一 風説書左の通り、誤字多く分り申さずなり
臣家茂幼弱不才の身を以て是迄始めに征夷の大任を蒙り、及ばずながら日夜勉励罷り在り候処、内外多変の時に(厚)く上宸襟を安んじ奉り下万民を鎮める事能わず、之に加え国を富し兵を強して皇威を海外に輝し候力之無く、竟に職分を汚し申すべくと心痛の余り狗痛鬱悶致し罷りあり候、然る処臣家族の内慶喜儀も年末闕下に罷りあり候、事務も通達仕り大任に堪え申すべくと存じ奉り候に付き、臣家茂退位慶喜に相譲り政務仕らせ諸事の儀に付いては別紙を以て奏問仕り候間、右御沙汰御座侯様願い上げ奉り候、