20260331
あおいバス。
思ったよりも朝になっていた。まだ眠っていないのに。町田康の『告白』をぽやぽや読み進めて閉じて。
目覚めてシャワーを浴びて、バイトに行く。天気は悪い。霧状の雨がどうにかこの現実の解像度を下げる。ぼやけて刺さる陽の光を前髪で遮って進む。今日は荷物が多い。バイト先で映像を撮るのだ。私のバイト先は本屋。意味があんまり伝わらないね。カメラをリュックに入れて、三脚を肩に掛けて歩く。遠くの方にあおいバスが走っている。やわらかい飛沫をあげながら。
今日はいろいろ忙しかった。でも、絶対に撮らないといけない。死ぬわけじゃないけど、でも撮れなかったら生きる意味のほとんどを失ってしまいそうだから。ミスをして同僚に多少迷惑をかけたりしながら、なんとか撮影もできて退勤する。雨はもう上がっている。キラキラひかる地面を見つめながらいつもより遅い電車に乗って帰る。重たいリュックをドアにぶつけながら揺られる。そういえば桜が咲いている。気づいたら咲いていた。夜空を背景にしてくっきりと咲く花弁ひとつひとつ。女子大生二人組が楽しそうに会話しながら自転車に乗って私を追い越していく。最後にあんなに笑いながら自転車に乗ったのはいつだろう。中高時代に一緒に登下校していた彼の日記はまた少し面白くなってきた。土曜日、昼過ぎに下校してパン屋に寄ったちょっと暑かったあの頃はかえってこない。たいして近道じゃないのにガタガタした裏の道を通ったあの夕刻はもう流れない。でも、一人、桜を見上げながら歩いて帰った今夜もいつかあの頃になって、もう触れられない記憶になる。今晩は編集をする。眠れるかな。ってこれを書いているのはもう編集が終わった午前四時半の私。二○二五年度おしまい。私は大学三年生。私は大学三年生。大事なことなので二度。