美容室発見への道!
第22作「男はつらいよ 噂の寅次郎」
1978年公開
今回もネタバレ的な内容となります。
純粋に映画のストーリーを楽しみたい本編派の方は、これ以降の内容につきましてはご遠慮ください。
早苗さんが行った美容室発見への道!〜①〜
第22作の静岡ロケ地を巡ったのが2016年。
いつが最初のアタックだったかは失念してしまったが、少なくとも静岡ロケ地巡りとは同じ時期に一度は考えたと思われるので早苗さんの美容室ロケ地は2016年がファーストアタックだったと思われる。
それでは映画のシーンからどうぞ。
京成立石駅の階段を早苗(大原麗子さん)が降りてくる。
離婚協議中の早苗さんが身を寄せている友人宅に帰宅するシーン。
友人の友子役は宗田千恵子さん。
早苗:ただいま。
友子:おかえり。
この約14秒のシーン。
マドンナの大原麗子さんと挨拶程度ではあるが、お相手の女優さんとのやり取りもあるこのシーン。
このロケ地を解明するために、私と寅仲間たちはかなりの長い時間を費やし捜索をした。
このシーンのロケ地を探すために、私的には画面の中の特定の部分に注目して探していた。
赤枠・・・美容室 電飾看板
黄枠・・・ナショナル電飾看板
青枠・・・信号のある交差点
緑枠・・・大勢の人が集まるような場所
道路の街灯が結構多めにしっかりと点いているので、商店街の可能性も高い。
十字路交差点にしては左側奥の建物が大きく右に出過ぎている感じがしたので、どちらかというとY路地に近い交差点なのではないかと考えた。
撮影場所ではないかとまず考えたのは京成立石駅からの流れ。
早苗さんは、京成立石駅の北1から降りていた。
なんと!その北1も2023年10月には閉鎖されたようです。
また一つ時代は変わりました。
早苗さんは駅の階段を降りてから北方向へと歩いていった。
と言うわけで、最初に探したのは京成立石駅の北側周辺(赤色地域)
信号機は余程のことがない限り移動がしないと考え、とにかく信号機のある交差点を手当たり次第に探し回った。
しかし、見つけられず・・・。
ならばと美容室とパナショップを探してみた。
(1978年当時は「ナショナル」であったが、現在は「パナソニック」)
しかし、やっぱり見つけられず・・・。
こうしてファーストアタックは見事に木っ端微塵に砕け散ったのであった。
早苗さんが行った美容室発見への道!〜②〜
ファーストアタックから数年、私は国会図書館で他のことを調べるついでに京成立石駅周辺のナショナルショップと美容室を1978年の職業別電話帳で探し続けていた。件数にするとかなりあったが、それでも諦めずに一つ一つ丹念にGoogleで確認を地道に続けていた。
2021年10月初め、このモヤモヤを打開するには最後の手段、高羽さんの台本で確認するしかない!と思い、一人会津へと行くことを決意するのであった。
ただ、台本に書かれているという保証はどこにも無い。行っても無駄になるかもしれない。でもそれでも構わない、何もしない状態ではいられない!それ程までに追い込まれていたのである。
そのお話をしたところ、吉川さん、ちびとらさんもご同行いただけることに!
その時のことは別ページ「湯川たから館 高羽哲夫の軌跡」をご覧ください。
そして見つけた書き込みがこちら!
東立石!?
わざわざ付箋で書き込まれた「東立石」の文字!
てっきり北側周辺と思い探していたが、実は南側に広がる「東立石」だったのだ!(青色部分)
このことから今度は東立石周辺を調査!
今度こそ発見できると信じ、懸命に捜索したのだったが・・・
吉川さんは現地立石へ聞き込み取材。
ちびとらさんは立石にいらっしゃるお知り合いの方に聞き込み。
寅福はいつもの国会図書館にて電話帳検索。
だが、見つけられず・・・・。
一体全体どう言うことなのだろう・・・
深い深い迷宮入りの予感がした。
絶望しか私たちにはなかった。
早苗さんが行った美容室発見への道!〜③〜
そんな折2021年10月20日、何気なくGoogleで「パナショップ・鎌倉」で検索してみた。
(この頃は「困ったら大船周辺!」が合言葉になるくらい不明ロケ地が大船周辺で見つかっていたのでこのキーワード検索となった。)
すると、候補画像でこんな↓画面を見つけた。
あ!Y字路の交差点!そして右側にパナショップ!!
早速ストリートビューで確認!
比較してみた。
美容室は無いが、右側に何か建物があったような空き地がある。
電柱が似ている。
信号のある交差点。
停止線もある。
そして何よりも右側にパナソニック(ナショナル)ショップがある!!!!
かなり全体的な雰囲気が似ている!!
この場所をGoogleで見つけたときは、絶対にここだ!と信じて疑わなかった!
この捜索にようやくピリオドが打てると思った!
約5年間の苦労の末の発見と安堵した。
あとは現地に行って証言を得られれば完了となるはずだった・・・。
その報告を寅友である吉川さんに報告したところ、2021年はまだまだコロナ禍だったため直接行くのは難しいという判断から、まずは吉川さんがパナソニックのお店へ確認のお電話をしていただける事となった。
その結果・・・
① 昔からこの場所でパナショップのお店を営まれていた。・・・⭕️
② 隣に美容室があったことは無い。・・・❌
③ 「男はつらいよ」の映画撮影があった話は聞いたことがない。・・・❌
④大原麗子さんがこの場所に来たという話や噂も聞いたことがない。・・・❌
1勝3敗・・・
期待外れの結果となった。
それでも諦めきれず、今度は当時の住宅地図を確認することになった。
図書館もコロナ禍では入館の規制が厳しくどうしたものかと思案していたところ郵送にて送ってもらうこともできるというご助言を吉川さんより頂き、鎌倉図書館に住宅地図のコピーを電話でお願いして郵送にて送っていただけるよう依頼をしたのであった。
そして数日後、その住宅地図のコピーが自宅に届いた。
緊張しながらコピーを確認すると・・・
やはり美容室は無い!
それでもそれでも諦めきれず、画面の中での決定的な物証を再度探してみた。
すると・・・
物証を見つけるどころか、逆に信号機の後ろにある大きめの建物(ピンク囲み)が見当たらない!
でもこれだけの大きな建物なので、現在は無くなっていても当時の航空写真にはきっと写っているはず、と思い航空写真を確認したのだが・・・
やはり無い!!
本当にこの場所が正しければ、こちらが探さなくても物証はどんどん見つかるのが普通。
でも物証が出てこないと言うことは・・・この場所ではないのだ!
ここでは無いことが決定的となった・・・。
地元の方の証言も無く、確たる物証も無く、あるのは状況証拠のみ・・・。
かなり期待が高かったため、ここでないという現実がなかなか受け入れられず
茫然自失の状態になってしまったのであった・・・・。
早苗さんが行った美容室発見への道!〜完結〜
そしてまたまた時は流れ・・・
運命の2023年8月11日朝8時をむかえる。
それは突然、何の前触れもなく寅友である吉川さんからLINEでコメントが届く。
「寅福さん、見つかりました。」
こんなに朝早くに吉川さんからコメントが届くのは珍しい。一体どうしたのだろう?
何か重要なことに違いない!ま、まさか!!直感的に察知した!
「え?」
「(早苗さんの)美容室?」
「そう」
何という唐突な・・・
しかもこんな朝早くになぜ??
そして一番は、こんなにも歴史的な発見なのになぜそんなにも冷静なのか?
色々な疑問が頭の中を駆け巡る。
お話を聞いてみると、発見はあまりにも唐突であっけないものだったというのだ。
まとめるとこういうことになる。
吉川さんは個人的にご興味を持たれている柴又に古くからある建物について
時間のある時は日常的に考察をされているそうなのだが、
前の晩の夜遅くに、いつものように考察をされていたところ
偶然この場所を発見されたそうだ。
ただご本人的には日常的にこの場所へは行かれていたようで、これまで長い間方々を探し見つけられなかったこのロケ地が、普段暮らしているこんな身近なところにあった事を、なぜ今まで気付けなかったのか!ということをとても悔やまれていた。
”クリスマス前夜,チルチルとミチルの兄妹は,幸せの使いである青い鳥を求め,妖精に導かれて思い出の国,幸福の園,未来の国などをめぐるが,どこにも見つからず,目がさめてみると,枕元の鳥かごに青い鳥がいた。幸福は身近にあることを寓意した幻想的な童話「青い鳥」” の物語そのままのような出来事である。
ご興味を持たれていた建物をストリービューのタイムマシン機能を使い、以前の古い写真を見ていたという。
そして何気に向きを逆方向に変えてみたところ・・・交差点の角にあるパナソニックのお店に気づかれた・・・
あー、そういえばパナソニックのお店、探してたなー、と思いながらその交差点での写真を
更に向きを変え見ていたところ、衝撃的な建物を見つけられたのだ!
それがこちら!
パナソニックのお店にはそれほど反応はできなかったが、こちらの建物には瞬間的に反応されたようだ。
吉川さんも前回の寅福と同様にこの建物を探しまくり、そして見つけられず苦しんだのだ。この特徴的な建物を忘れることなど出来はしない。
早苗さんの後ろに映っていた特徴的な建物・・・
もうここからは一気に事が進んだ。
正しいロケ地であれば、こちらが探さなくても物証の方が自己主張してくるのだ!
ここから先の詳細は、吉川さんのサイトをご覧ください!
↓画像クリックでジャンプ!
映画のシーンに近いアングルでのストリートビュー画像がこちら。
もう見るもの全てが物証!こういうことなのである!
そして、この場所は神奈川ではなく、柴又だったのである!
もう色々と目から鱗・・・
よくよく考えてみればその通りなのかもしれない。
当時忙しかった大原麗子さんのスケジュールをそんなに色々と抑えるのは難しいはず。
であれば柴又周辺でのロケが必然的に増える。
ただやっぱりあの「東立石」の付箋があったことが、この場所の発見をより難しいものにしたことは否めない。
そしてもう一点。
もう猛省でしかない・・・
自身の驕りから調査していなかったことがある。
それは建物にあった落書きとポストの中の表札。
これを検索していなかった・・・
ポストには「三和(サンワ)」とある。
ちなみに壁にチョークで書かれている「中村」という文字は、子供の頃の娘さんが書かれたそうだ。
「美容室 三和」で検索すれば一発だったのだ!
ここまでが2023年8月のことである。
寅福的終着点
長々と前置き書きましたが、寅福もようやく2023年11月にこちらのロケ地に行くことができました。
長かった・・・
本当に長い発見までの道のりだった・・・
途中、もう発見は無理だと思っていた。
でもようやく辿り着けたのだ!この場所に!
それではどうぞご覧ください!
現在の風景がこちら↓!!!
いかがでしょうか。寅福的には万感の思いです!(T ^ T)
そしてこちらも↓
今回の発見に繋がった一番の立役者?「葛飾柴又一郵便局」
感謝である。
現在はパナショップは無くなっている。右に見えているのが「三和美容室」さん。
まだ照明が点く前の「三和美容室」さん。早めに到着し、時間調整をしていたタイミングでの撮影。
そして遂にその時は来た!!
映画のシーンを意識しての撮影。そして比較!
お店の側面にあった窓は、現在は小さくなっているがその名残はある。
もう感無量!
この作品の撮影時期に合わせ、11月に訪問。そして時間も合わせ夕暮れのタイミングでピンポイント撮影。
私が撮影した時は木枯らしも吹いていてとても寒い日だった。
そしてよくよく見ると映画でも木の葉が舞い落ちていた。
おそらく木枯らしが吹いているという映画的な演出だっと思われる。
長い長い宿題を、私もようやくやり終えた感じである。
吉川さん、今回の発見に感謝申し上げます。
そしてこの度もご同行、ありがとうございました!
撮影:吉川孝昭さん。
おしまい。