッフが用意したもの。

同じ場所に本来の「歌舞島館」の看板があったという。


撮影は1日がかりだったという。

雨は人工的に降らせたが

水が足りなくご近所からもご協力を頂いたらしい。


ご近所の方も交えて山田組スタッフ、出演者の

渥美清さんや岡本茉利さんなどのお世話もされたという。


休憩時間には渥美さんとお話もされたとの事。

当時2枚ほどサインをもらったが、はて?

今はどこにいったやら・・・となんとも勿体お話も。


1時間ほどお時間を頂き、貴重なお話もいっぱい頂き

本当にありがとうございました。


そして帰りがけに玄関でパシャリ!

これは下の映画のシーン。

玄関の位置もほとんど当時と変わっていないという事で

写真を失礼させていただきました。貴重な1枚です。



外からの写真

やはり面影はある。

そして大空小百合との別れのシーン

何とも言えない気持ちである。




そして最後の難関

本日一の奇跡の発見へ続くのである。



?Aの場所はもう目の前だ。

いよいよ大詰め。


今回の最大の難関

?Aの場所解明へ

地図でおさらい。


?Bの斉藤菓子店のご主人より教えて頂いた

?Aの場所へ向かった。

実はここへ辿り着く前に少々の紆余曲折もあった。


迷いながらもその瞬間は突然訪れた。

道路わきのちょっと小高い小山から道路を見渡してみる。



ハッと思った。


ここだ!

埋め立てられてて当時の面影は微塵もないが

伝わってくるものがある。

映画の情景が浮かぶ。


高羽さんの意志が伝わってくる気がした。



当時の航空写真である。

緑丸の隣のプールは今も健在(写真右側)

そして白い車のある場所は当時は海

そして緑丸の位置をアップにしてみると

何とマグロ箱が映っている!


高く積まれたマグロ箱がある!!

高く積れている証拠はその影もしっかり写っている。

間違いない!


そして映画に出てくる岩(青枠)

これも映っている。(青枠)

この写真を写した場所を反対側から撮影

この場所は当時から変わっていない。

おそらくこの小高い場所にカメラをセットして撮影したと思われる。


映画のシーンもちょっと上から下に見下ろすアングルになっている。

今回の発見は本当に奇跡であった。

一人では到底発見できなかったはず。


彰(あきら)さん、ちびとらさんと

ご一緒させて頂けてこの奇跡の瞬間に立ち会えたことは

本当に幸せな事だった。





今はもう昔の面影は全くない。

あの岩礁は全て埋め立てられている。

ネットを少し探してみると埋め立てられる前の写真を見つけた。


少々角度は違うが面影ある岩礁をご覧ください。

---おしまい---