遂に発見!大物ロケ地 ③
2024年5月投稿
<前回までの内容>
重要大物ロケ地として、これまで10年以上発見できないでいた、
さくらの勤める「オリエンタル電機」のロケ地。
そのロケ地が遂に発見されました!
発見までの道のりをご紹介する、シリーズ3回目となります。
写真が多いので、1ページのデータ量を減らすため、複数回に分けております。
何卒ご了承願います。
5、目標物の検証
さくらの勤める「オリエンタル電機」のロケが行われた場所、その建物は・・・
有楽町ビルヂング!であった!
有楽町ビルヂングをカメラ位置と考え、
映画の画角に合わせ、当時の航空写真にあてはめてみた。
ん?よく見れば
日劇と帝国ホテルがアングルに入ってる??
あれ?ということは・・・!!!
❶ 建設中の大きな建物
この右に映っているのは、建設途中の
帝国ホテルなのでは?!
窓の形を確認!
何と同じである!
現在は高層ビルが立ち並び
当時のような帝国ホテルを見ることはできない。
2024年5月撮影
完成後の帝国ホテルは
実は第7作に登場する。
新本館
高橋貞太郎 設計。
鉄筋鉄骨コンクリート造、地上17階、地下3階、客室数772。
1970年(昭和45年)3月10日開業
1967年に旧館が閉鎖。そして1970年新本館開業を目指し、
映画の撮影があった1969年は建設途中だったわけである。
なるほど・・・
だからこれほどまでに目立っていたのか!
結論!このシーンで寅次郎の向こうに映っている建設中の建物は、
「帝国ホテル新本館」
❷ 特徴的な青い電飾看板
こちらは今回の解明に結びついた貴重な電飾看板。
この写真を発見したことで、ここまで一気にこれた。感謝しかない!
❸ 特徴的な建物
この特徴的な建物も、今回解明できた!
そのきっかけになった写真がこちら。
そう、赤で囲った
コカ・コーラの看板
だったのである!
映画では黄色矢印方向から見ているので
映画に映っていたのは正確には赤囲みの側面。
アップにすると、この看板の上部にもその菱形のような形が確認できる。
そしてもう一つ。
これは仮説だが、その横に見えるサントリーの看板。
これは「東光ビル」の上にあった広告看板。
状況的にはこのサントリーの看板の側面部分と推測される。
この写真で横から見えている部分は、映画に映っていた看板くらいの幅に見える。
同じサントリーなので、側面には文字だけを入れていた可能性は高い!
映画では、この赤い囲み側ではなく、反対側の側面の方になる。
ただ、その写真は発見されて無いので、あくまでも推測ではあるが・・・。
❹ 特徴的な看板
そして今回一番驚愕だったのはこの特徴的な看板は
実はこれ、なんと日劇なのである!
おそらくこの赤で囲った部分が見えていたはず。
これはもっと早く気づけたはず・・・
これら❶〜❹の目標物は全て立証できた!この画角で窓の外は見えていたのだ!
高羽さん、あなたという人は・・・
カメラアングルの中で演出されていたんですね。
今回の調査で、我が敬愛する高羽さんは、
背景が画面の中で主張しすぎないよう、アングルを演出していたように思う。
つまり、「特別」を映すのではなく、「日常」を映す演出なのではないだろうか。
単純にそれとわかるような有名な建物などは、その建物自体の存在感が非常に大きいので、
しっかりとわかるようなアングルで画面に出てこないように・・・
でもちゃんと見れば、きちんとわかる、観ているこちらに対して、
非常に優しく、そしてちょっとした茶目っ気のある演出をしているように思えた。
そう、この窓の外は、ひょっとしたら1970年頃の有楽町を知る方にとっては、
とても懐かしい風景なのかもしれない!それこそ「日常」。
そして建設中の帝国ホテル新本館も映る、とても貴重な映像でもある!
そしてもう一つ、今回の一連の解明で、新たに気がついたシーンがあった。
それは、このシーンでさくらの影に隠れている部分
緑色に塗った部分、ここも多分広告看板
赤枠で囲った広告看板だと思われる。
ちょっと画像を暗くして、他の写真との比較。
やはりダイキンの広告看板である。
この広告看板はさすがに目立つので、演者の立ち位置で映らないようにしたのではないだろうか。
そして、ダイキンの隣には「黄桜」の看板。
多分このイラスト。
比較で並べてみた。
背景色が違うが、間違いなくこのイラスト。
各看板の位置関係
ちなみに現在の看板はこちら。「サトウ製薬」の看板下のビルは、もしかすると当時ビルかも・・・
サントリーの看板について一人思うこと・・・
しかし、作品の中であれだけ「サッポロビール」を画面に映し出しておいて
中盤だけ同業他社の「サントリー」の看板を堂々と見せるとは!
現代では考え難いことである。
20年振りに帰ってきた祝いの席でも・・・
さくらのお見合いの席でも・・・
さくらと博の結婚式でも・・・
そして舎弟の登との別れの場面でも・・・
全て「サッポロ」なのに・・・
不思議だ。
改めて1975年の航空写真を確認。
この赤枠で囲った看板、
「サントリー<純生>」と見えるような・・・
(諦めが悪い・・・)
これまでバラバラだったピースが、どんどん当てはまっていく。
この現象こそ、この場所が正しいロケ地であることを裏付ける証拠なのである!
6、では、ピンポイントでどこなのか?
残すはどの部屋で撮影されたのか、ピンポイントでどこなのか!である。
ここからは推測である。
高さは「日劇」よりも少し高い位置と推測。
根拠はこのシーン。
左・・・日本劇場(通称:日劇)
右・・・朝日新聞東京本社・地下1階、地上7階、塔屋2階の鉄筋コンクリート造り
つまり日劇は建物の7階相当の高さがあった。
有楽町ビルヂングは地上11階の建物
日劇はかなり下に見えるので、
撮影は9階以上のフロアと仮説。
そして、さくらが入ってきた出入り口の後ろには階段が見える。
さくらが入る前のアングルでは
柱と窓が見える。
この柱と窓が見えていたと思われる。
有楽町ビルヂングの間取図でその位置を確認してみた。
赤点線がさくらの動き
航空写真で確認。ほぼ建物の中央付近と思われる。
実際にはどの窓になるのだろう・・・
今度は窓に番号を振ってみた。
34番目の窓と推測。
実際の写真に、番号を当てはめてみた。
赤い丸🔴印が候補の窓。後は何階なのか、という事になる。
これは実際に中へ入ることができれば、解決できるかもしれない
と思っていたのだが・・・
7、メールの結果報告
前回どのように現場検証をすれば良いかと思案した中で、
正々堂々と正面突破を目指し、無謀とも言えるお願いメールを送ったお話をしたが、
どんな内容で送ったのか、その一部を少しご紹介したいと思う。
<前略>
つい先日なのですが、1969年公開の第1作「男はつらいよ」で
妹さくらが勤めていました「オリエンタル電機」のオフィス内で
寅さんとさくらが会話するとても重要なシーンがあるのですが
これまでその場所が「丸の内」ということしかわからず
どこで撮影されたのか不明だったのですが
調査開始から約10年、偶然見つけました一枚の写真からその場所が
御社の「有楽町ビルヂング」であることがわかったのです。
そこでwebで色々と調べ、実際に有楽町にも行ってきましたが
昨年で閉館となり、これから取り壊されるということを知りまして
これは何としても建替前にビル内から映画と同じアングルで写真を
撮影させて頂けないかと思い、藁にもすがる思いで
この度メールをさせて頂きました。
この場所は映画シリーズの中でも非常に大切なシーンを撮影された場所になりまして
おそらく10階か、11階の階段近くの南側窓で撮影されたと推測しております。
さくらの勤め先の窓から見える55年前の有楽町の風景と
同じ場所から見た現在の有楽町の風景を比較しながら撮影させて頂き
記録として後世に残させて頂きたいと思っております。
全国1千万の寅さんファンや、未来の寅さんファンのため、ということもありますが
何より御社のコーポレートブランドスローガンにも合うのではないでしょうか。
正直、このメールをしたからと言って、「ハイ、そうですか、それではどうぞ」とは
いかないことは百も承知です。
ただ少しでも可能性があるのならと思い、自分の気持ちをメールした次第です。
さあ、果たしてどのような回答をいただけるのか!
お待たせしました!!
数日後に三菱地所様より次のようなメールを頂戴しました。
<前略>
既に閉館ビルの為、関係各所への確認に時間が掛かってしまい
お時間いただき申し訳ございませんでした。
大変お気持ちのこもったメールをいただき、何とか撮影いただけないかと
関係先に色々と当たってみたのですが「ビルは閉館済となり、安全面の観点から
撮影をお断りせざるを得ない」という結果になってしまいました。
安全上どうしてもお受けできず、ご希望に沿うことができず大変申し訳ございません。
この度はご丁寧にご連絡いただきありがとうございました。
今回、このようなご関心をいただけたこと感謝申し上げます。
・・・・まあ、ですよね、その通りですよ。
安全上の観点
関係者ではない、どこの誰ともわからない人間に、そんなことができるわけがありませんよね。
1回分引っ張った割には、このような残念な結果となり
皆様のご期待にお応えできず、
大変申し訳ございませんでした。m(_ _)m
<前略>
映画のシーンでは、(現在はもう有楽町電気ビルがあるため見れなくなっていますが)
建設中の帝国ホテルが映っていたり、
それ以外では当時あったサントリーの看板の側面、
日劇の一部が窓から見える貴重な電飾看板など、
映画のチーフキャメラマンであった高羽さんの演出ともとれる
ちょっと見ではわからないですが、当時を知る方であれば思い出すであろう
有楽町の風景を映画の中に残されています。
私はこの映画の素晴らしさをより細かく未来に残したいと思い
あくまでも個人で動ける範囲の中で活動しております。
<中略>
映画とは無関係な方にとりましては全く意味の分からない内容で
誠に身勝手なお願いにも関わらず、とても真摯にご対応頂けてたこと
大変うれしく思います。
ただ、せめて発見があと1年早ければ・・・
その事がとても悔やまれます。
この度はご対応頂きまして誠にありがとうございました。
非常に残念ではありますが、上記のメールを持ちまして、
内側から撮影をするチャレンジは終了です。
三菱地所PRご担当者様、ご無理申し上げすみませんでした。
ご対応誠にありがとうございました。
この度も、長い長い内容にお付き合い頂き、ありがとうございました。
そして次回は、最後の決戦となります。
果たして進展はあるのでしょうか!乞うご期待!!
またしても続く・・・