20260114
馬鹿女郎。
起きて荷物をまとめて家を出る。馬鹿野郎。
車に乗ってZAZEN BOYS の『永遠少女』を流しながら空港へ。馬鹿野郎。
空港でバイト先用のお土産を買う。馬鹿野郎。
飛行機に搭乗する。離陸する。本当はリンゴジュースが飲みたいけれど恥ずかしくてお茶にする。着陸する。馬鹿野郎。
電車に乗る。ここで気づく。バイト先の制服を実家に忘れた。スーツと一緒にクリーニングに出そうかなと持って帰っていたのだ。うわぁ。ばかぁ。この、、。バイト先の制服を実家に持って帰るって変じゃんそもそも。どうしてこうなるかな。
そんな感じで萎えながら電車に揺られる。穂村弘の『彗星交叉点』を読みながら。馬鹿野郎。あれ?
電車を降りる。キャリーケースとお土産の紙袋、リュック。まさに帰ってきましたという表情でエスカレーターを登りきる。馬鹿野郎。ん、、?
バスに乗り込んで1週間ぶりのこの街を眺める。日はもう沈みかけている。降車ボタンを押して立っている人を避けながら進みバスを降りる。ここで気づく。ここで気づく!私は実家に忘れてしまった。家の鍵を。ポケットやリュックの中を探すこともなく、それを確信する。あぁあそこに置いてたなぁ。ついでに腕時計も一緒に置いたなぁ。腕時計も忘れてるなぁ。家に入れないなぁ。困ったなぁ。不動産屋の24時間のサポートセンター的なものに電話をかける。今日は定休日なので、鍵の貸し出しなどの対応はできたとしても明日以降になる、鍵の業者を呼ぶこともできるが、自分の身分を証明できるものでこちらの住所が記載されているものがなければ警察に立ち会ってもらわないと開けられない、と言っている。つまり、なんだ。とりあえず今日中はむずいのか。警察とか怖いし。鍵の業者だって絶対お金たくさん取られる。せっかくのお年玉がね。
ではどうすればいいのだろう。親に連絡をする。たしかに私が記憶していた場所に鍵と腕時計があった。大不幸中の小幸いでお年玉を持っているためお金が尽きて死、というルートはなさそうだけれど。カラオケか?とりあえずどうにかします、と告げて電話を切る。すぐさままた親から着信。「Rちゃんの家に泊めて貰えるか頼んでみたら?」と。Rちゃんとは私の中高時代の同級生。あのRちゃんではない。成人式でほんの数日前にも会っていた。まず、私に大学で「助けて」と言える友人がいないことが問題なのだが、だからといって今から友達を作ろうとしたところで意味はない。私にとっての最寄りの子ども110番の家がRちゃんの1人暮らしのアパートなのだ。
Rちゃんに電話を掛ける。なんだか優しい。すんなりOKしてくれた。やはり同窓会やその後のカラオケなどを経て、今はみんな「やっぱりあの頃の仲間達が大好きだなぁ」と感傷的になっているのだ。再びバスと電車に乗って隣の県のRちゃん宅へ。途中、電車は退勤ラッシュでぎゅうぎゅう。乗り間違えたりもした。なんて日だ。なんとか最寄駅に着いてRちゃんと会う。謝りながらまずはご飯を食べにいく。ガスト。唐揚げとエビフライの定食を食べた。スープが美味しかった。Rちゃんはなんか食べてた。スープが美味しいと言っていた。コンビニで飲み物と歯ブラシとお菓子を買ってアパートへ。10ヶ月ほどぶりのその部屋。まだ新築の匂いがした。Rちゃん自体が新築の匂いを放っているのかもしれない。私が家を地元に忘れて家に入れないことをRちゃんがインスタのストーリーにあげる。それについたいいねの1つ1つに少し救われる。足りないけれど。
バイト先にも連絡をする。明日のシフトは行けはするが制服とかその他の使うものはない、と言うと笑いながら「身一つで来て!」と言ってくれた。笑ってください。大笑いしてください。私はそれをなんと呼ぼう。決まってるでしょ。いきますよ。
今、この日記を書いている私の目の前でRちゃんは明日のテストに向けて勉強している。黙々とシャーペンを走らせるRちゃんの眼差し。世界はあたたかい。世界はあたたかいんだ!愛と平和なのだ。
Rちゃんのその瞳、Rちゃんのそのお風呂上がりの少し濡れた髪の毛、Rちゃんの寝巻き姿、Rちゃんの心。もちろん決まってるでしょ。いきますよ、いきますよ!世界はそれを!世界はそれを!世界はそれを、、愛と呼ぶんだぜ。Rちゃんは男。