浦靱負日記
文久三年癸亥
正月 小戊申
元 旦 曇天
一 正月三ヶ日その他、平服に仰せ付けられ候事
若殿様御住居御同様の事
一 昨夜より眼を痛め今朝は別して痛み候間、出勤相なり難き気分相の段相達し候、猶又筆者より弾正殿へ昨夜より散々眼病に罷り在り候、この分に候はゞ明後日、若殿様御参内の御供、覚束なく存じ奉り候、この段一応申し上げ置き候段申させ候事
一 岡田意伯方へ使い遣わし候処、留守の由に付き、河村養現方へ申し遣はし
候処、追々に両人共参り候間見合い候、酒差出し候将又養現は煎茶、意伯
は法茶差し出し候由に申し合わせ候様子に付き、後刻度々遣わし候事
二月大丁丑
朔日 天気
一 昨夜深更に及び、明日学習院へ面立候者壱人差し出され候様申し来り候由に付き、今朝村田次郎三郎参り其の段申し候に付き、毛利登人差し出され候て然るべく段申し候、諸藩御居合せの御方にても御迷い相なり候由に御座候事
一 例刻出勤致し候事
一 毛利登人九ッ時分罷り帰り候、今日学習院において左の御方々列座にて御書取を以て、筆頭の者へ御渡し順々拝見、その趣は荒まし都合近頃無居の放害これあり、国事相憂え候より起り候義にはこれあるべく候得共諸藩の内より決してこれなき義に候えども内輪取調べ候様、以来止めえず事に候はば、姓名書付差出し候様との事
坊城中納言
飛鳥井侍従宰相
三條中納言
野宮宰相左中将
阿野左中将
右御列座の御方々