20260323

うぐいす


起きて日記を書くなどし、山崎ナオコーラの『指先からソーダ』を読み終える。午前中の光を溜め込んだ部屋の中、新しい本棚の近くの椅子に座ってエッセイを読む時間の輪郭のない輝きたるや。シャワーを浴びて着替えて家を出る。今日はバイトはない。けれどバイト先へ。近くのコンビニで同僚の先輩に車で迎えに来てもらう。他人の運転は少々怖い。自分が免許を持っていないのに何をそんなこと。無事、怪我せずたどり着いたバイト先。ショッピングモールを少し散策し、渡すものを買う。今日は今日が最後の出勤の大学生の同僚Bに会いに来たのだ。バイト先に入る。もう一人大学生の女性の同僚も挨拶に来ていた。その人は普段マスクをしているのだけど今日はしていなくて、見てみたら唇や鼻にピアスをしていた。面白い。いいね。普通の人はこんなところでバイトしないんだな、というかこの世に普通の人なんて存在しないということを再認識する。柔らかい口調で話す彼女は、銀色のリップピアスを揺らしながら笑った。サンマルクカフェで時間を潰すなどし、再合流。年上の女性の同僚と、来年度の話をする。社員とかバイトとか色々変わる時期だ。変わるんじゃない?とかあの人が変わると困るよね、とか話す。私だって大学三年。もしかしたらすごい変わるかもしれないし。春。鳥は穏やかに鳴くかも知らんけど、人は呻くだけ。

今日が最後ということで、先々週と同じメンツでご飯を食べに行くことに。今日とてコーラ。職場の人間関係について、知らなかったことを聞く。我々は鈍感なんだね、と先輩と目を見合わせる。置かれているのはコーラで私は酔っているはずもないのだけれど、いつになく自分がニコニコしていることに途中で気づく。おでんの大根が美味しい。だんだん酔っ払ってくる正面に座る彼女たち。バイトを辞めるなんて世間的に考えればそれほど大きなことじゃなかったり、大学生なら飛ぶような人もいる。ただいざBさんが今日で辞めて、それも順風満帆かと言われればそうではなかったし、最後の出勤だった今日も色々理由があって来たくなかったみたいだったし、自分たちが辞める時はどんな感じだろうね、と。そういえばやけに先輩や私が今日のシフトに入っていないことを嘆いてた。話を聞けばたしかにどっちかでもいた方がBさんはよかっただろうなと思う。そんな感じで、きれいに辞めていくことができるかはわからないし、どのタイミングどんな感じで辞めるべきか。退き方。畳み方。

日が変わって店を出て、それぞれの家の近くまで送り届ける。私は座っているだけだけど。Bさんの家の近所のお店の駐車場に車をとめる。一旦、最後。若干のしんみりはアルコールで吹き飛ばされ、いろんな人からもらったプレゼントを抱えたBさんはニコニコしている。この前、Xでみたスタバの店員みたい。その荷物をさらに増やすように先輩と私からもささやかなる。先輩は素敵なGODIVAのマカロンを渡していたけど、私はほんとささやかよ。けん玉。mont-bellのけん玉。

嬉しそうに帰っていったBさん。二年弱一緒に働いていたけど、最後に駆け込むようにして流れた大学生のバイト仲間みたいな時間。これで私がお酒が飲めて酔えたなら。いや、眩しすぎたかもしれない。シラフぐらいがちょうどいい、シラフでも素敵すぎるかもねこの世界。家に帰った午前二時前。明日もこの腐った世界を泥の中を泳ぐようにして進むのか。