0403
深爪⑧スペア。
バイトがあるのに今日も朝まで起きていて、昼過ぎに起きて早歩き。桜はまだ咲き誇っている。ベビーカーを押したお母さんとおばあちゃんが歩いている。散っていく。そのスピード。それが秒速5センチメートルなんだよね。
バイトが終わったら東京で友人たちと会うんだ、と心の中で呟きながら売り場に出ていく。本当にただただ、やりたいことをさせてもらっています、としか言えない。社員のSさんに話しかけられて、売り場を褒めてもらう。すごく褒めてもらう。好きでやっていることを褒めてもらって、そんな環境があることは当たり前ではないと自分に言い聞かせて。「インタラクティブなところがね」と言ってもらった。私もそこは意識をしていて、本屋の在り方というかその書店員とお客さんの間柄の枠を壊すような。だからお客さんにタメ口だって利くし、その分純粋に本をおすすめする。そんなことを考えながらやっているのも、いろんなことをやらせてもらっているからで、ずっとレジに立っているだけだったらそんなこと考えてないしこんなに続けてないかもしんない。自分がつくった映像が流れるモニターを前にしてSと話して、そうしてすぐに閉店の準備をする時間になる。
LINEでばおわを宣言して電車に乗る。ホームにあった誰かの嘔吐物には「東京」の文字が刻まれていて、池袋で彼らと落ち合う。キャバクラのキャッチとガールズバーのキャッチの間を抜けた先の居酒屋で私の晩ごはんが執り行われ、そうしてラウンドワンに行く。まだまだ私たちはあの頃のままだ。法律上、酒が飲めるようになっただけ。顔をほんのすこし赤くしただけの彼らと酒が飲めない私は朝までカラオケをボウリングを。ぼくたちはこれからもこんな感じで、相も変わらないまま大学を出て就職して結婚したり老眼になったり肩が上がらなくなったり白髪になったり禿げたりするんだろう。二つ右のレーンにいたタンクトップに半ズボンの禿げたおじさんはかっこいいマイボールでスペアを取り続けていた。私の親指の爪はいつも通り薄く割れて。