津和野へ!前編
第13作「男はつらいよ 寅次郎恋やつれ」1974年8月3日公開
2022年10月15日記載
2022年6月、第13作の舞台となった小京都「津和野」へ行ってきました。ここは歌子ちゃんの結婚相手、正圀さんの実家のある場所。
この場所も長年行きたいと思っていた場所です。そのレポートを今回もまた高羽アングルでお届けします。どうぞお楽しみください。
津和野前、寅の日常(大日霊神社までの道のり)
温泉津(ゆのつ)での絹代さん騒動のあと、傷心の寅次郎は、翌日早朝にさくらへ手紙を書き置き、ひとり旅立つのであった。
現在は江津(ごうつ)東ウインドファーム風力発電所の風車が11基設置されている。(2022年11月撮影)
温泉津を出た傷心の寅は、浅利海水浴場を歩いている。そしてなぜか次のシーンで温泉津方面の石見福光海岸へと戻るように移動している。
寅の歩く方向は石見福光海岸方向であることが映像でも確認できる。
予告編ではSLに乗る寅の姿がある。
表情は明らかに暗い。温泉津での出来事の後のシーンに見える。
総合して考えると、温泉津を出た寅次郎は、SLに乗ったが何か用事を思い出したのか途中で下車し、石見福光海岸へ戻ったと思われる。
石見福光海岸は風による波紋と、キラキラ光る砂がとてもきれいな海岸だった。
ここ石見福光海岸は、傷心の寅次郎の気持ちを癒すために必要な場所だったのかもしれない。
ここを後にする寅次郎の姿は、幾分いつもの日常を取り戻しているかのように見える。
寅次郎の歩く道の先とは反対方向に最寄り駅の山陰本線「石見福光駅」がある。 では、寅次郎は何処に向かったのだろうか・・・。
方向からして寅が向かったのは、徒歩で50分程度の「黒松駅」なのではないだろうか。
そこから列車に乗った寅次郎は、大日霊(おおひるめ)神社の最寄り駅、14駅先の「鎌手駅」へと直接向かったか、もしくは大日霊神社のある益田市の親分さんに挨拶するため一度「益田駅」に行ってから、その後に大日霊神社へ向かったか、のどちらかではないだろうか。
そんな想像をしてみると、映画ではでてきていない、寅次郎の余白の部分を楽しむ事ができる。
そんな面倒なことする?何のために?と思われるかもしれないが、これが寅次郎の日常なのではないだろうか。
目的地までしっかり予定をたてて、効率的に最短のルートで寅次郎が行くとは思えない。
寅次郎は正に「風の向くまま、気の向くまま」なのである。
大日霊(おおひるめ)神社での寅のバイ
今回の寅次郎のバイネタは傘である。山陰地方といえば和傘的なところからのバイネタなのだろうか。
実際の大日霊神社本殿
こうして全体を写すと、寅次郎のいた場所や位置関係がよくわかる。
約48年前、間違いなくこの場所で寅次郎はバイをしていたのだ。
演目は浜田の石見神楽と思われる。大蛇(オロチ)が見える。
窓のフレーム(アルミ)は、以前は無かったのでは?多分建物自体は当時と同じと思われる。
大日霊神社から見えていた景色は北東方向。
映画に映っていた家屋で、現在も同じ家屋があった。
※ピンクと緑の目印
48年経過し、周りの草木が成長したため映画の頃のような眺望を、今はもう見ることができなくなっている。
階段は急勾配で段数もそれなりにある。全体的にはコンパクトな印象。
このカットは現在の「ゆうひライン道路」からでは高さが足りない。
それと青い屋根が映っている(道路拡張前はこの場所に家があった)ので、恐らくは道路脇の坂道を上る途中付近から撮影したものと思われる。
手すりのついた坂の途中辺りから撮影されたようだ。
夕焼けの日大霊(おおひるめ)神社
翌日、昼間にもう一度撮影。
木々の成長によりすっぽりと包まれた大日霊神社。当時は松の木が多かったようだ。
安富橋を行く寅次郎
本当はもっと下からのアングルだが、下に降りるのは危険なため、この位置からで撮影。
安富橋を渡って、寅次郎はここから出てきたのだ。
中々の高さで、高所恐怖症の寅福では渡りきる事は不可能・・・
寅次郎から見たカメラ位置。本当は下の石積みの場所がカメラ位置。無理は禁物。
寅次郎のいた場所から下流方向を望む。 この風景を寅次郎は見ていたのだ。
温泉津から津和野まで寅次郎が進んだルート
ちなみに予告編ではこんなSLのシーンがある。
ここは「道の駅 ゆうひパーク三隅」
山陰の小京都 「津和野」へ!
津和野への導入
津和野導入の俯瞰シーン。
ここは津和野城の出丸(織部丸)からの撮影と判明。2017年、寅さん仲間の吉川さんが訪れ世界初登頂に成功している。
高羽アングルでの撮影をHPでご紹介されている。
という事で、寅福もリフトに乗ってみた。
当然のことながら往復券を購入。700円也。できればお釣りのないように。
リフトの上りは全く怖くないんだけど・・・帰りの下りが超絶怖かった(;^_^A
到着したらすぐに左へ進む。
緩やかに続く上りの道。体力不足の寅福はかなりの疲労感。
左側を上がると「出丸」である。
結構な勾配を上がって行く。正直かなりきつい。山田組も重い機材を持って上がって行ったのだと思うと非常に感慨深い気持ちになった。
見えてきた!あの俯瞰!!
ちょっと木が邪魔なので、もう少し左へ移動してみた。
そして2022年11月、ついに寅福も俯瞰の撮影に成功!この日はあいにくの雨だったが、この一瞬だけ晴れ間が出た奇跡の1枚なのである。
このプレートの先より撮影。寅福は高所恐怖症のため、かなり動揺してしまった・・・。
津和野の街並み
画面中央より少し右に映る尖った屋根は津和野カトリック教会である。
カメラ位置は恐らくここ。(黄色矢印) 旅館 幸楽の屋上。
わかりやすい様に航空写真をカメラと同じ方角にしてみた。(南北逆)
もしこちらの旅館の屋上に行けたらならきっと同じ風景が見えるだろう。