満男のキセキ①

2021/10/30

「満男のキセキ①」

第42作「はつらいよ

ぼくの伯父さん

1989年(平成元年)12月27日公開




時代は昭和から平成に移り、寅さんシリーズも

満男が中心となり物語が進むようになる。

病気のため渥美さんの体力が続かない事も

満男へのスイッチの理由でもあった。



第1作で赤ちゃんとして登場した満男。

さくらや博と共にこのシリーズで成長を続けた長男は

遂にこの作品では浪人生となっている。


皆、歳をとるわけである。



少年から青年へと成長した満男であるが

その成長と共に思い悩むことも増えてくる。



自分を取り囲む環境の変化や様々な出来事、

そして大人としての恋の感情に違和感を感じ

誰にも相談できず、独り悩み迷い、苦しんでいた。



そんな折、寅がフッと柴又に帰ってくる。


川岸には源ちゃんが迎えに来ている。



私はこのシーンがとても好きだ。

流れる音楽もとても良い。

いつ観てもこのシーンでは涙腺が緩む。


この作品から寅との関係もグッと近づき

そして泉ちゃん(後藤久美子)も登場することもあり

50作「お帰り寅さん」に直接的につながる作品でもある。


登場の仕方もこれまでとは違い

頼れる伯父さん参上!といった感じ。


「満男、困ったことがあったらな、

風に向かって俺の名前を呼べ!」


50作でも流れた寅の言葉。


この言葉は、43作で電車に乗る間際に

満男に伝えた言葉である。



そしてその言葉には続きがある。

「伯父さん、どっからでも飛んできてやるから・・・じゃあな。」


絵空事のようなセリフであるが

寅が言うと何だか嘘の言葉に聞こえない。


寅さんに会いたい。。。

そんな想いに駆られる、不思議な言葉なのである。


そしてまた涙腺崩壊。

涙が止まらない。



***




さて今回は・・・




人生に迷う19歳の放浪者、満男に注目し

題して「満男のキセキ」を数回に分けて

お送りしたいと思う!




※ 今回もまたネタバレを多く含むため、

純粋に物語だけを楽しみたい、という方は

これ以降はご遠慮頂きたい。





それでは始めるとしよう。




物語の序盤が終り、「満男のキセキ」はこのシーンから始まる。

親不考・・・✖️

親不孝・・・〇


字が違う、と紙を剥がし、壁のポスターへ投げつける博。





誤字により、更なる怒りを買っているとは露知らず

満男は夜明け前の道路をバイクで走っている。



ここは今回 

新しく発見された場所 

である!




れまでも何度も探そうとしたが見当がつかず・・・

バイクで走る満男の後ろ、遠くに見える2本の煙突はどこなのか・・・

やっと見つかった!

あの煙突は久里浜にある

火力発電所の煙突だったのである!

出典:Google

この事実が判明したのは、髙羽さんの台本への書き込みから。



という事で、まだ現場には行けていないが

今回は間違いないと確信が持てたので

公表させて頂いた。





さて、話を戻しここまでの満男のキセキを考えてみよう。




この当時、諏訪家は東金町6丁目にあった。


高速を使わず下道をバイクで移動したとして3時間もあればこの場所に辿り着くことはできる。



夜明けのシーンなので

日出の時間を推測するために

これは何月の出来事なのかを考えてみた。

諏訪家のカレンダーでは15日(金)と

23日(土)くなっている。

アップ!

(画質が悪いことはご容赦ください。)

カレンダーは9月!

※参考:便利.com

赤字は祝日になるのでおそらく

9月15日(金)敬老の日  

9月23日(土)秋分の日

1989年9月のカレンダー)





また、とらやに貼ってあるポスターには

「お彼岸におはぎをどうぞ」の文字が!





その2つの事から寅次郎が柴又へ戻ってきたのは

1989年の9月と思われる。



余談だが、カレンダーを注視してみると

満男の部屋のカレンダーが微妙に違っていた。

9月15日(敬老の日)が土曜日になっている。

これでは1990年のカレンダーになってしまうのに・・・


小道具の露木さん、間違われました?





話を戻そう。



別ページ「満男の過ごした時間」で立証済み。満男は10月17日に家出をしている。

1989年の10月頃の日出は5時50分頃

という事は・・・


満男がこの海岸に着いたのはおそらく朝の6時位。



さくらと博が満男の家出に気が付いたのは21時50分頃だったが、

食卓には満男の夕飯が用意されていた。



という事は、満男は夕飯前に出掛けたことになる。

そして多分さくらと博が帰宅する前、

つまり夕方位には自宅を出発していたと考えられる。




仮に16時に家を出発したとしても朝の6時までは約14時間もある。


満男はこの14時間もの間、一体全体どこを彷徨って

いたのだろうか・・・



悩める満男はこの海岸で海を眺めていたのである。

***




そしてその後、満男は泉ちゃんが暮らす名古屋へと向かう。




映画の最初の方で、泉ちゃんからの手紙には住所があった。

「名古屋市中川区大橋2-17-3-203」



そこに満男は向かったとは思うが

その場所で泉ちゃんに会う事は出来なかった。

(ちなみにこの住所は実在しない・・・)



満男が訪ねたこの場所は、ナゴヤ球場そばで

新幹線の見える場所を探せば比較的直ぐに特定できる。


1988年日本シリーズ第1戦  ナゴヤ球場 (10月22日)スコアボード

西武 対 中日

見えていたビルはこちら。

満男が訪ねた場所。

出典:Google

※一般の場所なので無断で中には入れません。ご注意ください!

(場面変わって夜のシーン)



満男は(おそらく)管理人さんに聞いて

今度は泉ちゃんの母親が働くスナックへと向かうのであった。




しかし、この場面は映像のインサートのみで満男は映らない。

つまりこれは満男の想像?

撮影された場所はココ。

愛知県名古屋市中区18

(本重町通と伊勢町通の交差点付近)

「M1」という看板が確認できる。


※ この場所は寅友であるちびとらさんが

  数年前に発見。


そしてこの後、

なぜか満男は大船の繁華街へ行っていたのであった!

大船トリック!

目印は女性の後ろに見える

「INFORMATION 万屋・・・」

画面左に映る「・・・田歯科クリニック」の青い看板。

この場所はココ!

左に「石田歯科クリニック」の青い看板と

右には万屋のINFORMATION看板!

※出典:2010 Google


こちらも数年前に寅友のちびとらさんが発見された場所!

実際に名古屋の繁華街を探されたそうだが

名古屋にはこの風景を発見できず!


もしかしたら・・・で大船を探したところ

ビンゴだったわけである!


ここには後日あの吉川さんも行かれている!

というわけで、ここまでをまとめ!

(超個人的妄想による・・・)




満男は直ぐに泉ちゃんの家に向かったのではなく、

色々と彷徨った結果、横須賀の海岸へとたどり着く。

そして海を眺めていた満男は色々と考え

泉ちゃんに会いに行くことを決意したのだ!

何という事だ!

単純にここで休憩をしていただけとこれまで思っていたが全く違っていた!


ここは満男の静かなる決意の海岸だったのだ!


猛省だぁ~。

そしてこの横須賀の海から向かったのは名古屋。

でもそこで泉ちゃんには会えず。



仕方なく泉の母親の働くスナックへ向かったが

名古屋では会えず大船へと向かう。



名古屋⇔東京間を排気量の小さい250㏄のバイクで

行ったり来たりする満男。(かなり大変!)



まさにキセキ!



しかしそのキセキはこれで終わる事はなかったのである!

「満男のキセキ②」へ続く!


乞うご期待!!



おしまい。