0404

春を眠る


池袋のラウンドワンから出たらもうすっかり朝で、朝すぎるね、と言いながら桜を見に行くことに。日本人やからね。目黒川。俺が昔、黒色だった頃、あの娘は桃色だった。目黒川沿いをずっと歩いていると、寄付をするとメッセージを出せる提灯みたいなものが並んでいた。そのうちのほとんどがアイドルのファンの人が出したであろう「♡〇〇♡」みたいなものがだった。正直、ちょっとあんまりですよね。もちろんそうやって資金を調達しないといろんな整備とかが難しいんだろうけど、桜を見たらそれも目に入ってきてさ、〇〇くんがずっと輝いていることを祈られていても困るわけでさ。こうさ、この資本主義においてさ、それとは隔絶されたところに存在させられるべきさ。五反田駅に着いたのでそんな苦言はやめにして、当てもなく歩いてタリーズに入る。優雅にモーニングを三人で食べる。みんなぼんやりしつつも大学のことや昔のことを話す。私が大学に入った頃、関東に来た中のいい友人は、例外的にやつを除いて、いないと言ってよかった。それから二年たってこうして二人の友人が関東にいる。二年前の私に「あいつとあいつは関東に来るよ」と言っても信じないだろうし、「そんな縁起でもないことを言うな!」と激昂していたかもしれない。まあたぶん、「まじ?やったー!」と喜んでいただろうけど。浪人をして、そうして関東にやってきた二人との朝は、眠気と小麦の匂いに包まれて過ぎていった。

五反田駅で解散して、うとうとしながら最寄駅に着く。雨が降っていた。傘はない。バスを待つ。キャリーケースを持ったおそらく新入生であろう女の人が私の前に並んでいた。リュックを開いて契約書などのいろんな書類を確認しているその人の少し荒れたうなじ。イヤホンから流れて雨音を打ち消す『選ばれざる国民』。眠い。そう眠い。バスきた。降りた。一月と二月の日記をまとめたZINEが届いていた。素敵やね。いっぱい歯を磨いて寝よう。春を眠ろう。

夜、二十二時に起きる。小雨が降っているのになんか傘を持たずに家を出てしまった。まあまあ濡れてコンビニ着く。睡眠中に整理された今朝や昨日の景色や記憶。もう忘れてしまったこともあるんだな。でもそれでもいいんだ。すべてをのこすなんて無理。覚えてることをそっと手のひらの上にとどめてそれを可愛がって生きていけばいいということにしておこう。