謹て龍野侯執事に言上奉り候、執事御義御賢明に在らせられ、天下の御政道邪無く御取り計い遊され候御義と存じ奉り候間、草莽の我々共申し上げ候は恐れ入り候得共存じ詰め候義伏臓無く別紙に相認め奉り瀆(とく)と尊覧候。追々御大老井伊掃部頭所業を洞察仕り候處、權威を恣に致され、我意に叶はざる忠誠厚き人々をば、御親藩を始め、公卿衆・大名・御旗本に限らず讒誣致し候て、退隱幽閉等仰せ付けられ候樣取計ひ、就中外慮の義に付ては虚喝の猛勢に恐怖致し、神州の大害を釀し候不容易事を差許し、御國體を穢し恐れながら叡慮を惱ませ奉り、勅意にも違背奉り候段、奸曲の至り天下の大罪人と申す可く存じ奉り候。