小雨の撮影
2009/2/17
「第1作:小雨の撮影」
第1作、
何度も観ている作品のはずなのに今回初めて気がついたことが・・・
作品冒頭で寅が纏を回し威勢良く題経寺境内に入って行くシーン。
この場面、よく見ると小雨が降っている!!
▼白い線に見えるのが雨
境内の観衆もよく見ると傘を持っていたりレインコートを着たりと
決して天気が良かったとは思えない状況がうかがえる。
▼屋根等雨に濡れている
▼観衆の洋服にも濡れた後が
今回発売になったHDリマスターでははっきりと雨が見る。
実際に小雨が降っていたのだ。
撮影本番ではエキストラの皆さんに傘を閉じてとアナウンスが
あったかもしれないという想像もできる。
テレビ放送終了が昭和44年3月27日、
そして第1作映画の上映は同年8月27日。
実際映画自体は6月ごろには出来上がっていたようなので
約3ヶ月で撮影完了していたということを考えると
かなり余裕の無い撮影だったと想像できるが、
天気を待つ余裕も当然なかったという所なのだろうか。
しかし、そんなマイナス状況を感じさせないのは
オープニングでの完成された映像が非常に効果的に働いて
いるからなのだと思う。
天気良く、青空広がる江戸川沿いの映像。
何とも清々しい寅さんと同じ気分のまま
映画本編に私の気持ちも入っていくからだ。
このシーンがあったからこそ、今回気がついた部分は
今まで気にならなかったのかもしれない。
と、いうことで1969年の庚申の日を調べてみた。
2/14(金)、4/15(火)、6/14(土)、8/13(水)、10/12(日)、12/11(木)。
と言う事は4/15あたりに撮影があったのでは?
そう思って過去の天気を調べてみると何と!
4/16は天候は雨!!
▼東京
柴又は千葉よりなので千葉も調べてみた。
▼千葉
間違いないと思う。
撮影は1969年4月16日!
そして物語上では寅の20年ぶりに帰郷した日付は
1969年4月15日!なのである!!
全くの推測話だが
本当の庚申の日は混雑のため撮影許可はおりず
翌日なら何とかOKと帝釈天より許可がおりたので
この日に撮影してしまわなければならなかったのでは?
撮影のクオリティを考えるとどうも個人的に
疑問が残っていたこのシーン、
これはきっとカメラアングルから考えると
雨で濡れたための「ぼやけ」と思われる。
寅のこの表情、
今まで汗をかいての表情と思っていたが
雨にも濡れていたと思われる。
彰(あきら)さんより頂いたお話で
まだ映画の撮影許可が会社から出ていない頃
山田監督が高羽さんと水元公園に「桜」を撮りに行ったという。
3月27日(木)に最終話が放送され、
翌日(金)に大変な騒動だったとフジテレビから山田監督が聞かされて
日曜日を挟んで3月31日月曜日に松竹上層部に掛け合い
その直後4月1日(火)~の辺りで急いで水元公園に行ったのでは。
そしてこのシーンも・・・
この冒頭の「庚申の日」祭りシーンも本当に偶然だったのかもしれない。
全てがその後の壮大な48作の始まりであった・・・
そのひとつでも欠けていたら、何もなかったかもしれない。
ただ漠然と考えるより
こうして実際の日を追ってその歴史を想像してみると
何ともいえない臨場感が溢れてくる。
第1作、作品冒頭からまたまた新しい発見。
どれだけ奥の深い映画なのだろうか。
その懐の深さにただただ驚くばかり。
すごい!