開館10周年記念

2008/10/11

「開館10周年記念」  寅さん記念館

開館10周年記念

『寅さん記念館』 

 イベントリポート



これは昨年のイベントである。

その時のリポートを再アップ。



2007(平成19)年11月10日(土) AM11時より


葛飾柴又の『寅さん記念館』にて

10周年の記念イベントが開催された。


その日はあいにくの雨模様・・・

本来なら「寅さん記念館」光庭での予定が雨の為

無料休憩所での開催となった。

その時の山田洋次監督、倍賞さんのお話。





< 11時14分頃 >

司会者・・・えー、ここで当「寅さん記念館」の名誉会館長であり

「男はつらいよ」シリーズの監督でもあります山田洋次名誉館長と

「男はつらいよ」でさくらさん役に出演頂きました倍賞千恵子さまに

ご登場頂きます。皆様、拍手でお迎え下さい。


(拍手)


司会者・・・それでは山田監督より一言ご挨拶を頂きたいと思います。

どうぞ宜しくお願い致します。


(拍手)


山田監督・・・こんなに、雨の日なのにこんなに沢山・・・

あのーとっても嬉しいです。


十年ひと昔っていう言い方をしますけどね

あのーとうとうその10年が経ってしまったってことで

えー感慨に無量です。


えーあのー、ホントに、あの何度も何度もここに足を運んで下さった方は

沢山いるし


今日お見えになっていらっしゃる方も、いらっしゃらない方も

あのー心から感謝いたします。

皆さんのお陰でこうやってここまでやってこれたんです。


まー今、あの僕がコメントすることは

まーこれからの十年のことです。


えーあのー昭和30年代・・・20年代の終わりから30年代の僕が

学校で大学卒業するのが大体その頃ですけれど、

あの頃の記憶は鮮明ですが

あのー多分寅さんもその頃に思春期を過ごしたんであろうと思う・・・


あのーこのー今の寅さん会館のジオラマもその時代を再現したもの

なんですけどねぇ。


まー今の日本ってあの時代は特に知る人にとってとても懐かしい

非常に懐かしむって気分になれることが大きい、それが今の現代の

暮らしが色んな意味でこう行き詰まっている、っていうかな、

不透明な、先行き不透明ななってるせいってのもあるんだけれども、

もう一回あの時代を考え直してみようじゃないか


あのー、小さなお店が沢山あってそのお店がみんな生業が

ちゃんとなりたっているというか、

そのお客さんとの交流の中で子供たちが育っていくって言うか

そういう時代についてもう一回思いを生かしてみようじゃないかという・・・


そんな風なこう考え方を今とてもみんなしてるんじゃないか。


あのー吉岡君、あのー満男、寅さんの息子(?甥?)の満男が

活躍してる映画で

ALWAYS作品もなんかもつまり、大ヒットしたんですけれども

おそらくそういう思いをみんな強く持っていたからなんじゃないかと

思うんですけれども、そういう意味でこれからの10年・・・

あのーこの場所がこの寅さん会館があのーかつてこの町にあった良き

日々の事をもう一度想い起こせるような場所になるような、

そんなコンセプトを持ってやっぱりこうまたリニューアルしていかなければ

いけないなーってそんな意味でも、

あのーこの一層そのご協力お願いしたい・・・


10年目にあたって今しきりにそんなことを思っています。


どうぞみなさんこれからも寅さん会館(?記念館?)を

よろしくお願い致します。


そしていつまでも・・・寅さんのことを・・・みなさん覚えていてくださるよう、


そして寅さんを知らない世代には寅さんのことを語り継げる

そんな場であって欲しいと心から願っております。


今日はありがとうございました。


(拍手)



山田監督ありがとうございました。



< 11時20分頃 >

次に倍賞千恵子様よりご挨拶を頂きたいと思います。

倍賞さま、宜しくお願い致します。


(拍手)

倍賞さん・・・皆さん、こんにちは

何だかお久しぶりです。あのー寅さん会館ができた時、それから5年目、

そして今年は10年目・・・


えーお兄ちゃんがいなくなって11年目になるんですけれども

いなくなった当初は柴又の方に足を向けるのがとてもこう辛くて・・・

辛かったん・・・ですけれどもホントに心に大きな穴が開くというより

あちこちに自分の身体に穴が開いてしまって、

そこを風がスースースースー


いつも抜けているような気持ちになってたんですけれども・・・

段々5年目、今年で10年目をこう迎える・・・

その間に私色んな所に行って、あのー、えーお兄ちゃん・・・て言うか・・・

あの、渥美さんのことを公演でお話していくうちに段々段々自分のこう

穴ぼこが埋められてきたんですね。


で、それがこの10年目にきて・・・

さっき町中をこう見ながらふっと路地を見たら

「あっ!ここは入っていったら寅さんに会えるかな」って

自分がやっとそんな風に思えるようになりました。


そしてそこを先程入ってきましたら寅さんのね、

格好をしていた方の後姿を見たときに

ホント「ドキッ!」として、「あっお兄ちゃんいたんだ!」って

そんな風にこう思いました。


ですからこれからは、あのー10年目に限らずドンドンドンドンこの柴又

えー寅さん会館柴又の町に来ると色々な人に出会えるんだなって

えー私は今とてもあの自分が出ていた作品の「男はつらいよ」を通して

あのー学んだことを町の中にとても思っています。

こんな素敵な町なんだ、路地を入っていったら、ひょっとしたら

「さくら」さんに会えるかもしれないし・・・

「寅さんはきっとどこかにいるんだろう」っていつまでも私

そんな風に思っていたいと思います。


今日は本当にありがとうございました。



(拍手)



< 11時22分頃 >


ここで山田監督と倍賞さんに「寅さん、映画を沢山つくってくれてありがとう」

の感謝を込めて柴又で産まれ次の世代を担う柴又小学校3年○○君、

東柴又小学校3年○○さんより花束の贈呈をさせて頂きます。


お願い致します。


(花束贈呈)

(拍手)


ありがとうございました。


倍賞さん・・・「寅さん会館と一緒ね」


(会場笑)



< 11時24分頃 >


えーっとこの場をお借り致しまして、山田監督と倍賞さんに

ファンの皆様からチョットづつ預かってる質問を

ぶつけさせて頂きたいと思います。


よろしくお願い致します。


えー先ずは山田監督から


作品の中に登場するマドンナですが

監督はどのようにして選ばれたのですか

やはりご自身の好みもあったのでしょうか。


(会場笑)


山田監督・・・あー難しい質問ですね・・・。

あのー・・・全然・・・あのー無い・・・とは言えないでしょうね。

というのはやはりあのー、その俳優さんを好きにならないと・・・あのー

なんて言うのかな映画全体が楽しくならないし、

また魅力的には描けないわけだから、

あー素敵だなこの人素晴らしいな綺麗だなと


要するに監督が思っていないといけない・・・

監督だけでなくてスタッフ皆が、あー素敵だなと思いながら

撮影しなきゃいけない

そうするとまた、そういう思いってのは、あのーこう俳優さんというのは

ものすごく分かる、何も言わなくてもびんびん響くように分かるから


今度はまたその女優さんもまた綺麗になっていく・・・


あのーそういう意味では、あのー僕の好みも含めて素敵な人をいつも

マドンナに選んでね・・・えへへへう、ふふふ



司会者・・・はい、ありがとうございました。



山田監督・・・あのーそうそう・・・

後ろの方にあのー、一番新しい「母べえ」のスチールが並んで

いますが

あの吉永小百合さんも、えー30年・・・うふふ・・・

前のマドンナとしてね・・・うーん。


司会者・・・ありがとうございます。


では、あのー、お2人にちょっと質問させて頂きます。

えー寅さんが、旅をするときに鞄に常に入れていた品が

あるんですけれども

あのーロケ地にいくにあたって、お2人が必ず持っいった物、

またはこう大切にしていたものというのは何かあるんでしょうか。



山田監督・・・お2人?あ、仕事で?



司会者・・・必需品みたいなモノはあるんでしょうか?



山田監督・・・うーん・・・そう・・・?



司会者・・・あのー映画の中ででも良いんですけれども

例えば長いロケ地に行くにあたって、あのーこれだけは

絶対持っていきたい!とか

持っていかないと私は困るの、というような物があったら

知りたいっていう・・・

おっしゃっているんですけれども・・・

寅さんですと鞄の中に色んな小道具というか

物を持ってるんですけども・・・



山田監督・・・長いロケだと寅さんと同じような物・・・洗面道具だとかね

あのー時刻表だとか・・・まー何たってまず台本を忘れちゃいけない!


(会場笑)


これ忘れるようじゃー、うーん、監督としても・・・

やはり女優さんとしてもダメですよねー。

あとは・・・何とかまあー、なるんじゃないのかなぁー。


司会者・・・わかりました。

倍賞さんの方もじゃぁ・・・



倍賞さん・・・そうですねー、大体何でもありますからねー。

私もさっき「あっ!台本かな」って思いましたけど・・・はい。


司会者・・・ありがとうございます。

えーっとそうしますと倍賞千恵子さんにお伺いします。

えー娘役から、あのー寅さん映画を通して、娘役から母親役まで

演じられてきましたが、ご苦労された点、

例えば娘役から母親になる心境的なものそういうものを

お聞かせ頂きたいということと、また作品の中で満男君は

どのように育って欲しいと思われたか

例えばお兄さんのような旅の風来坊になって欲しいとか・・・

倍賞さん・・・えーっと丁度寅さんの台本を頂いた時に、

「あーこんな人たちが住んでいる町に行きたいなー」っていう

台本だったっていう記憶があって、それで・・・

山田監督・・・(第一作ですね)


倍賞さん・・・あー1作目の・・・はい


その時に丁度私の姉が子供が生まれるのでお腹が大きかったので

えー、さくらさんが子供が生まれる頃というのはいつも姉を観察して

こう・・・いたんですね。


ですからその・・・あのさくらさんの中には姉が随分入っている・・・ん

ですね。

姉のこう赤ちゃんの抱き方とか育て方とか、あのー乳をあげるとか

そういうことが全部あのーいつも姉を見てやっておりましたんで

あのー、節子・・・うちの姉は節子っていうんですけれども

節子姉ちゃんの色んなことが役の中に入っている・・・

かなって思っています。


いつも誰かをこう見てそれをお手本にしながらこう考えるんです

けれども、さくらさんのときは特にそうでした。


えーそれから満男君は・・・満男は、まー最近もよく会うんですね、

作品が終わってからも・・・あの、何て言うんだろう・・・

とてもこう頼もしくなって、あのー寅さんのようにやっぱり色んなふうに

人への思いやりとか愛を分かる人間に育って欲しいなーと思っては

いたんですけども


今とってもそういうあのー、俳優さんであり人間に彼はなっているなって


とても素敵な、あの、人間になっているなーって、思って、います。




山田監督・・・でも映画の上では全くあの通りになっちゃー困ると

思ったでしょ。



(会場笑)



倍賞さん・・・勿論まーそれはそうなんですけどね、


あのー全くお兄ちゃんと一緒じゃ困るんだけど、あのー、

そう・・・でも違った意味ですごい良いかなーって

今そう思ったんですけど(笑)


でも、あの、スゴイ幸せだと思うんですよね、寅さんみたいな

あのー生き方って、こう、今の世の中ね、ストレスがたまっててって

ことが多いんですけども寅さんは多分ストレスがたまらない人

だったのかなって。




山田監督・・・まあねー、あのー、あのー、そう・・・とってもねー

吉岡君は良い俳優になったよね。


でー、それというのもね、あのー、

素晴らしい!彼は師匠についていたからだと思いますよ。


あのー渥美清と倍賞千恵子というほんとにね最高の師匠に

ずーっと長い間ついて


そのー、学んだ・・・


こんなねー、体験を持っている俳優は他に、あのー、

彼の世代にいない


だから、勿論彼の素質も・・・なんだけれども・・・まーなんか

理想的な育ち方をして彼は幸運だったなっていう風に思います。


また仕事の選び方も慎重だねー、彼は。


ねーなかなか仕事したがらない。


(会場大笑)


それは渥美さんに似てっかもしれないね。



司会者・・・ありがとうございました。

お2人の人柄がすごくよく分かるインタビューをさせて頂きました。

ありがとうございました。

みなさま今一度大きな拍手をお願い致します。


(拍手)





< 11時30分頃 >

司会者・・・引き続き準備が整い次第、報道関係者の皆さまには

えー取材の時間とさせて頂きたいと思いますので、

もうしばらくこのままお待ち下さい。


えーみなさま本日は葛飾柴又10周年記念式典に御参加頂きまして

誠にありがとうございました。


以上を持ちまして式典を終了させて頂きます。



当日の帝釈天参道の様子。

参道の「高木屋老舗」さんに山田監督は帰り掛けに寄られたとのこと。

今回のイベントに参加された寅さんのそっくりさん。

左はボランティアで有名な野口さん。