またしても神奈川!

2019/2/12

「またしても神奈川!」  男はつらいよ

第34作「寅次郎真実一路」

1984(昭和59)年12月28日公開

マドンナ:大原麗子(富永ふじ子)




今回もまた新発見である。


今回の情報も映画の撮影についてのネタバレになるため

ストーリーを純粋に楽しまれたい方はご遠慮ください。




作品最後の方でのシーン。

とらやへ電話してさくらに「常磐線の土浦駅」にいる事を伝える寅。


冷たい夜風の吹く駅前

電話を終えた寅が寂しく駅の方へと歩いて行くこのシーン。


看板には「初詣では筑波神社へ」とある。

電話でも「土浦駅」と言っていたので

純粋にこの場所は「土浦駅」と思っていた。



ところが、ところがである!

つい最近になって「覚え書きノート」の吉川孝昭さんより

このシーンは「土浦駅」ではない可能性がある!

というご連絡を頂いたのである!



またまたそんなわけ・・・

と、多少疑いながらもう一度シーンをよく見てみる。


すると確かに「土浦駅」という物証はどこにも映っていない。



では実際の土浦駅はどんな感じなのか?

Google で確認してみた。


すると東口も

西口も

映画のシーンとは全く違う。

ただ映画撮影の頃より35年も経過しているため

駅前開発で景色が変わったのでは?と思い

昔の駅風景もネットで確認したみたが

やっぱり違う。


という事は…

いつものパターン!

土浦駅に見せかけて大船撮影所近くの駅で撮影?!



映画撮影ではよくある手法なので

特別驚く事ではないのだが

ショックだったのはこのことに今まで気が付けなかった事。


改めてシーンを細かくチェックしてみよう。

このシーンでヒントとなる部分を探してみる。


場面の右側の交番は何となく文字が読めそうだが

いまひとつハッキリしない。

左側の初詣での看板もいまひとつ。


中々ヒントが見つからないため今回注目したのが左奥に映るバス。

バスの会社がわかれば少なくとも何県かはわかるはず。


ちなみに土浦駅に乗り入れているのは関東鉄道バス。

バスのカラーリングはまるで違う。


映画に映るバスは黄色地に赤っぽいラインが

入っているように見える。


これまでのパターンで行けば

大船撮影所の近くである可能性は高いので

「大船」「バス」で画像検索してみた。


するとこんなバスを発見。

う~ん・・・似ている。

でもライト上の斜めのオレンジラインが少し違う。

赤枠内にオレンジ色があるかないかも違う。


で、次に見つけた写真がこちら。

おっ!?

注目したのはバスの前面についているゼッケン。

これは…

このゼッケン!

神奈川県バス協会!


やはりこの駅は神奈川県!


そして更に更に検索していくと…

見つけた!

もう間違いなくこのバス!!


このバスは神奈川中央交通のバス。



ここまでわかってくればあとは大船周辺の駅調査するだけ。




そして遂に発見!

寅が「土浦駅」と言っていた

このシーンの

本当の駅は…




神奈川県横浜市戸塚区品濃町にある

東戸塚駅東口


恐らくは諸事情でこの場所を「土浦駅」という

設定で撮影をしたと思われるが

ここはあえてその事を踏まえながら

映画のストーリーに沿って想像をしてみた。



電話でさくらに「常磐線の土浦駅」と言った寅。

しかし真実は「東戸塚駅」であった。


なぜ寅は「東戸塚駅」にいたのか。

それは寅がこれから西に向かう際に

この「東戸塚駅」に何かしらの用事が

あったのではないだろうか。


ではなぜ「土浦駅」?

寅が向かった先は「牛久」。

そこから北上した「土浦駅」にいるという事で

柴又には帰らないでこのまま旅に出る決意を

さくらに伝えたかったのではないだろうか。


「初詣では筑波神社」の看板は

この戸塚あたりからのバスツアーは

実際にあるようなので

小道具でなく本当にあったのかもしれない。

ここが「東戸塚駅」であるということを知り

改めてこのシーンをしっかりと観てみると

そんなウソまでついて旅立っていく寅の後姿からは

より深い寂しさが伝わってくるようで

これまでより一層胸が苦しくなり、目頭が熱くなってくる。

「男ってつれぇもんだよなぁ~」




最後に…



今回の発見を吉川さんにお伝えしたところ

早速現場のお写真を送ってくださった。


吉川さんの息子さんが

とてもお忙しい中

1時間半も掛け撮影してくださった貴重な一枚である!


それがこちら!

高さと言い角度と言い

見事な高羽アングルである!

何よりバスが良い!!

映画と同じである。


これは時間掛かりますよ~。

ここまで拘って頂けてたことは本当に

感謝感激!!


誠にありがとうございました!



おしまい。