20260325

卒業写真。


ドアを開ければ鈍色の空。スーパーマーケットへの道は長く険しくない。こんな天気にしては人が多い。そうか、今日は卒業式か。

スーパーの自動ドアが近づいてくる。袴やスーツを身に纏った人たちやその家族が穏やかに。もうキャピキャピわいわいする感じでもなく。まあ大学卒業ともなるともういよいよマジもんの大人。そんな柔らかい光に包まれながら今日は何を買おうかな、と店に入ろうとしたら声をかけられた。多分、今日卒業した留学生の女性。"What's up!?"という感じで近づいていくと、大きなiPhoneを差し出される。たしかに私のiPhoneはもう買い替えの時期をとっくに過ぎている。当然彼女は私にそれをくれるわけではなく、開かれていたのはカメラアプリ。五人の卒業生がスーパーの壁を前に並ぶ。「はいチーズ」と言って写真を撮る。二回ほど撮る。「ライブになってましたけど大丈夫でしたか?」と聞くと「大丈夫です。ありがとうございます。」「ありがとうございます。」と皆に背中を押されながらスーパーに入店する。スーパー側が用意したそういうサービスだったとしたら面白い。撮れた写真はすごい広角なモードだったから多分変。

私もいつかこの大学から巣立つわけで、それが卒業か退学か除籍かはわからないけど、とにかく旅立ちはする。もうだいぶ見慣れてきたこの街。またしばらくして訪れたら、ああこんな道あったわぁなんて言って懐かしがれるだろう。それを共有する友達はおらずとも。このスーパーだって、そんな思い出の一つになって、BOSSのとろけるカフェオレだけ異様に高かったり、現金が使えなかったり、いつか笑ってもう一度このスーパーに来れたらいいね。好きなだけとろけるカフェオレが買えたらいいね。まあ今でも買うけどね。

バイトの帰り際、社員さんと話す。そろそろ社員の異動の発表があるらしい。でも若干ネタバレを食らった。しかも美味しくないネタバレ。