幕末維新史の本質、本源的動機に迫るために、一人の人物に着目し、その人物の維新史への関わり方の有り様を通して、幕末維新史の全体像を探る。
その人物とは、第一次長州藩追討に際して幕府との武力的対決を避け、平和裏に解決したいと奔走しながら、「不忠不義の至り」の烙印を押され斬首される赤禰武人である。
第一章では、吉田松陰に倒幕を決意させ、幕末維新史の「青写真」となった吉田松陰と宇都宮黙霖との「勤皇問答」について論述する。
第二章では、第一次長州藩追討をめぐって、赤禰が斬首された「罪状」の内容、および赤禰の取った実際行動について記述し、さらにその「罪状」について検証をおこなう。
第三章では、長州藩の公武合体運動に対する討幕派による破壊策動から第一次長州藩追討までの幕末維新史の流れを概観する。
第四章では、第三章の「真の不忠不義の至り」をおこなった者は誰であったのかを受けて、赤禰のしたかった弁明を代弁しながら幕末維新史の本質、本源的動機を探る。